アスペルガーの私は「突撃訪問」が超苦手!そんなわが家に突然の来客が!?

ライター:鈴木希望
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イレギュラーなことって、本当に苦手。だって私、アスペルガーだもん。それでもフリーライターはイレギュラーの連続みたいな仕事だから、工夫や心構えでどうにか乗り切ってきた。

だけどどうしても突然の来客は苦手で、周りの人には伝えてあったのだけれど…。

私、アスペルガー。予定外のことが大の苦手!

「晩ごはんの最中に、大きなしゃもじを持ったあの落語家さんが来たらどうしよう?」
「あのタレントさんが洗剤を持って玄関先に立っていたらどうしよう?」


あなたはそんなことを考えたことがあるだろうか?

ご存知ない方に説明すると、前者は民家を訪れ、その日の晩ごはんのメニューを紹介してもらうという、昔のワイドショーのワンコーナー。後者は主婦の方に台所用洗剤の使い心地を試してもらうというものだ。いずれも「アポイントなしで突撃する」という体を取っている。

で、私ならどうするか。

のんびり晩ごはんを楽しんでいるとき、もしくはその直後に面識のない落語家さんがいらしたら、失礼ながらびっくりして警察に通報してしまうかもしれない。大好きなタレントさんですら、丁重にお断りしてしまう気がする。

もし、同様の企画で訪れたのが、私が“推し”と称してはばからない大ファンの俳優さんであったとしても、その場で少し考え込んでしまうと思う。「わーい!○○さんだ!」じゃないんだよ、私なのに!

ちなみに、どれだけ”推し”が好きかは、前回のコラムを見ていただければわかると思う。
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大事な予定もすっぽかすADDの私。手帳の存在すら忘れる私に革命を起こした●●の魔力

ASD(自閉症スペクトラム)ないしアスペルガーの特性を持っている方ならご共感いただけるだろうか。私は急なスケジュールの変更など、予定外のことが大の苦手。特に一番強いストレスを感じるのが、突然の来客だ。

フリーライターはイレギュラーの連続。そこで私が取った対策とは!?

以前は突然の誘いも苦手だった。それが楽しそうなことだとしても、だ。とにかく予定外、予想外のことに心をかき乱されてしまう。

しかしフリーランスのライターなど、イレギュラーの連続だ。ピンチヒッターとしての仕事の打診や急な加筆の依頼、スケジュールの変更などなど。それら全てに「対応できません」と返事をしていたら食っていけない。

幸い、仕事でお付き合いしている方々は、私の特性をご存知なので、想像し得る変更点について、前もって説明をしてくれる。もちろんそれ以外の変更だって起こらないとは限らない。そのため自分でも「何か変更が起こるかもしれない」と心構えをするようになった。そのようなことを繰り返しているうちに、私は「仕事に関してはある程度臨機応変に動ける人間」に擬態できるようになった。

友人たちにも、私が急な予定変更が苦手であることは伝えてある。が、仕事上で「何か変更が起こるかもしれない」と心構えをすることが日常化したため、急な誘いに関しては、時間や体調の都合がつけば、喜んで出かけることも可能になった。

それでもどうしても慣れないことがあるため、以下のようにきっちり伝えてある。「突然の訪問だけは嫌な顔をしてしまうかもしれない。せめて“近くにいるよ”って、事前に一報が欲しいな」。

みんな私の難しい質を理解しようと努めてくれているため、両親ですら、息子と私が暮らすアパートを突然訪れることがない。私は心穏やかに日々を過ごしていた。ところが…。

「突然の訪問はNG!」と、徹底周知しておいたはずが…

その日突然現れたのは、この集合住宅の工事担当作業員だと名乗る人だった。

「室内アンテナの工事があるので、お部屋に入らせてください」

工事の業者さんから、事前の告知や日程調整の打診はなかった。私は、自分の顔が強ばるのを感じた。

「お知らせをいただいていませんよね…?」
「管理人さん経由でチラシが配られたはずなのですが…」

確かにチラシは入っていた。しかしそれは「何月何日から、この棟全体に工事が入る。各部屋にも入ることがあるかもしれない」という内容のみ。我が家にいつ入るという連絡ではない。

「今日が無理だとしたら、いつごろいらっしゃいますか?」
「あの…鈴木さんのお宅の工事が終わらないと、他のお宅の工事ができないんですよ」

ぐぬぬ。(勝手な言い分だなぁ)だとか(今日私が留守だったらどうするつもりだったのだろう)と思いつつ、作業員さんにお上がりいただいた。

私同様にASDを持ち、急な来客が苦手な息子は、携帯ゲーム機を片手に、猫のごとく押し入れに籠ってしまった。念のためその場に立ち会わなくてはならない私は、押し入れに同行することはできない。頓服用の安定剤を飲み、部屋の隅で絵を描きながら、ざわつく気持ちを抑えていた。
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