発達障害の薬物療法とは?自閉スペクトラム症、ADHDに処方される薬、副作用などの注意点、医療費助成について【医師監修】

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11044004198

発達障害の治療の一環として薬を処方されることもあります。しかし、薬物治療というと不安もあるかもしれません。この記事では、「発達障害の薬ってどんなものがあるの?」「服用するときにどんなことに気をつければいいの?」などの疑問にお答えします。

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監修: 山科満
中央大学文学部教授
精神科医から文系の大学教員となって,発達障害傾向ゆえに不適応に陥っている若者の多さに驚き,発達障害と本腰を入れて向き合うようになった。
目次

発達障害は治療できるの?薬物療法とは?

発達障害は、症状や困りごとが現れて初めて分かる疾患です。そのため、障害の種類や程度、性別によっても障害に気づかれる年齢や障害の特徴は異なるといわれています。

発達障害は現在、根本から治療することは難しいとされていますが、発達障害がある子どもの保護者がペアレントトレーニングで対応方法を学ぶことで適切に接することができるようになったり、子どもの特性を踏まえた環境設定を行ったり、子ども自身も特性に合った発達支援を受けることなどによって、困りごとが低減する可能性があります。

上記のほかに、発達障害の症状に対する治療法の一つとして、医師の判断によって薬が用いられることがあります。この記事では、発達障害の薬物療法について解説します。

発達障害の薬物療法

発達障害を完全に治す薬はありませんが、症状を和らげるための薬がいくつかあります。人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあるなど、現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。また処方は基本的に6歳以上となっており、成人には認可されていない薬もあります。

そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。薬で症状が和らいでいる間に本人に対する療育的な支援や学習支援などのアプローチを行うと効果的です。

薬の服用で発達障害の症状は良くなるの?

発達障害のある人への支援方法の一つとして、薬物療法はある程度の効果があると考えられています。しかし、服用する上で気をつけなくてはならないのは、発達障害における薬はすべて対症療法であることです。そのため、薬に期待されることは、発達障害そのものをなくすためのものではなく、発達障害の症状を和らげることになります。

上述しましたが、薬の処方は6歳以上で、成人には認可されていない薬もあります。また症状や状態によって処方される薬はさまざまです。ここでは、主な発達障害を例に、どういった症状に対して薬を服用していくのか紹介します。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症を根本的に治療していく薬はありません。また、このあとで紹介するADHDの場合とも異なり、現在、自閉スペクトラム症の特徴である「社会性と対人関係・コミュニケーションの困難」「行動や興味の偏り」といった中核症状を直接軽くするような目的で薬が使われることはあまりありません。

しかし、自閉スペクトラム症に伴う以下のような関連症状に対しては、薬の効果が期待されています。
・癇癪(かんしゃく)
・こだわり
・不注意
・多動性/衝動性
・チック
・抑うつ気分
・睡眠障害 など
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ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDでは、不注意・衝動性・多動性といった症状を緩和させることが期待されています。しかし、薬物療法でADHDを根本的に治療できるわけではなく、薬を服用しながら環境調整やソーシャルスキルトレーニングなどの療育的な支援を行っていくことで、困りごとを減らしていくことになります。

ADHDにおける薬物療法は、「ADHDをなくす」ためではなく、「社会生活や学業での困りごとを解消する」ための手助けをしてくれるものだと考えるといいのかもしれません。
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発達障害のある人に処方されるお薬の種類

発達障害の症状に対して効果があるかもしれないと考えられている薬は多くあります。日本では未認可であっても、海外では認可されている薬や、ADHDで用いられる薬がほかの精神疾患のある人に対して効果が見られるようなケースもあります。

数多くの薬がありますが、人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあります。現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。また薬の処方は基本的に6歳以上となっており、成人には認可されていない薬もあります。そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。
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ここでは、自閉症スペクトラムやADHDの治療において認可されており、比較的用いられることの多い薬についてまとめました。

自閉スペクトラム症(ASD)

小児の自閉スペクトラム症の易刺激性症状に対しては、リスパダール(リスペリドン)、エビリファイ(アリピプラゾール)といった薬が認可されています。易刺激性症状とは、衝動性や癇癪(かんしゃく)、急激な気分の落ち込みなどのことです。これらの薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整える作用があります。
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ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDに対しては、中枢刺激薬であるビバンセ、コンサータ、非中枢刺激薬であるストラテラ、インチュニブが認可されています。
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また、コンサータと同じく中枢刺激薬であるリタリンは、かつてうつ病への適応も認められていて、適応外ではありましたがADHDに処方される場合もありました。しかし、今ではADHDに処方されません。

リタリンとコンサータの違いについては、以下の関連記事内で詳しくまとめてあります。
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発達障害のある人がお薬を服用するときの注意点は?

薬を服用するときには、「副作用があるのではないか」や「本当に効果があるのか」など多くの不安があるかもしれません。

そのような不安を解消するためにも、精神薬を服用するときには、医師と相談したり協力したりすることが必要不可欠です。薬の服用に関しては、具体的に以下のことに気をつけるといいでしょう。

1. 事前に、服用する薬について情報を得る

発達障害に処方される薬の多くは、対症療法を目的としたものです。そのため、服用する薬が具体的にどんな行動・症状を抑えるための薬なのかを知っておくことが大切です。主治医や薬剤師の方に薬について説明をしてもらったり、不明なことや不安なことは相談するとよいでしょう。

また、副作用と、副作用が起きたときの対処法も事前に理解しておくとよいでしょう。
発達障害に処方される薬の副作用として生じる症状のうち、早急に対処しなければいけないものはそれほど多くはありません。そのため、心配しすぎる必要はありませんが、急に発疹がでたり、呼吸が乱れたりしたときなどにどのような行動をとればいいのかは理解しておきましょう。

2. 薬の使用頻度を守る

薬の使い方を誤ると、重大な副作用が生じる可能性もあります。基本的に、医師の指示にしたがって服用するようにしましょう。

症状が軽くなったからといって、個人の判断で勝手に量を減らしたり服用を中止したり、逆に薬が思った通りに効かなかったからといって、勝手に量を増やしたりしてはいけません。

しかし副作用がひどい場合には、いったん服用を中止して医師に相談するようにしてください。

3. なにかあったらすぐに医師に相談するようにする

精神薬は、効果に個人差があることも多く、最適な量についてもその人によって違うため、様子を見ながらその都度修正していく必要があります。副作用が見られる場合もあります。どんな些細なことであっても、なにか気になることがあれば医師に報告し相談するようにしましょう。

副作用として、次のような症状が見られることが多いため、このような症状に気を配っておくとよいかもしれません。

・食欲不振/食欲減退
・
・体重減少
・入眠困難、中途・早朝覚醒
・日中の眠気
・頭痛
・腹痛
・動悸
・不安・焦燥感 など
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また、薬を服用するときに気になることに、薬をいつやめるべきかということがあります。
薬のやめどきについても、医師と相談しながら決めていくようにしましょう。
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医療費の助成について

発達障害の日々の困りごとを解消する手助けをしてくれる薬ですが、実際に服用するとなるとお金がかかることになります。

薬の服用頻度や、薬の種類によって金額は異なるため、薬を服用するにあたって、一概にいくらかかるとは言うことができませんが、家計への負担を少しでも軽くするために、薬にかかる費用も含めた医療費を少しでも減らす方法についてまとめました。

1. 自立支援医療

日本全国どこにいても、受けられる支援に自立支援医療があります。発達障害や精神疾患が原因で、精神科に通院するときにかかる費用の一部を国が負担する制度です。

調剤、往診、デイケア、訪問看護が対象となっており、自己負担額が1割になります。しかし世帯の所得などに応じて、窓口負担額の上限金額が定められています。

こちらの支援を受けるためには、区市町村の窓口から申請する必要があります。
参考:自立支援医療|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/index.html
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2. 各地方自治体による支援

各地方団体では、それぞれが独自の支援を行っていることがあります。例えば、乳幼児にかかる医療費への助成であったり、自立支援医療での自己負担額をさらに軽減したりするような制度があります。

これらの支援は、各地方自治体で受けられるサービスが異なります。また、申請方法についても異なるため、お住いの地方自治体のホームページを見たり、役所に足を運んだりしてみてください。
参考:障害者施策関係単独事業の実施状況等|内閣府
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tandoku.html

まとめ

発達障害は現在、根本から治療することは難しいとされていますが、特性に合った発達支援を受けたり、保護者がペアレントトレーニングなどを学び、子どもに対して適切な対応方法や環境設定がされることで、困りごとが低減する可能性があります。また、発達障害の症状に対する治療法の一つとして、医師の判断によって薬が用いられることがあります。

発達障害の薬に限らず、すべての薬は、正しく利用できれば大きな味方になりえますが、使い方を誤ると効果が発揮されなかったり、思わぬ副作用をもたらすこともあります。

発達障害や精神疾患の薬は、効果が現れるかどうか、薬が合うかどうかには個人差があります。そのため、使い方を間違えないように注意し、些細な疑問や不安を含めて、医師に相談するようにしましょう。

また薬での対処だけでなく、少しでも本人が生活しやすいような環境を整えたりすることも大切です。
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