精神障害とは?定義や種類から精神障害者手帳・障害年金・生活保護などの金銭的な支援、就労支援までまとめ

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この記事では精神障害の定義や種類、発達障害・知的障害との違いから、精神障害者手帳と障害年金の等級、受けられる福祉サービス、生活保護の障害者加算の金額などの生活の支援、就労支援サービス、相談窓口までご紹介します。

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目次 精神障害とは 行政における精神障害者と支援 精神障害にはどんな種類があるの? 精神障害と知的障害・発達障害との関係は? 精神障害者保健福祉手帳 精神障害の等級 精神障害のある人が受けられる福祉サービス 障害年金 生活保護の障害者加算 精神障害者の雇用・就労支援 精神科訪問看護/精神科デイ・ケア(通院以外の治療) 精神障害について悩んだときは まとめ

精神障害とは

日本語の「精神障害」という言葉には統一された定義がなく、診断基準や法律などの文脈によりそれぞれ意味が異なりますが、大きく分けて医療的意味(disorder)福祉的意味(disability)の2つに分類できます。

disorderもdisabilityも日本語では「障害」と訳されていますが、医療的意味の精神「障害(disorder)」と診断されたからといって、必ずしも福祉的な意味の精神「障害(disability)」があるとは限りません。

例えば、軽い症状があり医療の介入が必要でも、服薬などにより障害がない人と同じように働くことができている場合、医療的意味の精神障害(disorder)であっても福祉的なサービスを必要とする精神障害(disability)があるわけではないといえます。

また、福祉の対象としての障害disabilityは、環境を変えることにより軽減することもできます。

以下それぞれの意味を説明します。

医療的側面からみた精神障害(disorder)

日本で使われている精神疾患の診断基準であるICDやDSMなどでみられる広義の「精神障害(disorder)」は、病態が明らかであるもの(狭義の精神疾患)も明らかでないものも、そして知的障害に代表されるように統計的な平均から離れているが疾患とはいいにくいものもすべて包括した概念です。

disorderという表現は、まとまりがない、安定性がない、または正常からの失調といった意味です。

広義の精神障害とは精神の不調一般を指すものと考えると分かりやすいかもしれません。

福祉的側面からみた精神障害(disability)

福祉的な側面から見た精神障害は、精神の不調により継続的に 日常生活または社会生活に相当な制限を受ける方のことを指します。

精神の不調そのものへのアプローチは医学的なものになりますが、精神の不調と密接に関係する日常生活や社会生活での困難は行政などによる福祉的なアプローチが必要になります。福祉的な意味で「障害」を捉えると、その障害(disability)から生じる困りごとは、周囲の環境が整っていないために起っている、ともいえるのです。

行政における精神障害者と支援

行政における精神障害者の意味は、大きく分けて2つに分けられます。

1.医療の介入を必要とする、いわゆる精神疾患がある者(医療的意味)
2.精神疾患の影響で日常生活面で問題を抱える状態である者(福祉的意味)

これらの精神障害者に医療面と福祉面それぞれからの支援を行うため、下記のような法律や制度が定められています。
◇精神保健福祉法(正式名称: 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」)
精神保健福祉法は、精神障害がある人の医療と保護や、社会復帰、自立の促進のための援助などにより、精神障害者のための福祉の整備や精神保健の向上を目的とした法律です。

精神障害者保健福祉手帳制度や、措置入院、医療保護入院などの入院形態の規定、精神保健福祉センターの設置などが定められています。
◇障害者基本法
障害者基本法は、障害がある人の法律や制度についての基本的な考え方を示した法律です。

障害があろうとなかろうと、全ての人が互いに尊重し合い共生する社会の実現のために、障害のある人の自立と社会参加を支援する法律や制度に関する基本的な計画(障害者基本計画)を立てることや差別の禁止、療育や職業、雇用、住宅における支援制度を整えることなどが定められています。

また、障害者基本法第4条の「差別の禁止」をより具体的に規定した法律に、障害者差別解消法というものがあります。

この法律では、障害があるという理由で障害者への商品やサービスの提供を拒否することを「不当な差別的扱い」とし、障害者から配慮を求める意思表明があった場合は過度な負担になりすぎない程度な個別の調整ー合理的配慮を行うことが義務付けられています。

詳しくは以下の記事をご参照ください。
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◇障害者総合支援法(正式名称: 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
障害者総合支援法は、障害がある人が基本的人権を享受する個人としての尊厳にふさわしい日常生活・社会生活を送ることを目的とし、障害福祉サービスの充実や地域生活支援事業、その他の必要な支援を行うことが規定されている法律です。

全国の障害福祉サービス事業所の一覧です。是非ご活用ください。

精神障害にはどんな種類があるの?

精神障害にどんな障害が含まれるのかは診断基準や使用される文脈や制度によっても異なります。

ここでは、国で採用している国際的な疾病分類『ICD-10』(※)のなかで、いわゆる心の不調について記されている第五章「精神及び行動の障害」の分類を紹介します。

障害者手帳や自立支援医療(精神通院医療)の申請の際に必要な診断書にICDの診断コードの記載が必要となるなど、現在の日本の行政における精神障害の概念として用いられることが多い分類です。

※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。

ICD-10の分類

ICDでは、身体疾患から精神障害にわたって網羅的な分類を設定し、「ICDコード」と呼ばれるコードを付与しています。以下の表は2003年改訂版ICD-10における「ICDコード」と中間分類項目の名称の対応リストです。

F00-F09 症状性を含む器質性精神障害
F10-F19 精神作用物質使用による精神及び行動の障害
F20-F29 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害
F30-F39 気分[感情]障害
F40-F48 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害
F50-F59 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
F60-F69 成人の人格及び行動の障害
F70-F79 知的障害〈精神遅滞〉
F80-F89 心理的発達の障害
F90-F98 小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害

(引用:第Ⅴ章 精神及び行動の障害(F00-F99) |厚生労働省HP)

出典:http://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/dl/naiyou05.pdf
以上の中間分類の概略などや、下位分類については以下のリンクで確認できます。
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精神障害と知的障害・発達障害との関係は?

知的障害とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を意味します。

発達障害とは、先天的な脳機能の障害で、想定される時期に年齢相応の発達が見られない、または年齢相応のスキルが獲得できないことで日常生活に様々な困難が生じ、それらが持続する状態を意味します。

ICDやDSMなどの国際的な診断基準においては、知的障害も発達障害も、精神障害(mental disorder)の枠組みに入っています。

精神障害は精神の不調一般を指す広い概念であるのに対し、知的障害と発達障害は範囲が限定されているのです。
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一方、行政や福祉などの場面においては、法律や支援サービスごとに対象となる範囲が異なります。

例えば、上述の精神保健福祉法での「精神障害」には知的障害が入っていますが、この法律の手帳制度である精神障害者保健福祉手帳の対象者には知的障害は入りません。

行政、福祉面ではそれぞれの法律やサービスごとに、自分が対象であるかどうか見極める必要があります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳とは、所持している人が一定程度の精神障害がある状態であることを認定するものです。精神障害のある方が自立し、社会参加を積極的に行えるよう、様々な制度やサービスの利用をしやすくすることを目的にしています。

取得することで様々なサービスや割引・給付が受けられるようになるほか、教育を受けたり就労するにあたり配慮や支援を受けやすくもなる、とても便利な制度です。

詳しくは以下の記事をご参照ください。
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精神障害の等級

精神障害の程度を定める等級には、精神障害者手帳の等級障害年金の等級があります。

精神障害者手帳の等級

精神障害者保健福祉手帳は1級、2級、3級の3つの区分があります。

・1級....精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
・2級....精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
・3級....精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
出典:精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準|厚生労働省HP

出典:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/tetuzuki/techo.files/tetyo...

障害年金の等級

精神の障害による障害の程度は、国民年金の場合は1級と2級、厚生年金の場合は1級から3級に加え障害手当金という等級もあります。

・1級…日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
・2級…日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
・3級…労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
・障害手当金…労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

詳しくは以下のリンクをご参照ください。

精神障害者手帳の等級と障害年金の等級との関係

同じ「等級」という言葉から混同しがちですが、精神障害者手帳の等級と障害年金の等級は別物です。障害年金の等級も、重いものから1級、2級、3級とありますが、制度が異なるので認定基準も異なります。

とはいえ、概ね手帳の等級と障害年金の等級は重なるようです。
詳しくは以下の記事を御覧ください。
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以上の等級の他にも、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの種類や量を市町村が決定するための障害支援区分という基準もあります。
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