発達障害の薬物療法とは?自閉スペクトラム症、ADHDに処方される薬、副作用などの注意点、医療費助成について【医師監修】
ライター:発達障害のキホン
発達障害の治療の一環として薬を処方されることもあります。しかし、薬物治療というと不安もあるかもしれません。この記事では、「発達障害の薬ってどんなものがあるの?」「服用するときにどんなことに気をつければいいの?」などの疑問にお答えします。
監修: 山科満
中央大学文学部教授
精神科医から文系の大学教員となって,発達障害傾向ゆえに不適応に陥っている若者の多さに驚き,発達障害と本腰を入れて向き合うようになった。
発達障害は治療できるの?薬物療法とは?
発達障害は、症状や困りごとが現れて初めて分かる疾患です。そのため、障害の種類や程度、性別によっても障害に気づかれる年齢や障害の特徴は異なるといわれています。
発達障害は現在、根本から治療することは難しいとされていますが、発達障害がある子どもの保護者がペアレントトレーニングで対応方法を学ぶことで適切に接することができるようになったり、子どもの特性を踏まえた環境設定を行ったり、子ども自身も特性に合った発達支援を受けることなどによって、困りごとが低減する可能性があります。
上記のほかに、発達障害の症状に対する治療法の一つとして、医師の判断によって薬が用いられることがあります。この記事では、発達障害の薬物療法について解説します。
発達障害は現在、根本から治療することは難しいとされていますが、発達障害がある子どもの保護者がペアレントトレーニングで対応方法を学ぶことで適切に接することができるようになったり、子どもの特性を踏まえた環境設定を行ったり、子ども自身も特性に合った発達支援を受けることなどによって、困りごとが低減する可能性があります。
上記のほかに、発達障害の症状に対する治療法の一つとして、医師の判断によって薬が用いられることがあります。この記事では、発達障害の薬物療法について解説します。
発達障害の薬物療法
発達障害を完全に治す薬はありませんが、症状を和らげるための薬がいくつかあります。人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあるなど、現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。また処方は基本的に6歳以上となっており、成人には認可されていない薬もあります。
そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。薬で症状が和らいでいる間に本人に対する療育的な支援や学習支援などのアプローチを行うと効果的です。
そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。薬で症状が和らいでいる間に本人に対する療育的な支援や学習支援などのアプローチを行うと効果的です。
薬の服用で発達障害の症状は良くなるの?
発達障害のある人への支援方法の一つとして、薬物療法はある程度の効果があると考えられています。しかし、服用する上で気をつけなくてはならないのは、発達障害における薬はすべて対症療法であることです。そのため、薬に期待されることは、発達障害そのものをなくすためのものではなく、発達障害の症状を和らげることになります。
上述しましたが、薬の処方は6歳以上で、成人には認可されていない薬もあります。また症状や状態によって処方される薬はさまざまです。ここでは、主な発達障害を例に、どういった症状に対して薬を服用していくのか紹介します。
上述しましたが、薬の処方は6歳以上で、成人には認可されていない薬もあります。また症状や状態によって処方される薬はさまざまです。ここでは、主な発達障害を例に、どういった症状に対して薬を服用していくのか紹介します。
自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症を根本的に治療していく薬はありません。また、このあとで紹介するADHDの場合とも異なり、現在、自閉スペクトラム症の特徴である「社会性と対人関係・コミュニケーションの困難」「行動や興味の偏り」といった中核症状を直接軽くするような目的で薬が使われることはあまりありません。
しかし、自閉スペクトラム症に伴う以下のような関連症状に対しては、薬の効果が期待されています。
・癇癪(かんしゃく)
・こだわり
・不注意
・多動性/衝動性
・チック
・抑うつ気分
・睡眠障害 など
しかし、自閉スペクトラム症に伴う以下のような関連症状に対しては、薬の効果が期待されています。
・癇癪(かんしゃく)
・こだわり
・不注意
・多動性/衝動性
・チック
・抑うつ気分
・睡眠障害 など
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ADHD(注意欠如・多動症)
ADHDでは、不注意・衝動性・多動性といった症状を緩和させることが期待されています。しかし、薬物療法でADHDを根本的に治療できるわけではなく、薬を服用しながら環境調整やソーシャルスキルトレーニングなどの療育的な支援を行っていくことで、困りごとを減らしていくことになります。
ADHDにおける薬物療法は、「ADHDをなくす」ためではなく、「社会生活や学業での困りごとを解消する」ための手助けをしてくれるものだと考えるといいのかもしれません。
ADHDにおける薬物療法は、「ADHDをなくす」ためではなく、「社会生活や学業での困りごとを解消する」ための手助けをしてくれるものだと考えるといいのかもしれません。
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発達障害のある人に処方されるお薬の種類
発達障害の症状に対して効果があるかもしれないと考えられている薬は多くあります。日本では未認可であっても、海外では認可されている薬や、ADHDで用いられる薬がほかの精神疾患のある人に対して効果が見られるようなケースもあります。
数多くの薬がありますが、人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあります。現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。また薬の処方は基本的に6歳以上となっており、成人には認可されていない薬もあります。そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。
数多くの薬がありますが、人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあります。現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。また薬の処方は基本的に6歳以上となっており、成人には認可されていない薬もあります。そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。
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ここでは、自閉症スペクトラムやADHDの治療において認可されており、比較的用いられることの多い薬についてまとめました。
自閉スペクトラム症(ASD)
小児の自閉スペクトラム症の易刺激性症状に対しては、リスパダール(リスペリドン)、エビリファイ(アリピプラゾール)といった薬が認可されています。易刺激性症状とは、衝動性や癇癪(かんしゃく)、急激な気分の落ち込みなどのことです。これらの薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整える作用があります。
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ADHD(注意欠如・多動症)
ADHDに対しては、中枢刺激薬であるビバンセ、コンサータ、非中枢刺激薬であるストラテラ、インチュニブが認可されています。
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また、コンサータと同じく中枢刺激薬であるリタリンは、かつてうつ病への適応も認められていて、適応外ではありましたがADHDに処方される場合もありました。しかし、今ではADHDに処方されません。
リタリンとコンサータの違いについては、以下の関連記事内で詳しくまとめてあります。
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