ハイパーアクティブ列伝!自閉スペクトラム症の私を支える、愛すべきADHD特性…!?

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私がずっと困っていたのは、自閉スペクトラム症(ASD)の特性と、注意欠如が著しいこと。多動や衝動性はないから、注意欠如多動障害(ADHD)とは言えないよね。なーんて思っていたけれど、振り返ってみたら、あったあった!やらかしてるやらかしてる!なにが「多動や衝動性はない」なんだか!

でも結構好きかもしれない、この特性…!?

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鈴木希望
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ADHDのH(Hyperactivity)=多動・衝動なんて、私にはないと思ってた!

私は「自閉スペクトラム症(ASD)」と診断されている。でも、ASDであっても、注意欠如多動障害(ADHD)のような衝動性を持っていたり、ADHDと診断されていても、ASDのようなこだわりがあったりする例も少なくない。かくいう私も、注意力が著しく欠如している。

「とはいえあれだ、診断はASDだし、私には不注意はあるけど、多動や衝動性(Hyperactivity)はないから…」なんてことを雑談の中でつぶやいたら、「何言ってんの!? あんた、昔から衝動の塊じゃん!!」と、旧友から盛大な反論をされてしまった。

彼女から指摘されたのは、20年前の出来事だ。

東京で一人暮らしをしていた22歳の私は、失恋に失業、おまけに信頼していた人からの裏切りに遭うというトリプルコンボの不運に見舞われていた。今だったら屁でもない話なのだが、人生経験の少ない若い娘が喰らうには、ちょっとヘビーな出来事であったと言える。

たまたま電話をくれた新潟在住の幼馴染が、私の置かれている状況を知り、
「今すぐ帰って来な!」
と言ってくれた。

「わかった、帰る!」
そう決めると、私はまず冷蔵庫を確認、日持ちのしないものは食べるなり処分して整理。洗濯物は幸い少なかったので、実家の洗濯機を借りようと、着替えなどと共に鞄に詰め、ブレイカーを落とし、戸締りをしっかりして新潟へと向かった。

それから1ヶ月程度、実家で休養した私は生気を取り戻し、再び東京で生活を始めるのだが…。東京の友人たちの間で「希望が失踪した!」と騒ぎになっていた。そう、私は新潟に帰ることを、彼らに伝えるのをうっかり忘れていたのだ。携帯電話が今ほど普及していない時代、皆さぞかし焦ったことだろう。

連絡し忘れたのは私の落ち度だ。しかし、れっきとした理由もあるし、これは衝動とはいえないのではないか?と訴えたのだが、
「“今すぐ”と言われて、本当に今すぐ帰ろうとして支度を始めるのは衝動の成せる業でしょうよ。ほかのADHDさんだって、衝動なりの理由があるのだろうし」
と返されて、私はぐうの音も出なかった。

思い返せば「暇だし臨時収入もあったしなぁ」と、思いつきで新幹線に乗って出かけたり、自転車で近所のスーパーに行く途中、「確か今面白そうな展示をしていたはず」と、やはり思いつきで10km先の美術館へと向かうなど、突発的に行動することはしばしばあった。

しかし、困りごととして、自分の中で上位に来るのはASDの特性と不注意だったので、ハイパーアクティブさがあるとは考えもしなかったのだ。

思い起こせば…あったあった! ハイパーアクティブならではの失敗談

「私に多動と衝動性が?まっさかぁ~!!」
などと笑っていた私だが、困ったことがなかったわけではなかった。

時に、私はかなりの感激屋である。映画やテレビドラマ、小説に漫画に音楽に舞台、そして日常のあらゆることに感激し、毎日が大層忙しい。

ただ感激して小躍りしたり、泣いているだけなら何の問題もないのだが、私は「この感激を誰かに伝えたい!」という衝動に駆られてしまう。伝えるにしても、SNSか何かに書き散らかしておけばいいものを、誰かに直接メッセージとして長文を送りつけてしまうのだ、しかも「そんな間柄じゃないだろ」という相手に。

「冷静になれ」とたしなめられるのだが、そのときは冷静なつもりでいるのだから困りもの。冷静に考え、冷静に文章をつづっているつもりで、翌日辺りに「私は一体何をやっているのだ…!」と顔面蒼白。壁に頭を打ちつけたくなる。

とりあえず謝罪のメールを送るが、「迷惑でしたよね?」なんて確認することもできないので、数日の間は不意に思い出しては大量の汗を書くはめになる。

この悪癖は気をつけても直らない。加えて、不注意による失くし物、予定の失念なども日常生活に支障をきたすレベルなので、ストラテラ(ADHD用の内服薬)の力を借りている。

意外にも? 困ったことばかりではない多動と衝動

困ることがある一方、ハイパーアクティブさに助けられる面がある。

以前、「ASDゆえ、イレギュラーは苦手だが、仕事に関してはある程度対応できるようになった」とコラムで書いた。「急な仕事」が得意というか、好きになったのだ。

ルーティンになると強みを発揮するASD特性で磨いてきたライタースキルの土台があったことが前提だが、ADHDの特性も合わせ持っていたことで火事場の馬鹿力が発揮できるようになったのかもしれない。

とにかく、「急なんだけど、手伝って!」というような連絡を受け、手元の仕事との兼ね合いを見ながら進行、納期までに仕上げる達成感にドーパミンがドバドバ溢れ出ているのを感じるのだ。そうした依頼の場合、普段自分が手がけない分野のライティングであることも多く、楽しいというのもある。また、過集中のおかげで早く仕上げることができるので、先方にも重宝いただいている。

もちろん、出張だって嫌じゃない。むしろ大好きだ。普段自宅にこもって仕事をしていることが多いため、県をまたいだ移動がリフレッシュになるのもある。どんどんお呼びいただきたい。

私そっくり、ASDっぽいあの人の、ハイパーアクティブなエピソード

さて、以前やはりコラムに書いた、「私そっくり、ASDっぽい」父には、多動や衝動性があるのだろうか。
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家族で出かけたとき、目を離すとすぐ父の姿が見えなくなり、母が困っていたことを思い出す。さほど遠くに行くことはないのだが、勝手に単独行動を始めるのだ。立派な多動おじさんである。

また、実家で一緒に暮らしていたころは、
「おい!お前に食わせたい蕎麦屋が山形の山奥にあるのを思い出したから、今から行くぞ!起きて支度しろ!」
と、休日の朝4時半に起こされることがあった。かねてからの予定ではなく、完全にその日の朝に思いついての行動、衝動以外のなにものでもない(お蕎麦、おいしかったです)。

そして、父に関する大好きな話がある。

6人兄弟の4男として生まれた父の服は、兄たちのお下がりであることが多かった。そのため、自ら働くようになってシャツを仕立てたときは、大いに感激したらしい。嬉しくなってテンションが上がった若き日の父は、なぜか自転車を飛ばして海へ向かい、上半身裸になって、夜の日本海を泳ぎまくったそうだ。少し疲れて岩浜に上がると、風で飛んだのか誰かが持ち去ったのか、新品のシャツはなくなっていたのだった…。

「なぜ海?」「どうして泳ぐ?」「シャツをわざわざ紛失の危険に晒した理由は?」など、突っ込みどころ満載ではあるが、ADHD傾向のある若者の、チャーミングなエピソードとして、私の心に残っている。

発達障害が遺伝であるかどうか、また、かつての父のように私が可愛いADHD特性のある人間かは別の話として、私が父に似ているという説は、やはり納得の感がある。そして「ADHD、悪くないよなぁ」と笑ってしまうのであった。
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