【発達障害 子育て】親子で発達障害。マイナス思考の私に衝撃!息子の「辛くない」宣言
ライター:林真紀
息子を育ててきて、今でも忘れられない出来事があります。私と息子は、親子で発達障害。私は自分の経験から、常に「この辛い人生に負けてはいけない」と思いながら子育てをしてきました。「私の味わった辛さを、息子には味わわせてはいけない」という強い思いもありました。けれども、そんな私に対し、息子が発達障害に抱く思いは意外なものでした。その言葉が、今でも私の育児を支えてくれています。
息子に言い続けた「辛いけど頑張ろうね」
発達障害の息子を育ててきて、今でも忘れられない一つの出来事があります。それは、私にとって、さまざまな価値観を変えてしまうほどの大きな感動をもたらすものでした。今回のコラムでは、そのときの話を書きたいと思います。
3歳で発達障害の診断がおりた息子。それと同時に、私自身も発達障害であることが判明しました。これは、私の人生のなかで、一、二を争うほどの大事件でした。そして、私にとっては「息子に私の味わってきた苦しみを味わわせない」という大きな課題を突きつけられた瞬間でもありました。
「発達障害」という言葉もなかった私の幼少期。思い出すだけで胸がギュッと痛くなるような、さまざまな困難がてんこ盛りの毎日でした。
協調運動ができなくて不器用な手足。女の子同士で遊ぶ「ゴムだん」がいつまでも跳べるようになりません。「前へならえ」はできるのに、「回れ右」や「右へならえ」などになると頭が大混乱。「おまえはふざけているのか」と先生に頭を叩かれたのも、一度や二度ではありません。何よりも私が困ったのは、お喋りが止まらないこと。人の話を聞かずに喋り続ける特性のせいで、まともな人間関係が築けませんでした。
同じような特性を譲り受けている息子に、私はさまざまな療育を体験させ、家庭療育や言葉がけなども工夫してきました。そんなときの私の口癖はこれ。
「辛いけど、頑張ろうね」
私は疑うことなく思っていたのです。息子は発達障害で辛いことばかりなのだと。だって、運動は苦手だし、感情のコントロールができないときもあるし、聴覚や触覚の過敏性でパニックになってしまうことも多いし…。
どう考えたって、他の子どもに比べて、生きづらさは多いはず…。私は、いつも「なんとかしてあげなくちゃ」という思いに、がんじがらめになっていました。必死に生活をこなす中で、私は何度か過労で倒れてしまうこともありました。
3歳で発達障害の診断がおりた息子。それと同時に、私自身も発達障害であることが判明しました。これは、私の人生のなかで、一、二を争うほどの大事件でした。そして、私にとっては「息子に私の味わってきた苦しみを味わわせない」という大きな課題を突きつけられた瞬間でもありました。
「発達障害」という言葉もなかった私の幼少期。思い出すだけで胸がギュッと痛くなるような、さまざまな困難がてんこ盛りの毎日でした。
協調運動ができなくて不器用な手足。女の子同士で遊ぶ「ゴムだん」がいつまでも跳べるようになりません。「前へならえ」はできるのに、「回れ右」や「右へならえ」などになると頭が大混乱。「おまえはふざけているのか」と先生に頭を叩かれたのも、一度や二度ではありません。何よりも私が困ったのは、お喋りが止まらないこと。人の話を聞かずに喋り続ける特性のせいで、まともな人間関係が築けませんでした。
同じような特性を譲り受けている息子に、私はさまざまな療育を体験させ、家庭療育や言葉がけなども工夫してきました。そんなときの私の口癖はこれ。
「辛いけど、頑張ろうね」
私は疑うことなく思っていたのです。息子は発達障害で辛いことばかりなのだと。だって、運動は苦手だし、感情のコントロールができないときもあるし、聴覚や触覚の過敏性でパニックになってしまうことも多いし…。
どう考えたって、他の子どもに比べて、生きづらさは多いはず…。私は、いつも「なんとかしてあげなくちゃ」という思いに、がんじがらめになっていました。必死に生活をこなす中で、私は何度か過労で倒れてしまうこともありました。
衝撃的だった息子の一言
さて、その衝撃的な出来事は、息子が小学校に入学したあとに起こりました。
小学校に入学した息子は、週に何時間かを特別支援学級で過ごすようになりました。勉強に遅れはなかったので、主にソーシャルスキルを学んでいます。
週に2回は放課後等デイサービスで運動療育を中心に分刻みのスケジュールをこなします。土曜日は音楽療法に通っています。他の子どもたちと違う日課をこなしているということは、早々に本人も気づいていました。ですから、息子が疑問をぶつけてきたときに、発達障害について告知しました。もちろん、私が当事者であることも、そのときに話をしました。
ある日、療育活動が終わった後に、私は息子にこう言いました。
「辛いけど頑張ろうね。ママも一緒に頑張るからね」
すると驚いたことに、息子がこう返してきたのです。
「ママ、僕、辛くないよ」
私は一瞬、「え??」と固まってしまいました。
「ママは発達障害で、辛かったことしかなかったの?」
息子の質問に、私は「そりゃあ当たり前でしょう。辛かったことばっかりだよ」と答えました。すると、息子はこう続けたのです。
「そうなのかあ。なんでだろうね。僕は、発達障害で良かったと思うことしかない」
私は息子の言っていることの意味が分からず、呆然としてしまいました。
小学校に入学した息子は、週に何時間かを特別支援学級で過ごすようになりました。勉強に遅れはなかったので、主にソーシャルスキルを学んでいます。
週に2回は放課後等デイサービスで運動療育を中心に分刻みのスケジュールをこなします。土曜日は音楽療法に通っています。他の子どもたちと違う日課をこなしているということは、早々に本人も気づいていました。ですから、息子が疑問をぶつけてきたときに、発達障害について告知しました。もちろん、私が当事者であることも、そのときに話をしました。
ある日、療育活動が終わった後に、私は息子にこう言いました。
「辛いけど頑張ろうね。ママも一緒に頑張るからね」
すると驚いたことに、息子がこう返してきたのです。
「ママ、僕、辛くないよ」
私は一瞬、「え??」と固まってしまいました。
「ママは発達障害で、辛かったことしかなかったの?」
息子の質問に、私は「そりゃあ当たり前でしょう。辛かったことばっかりだよ」と答えました。すると、息子はこう続けたのです。
「そうなのかあ。なんでだろうね。僕は、発達障害で良かったと思うことしかない」
私は息子の言っていることの意味が分からず、呆然としてしまいました。
私と息子は違う時代を生きている
私の頭の中は疑問符だらけ。「なんで?なんで良かったと思うことしかないの??」と聞き返しました。
すると息子は、「みんなが僕のこと助けてくれる。あと、支援学級の先生を独り占めできる。僕、支援学級の先生大好きなの。それに、療育も放課後デイも楽しいし、先生たちも大好き。それって、僕が発達障害なおかげでしょ?何が辛いの?良いことしかない」と言い切ります。
私はただただ驚きました。そして思い知ったのです。私と息子は違う。育っている時代も、発達障害を取り巻く環境も。そしてそれ以上に、「発達障害=不幸」ではないのだと。
私は、発達障害の特性が、自分が感じてきた困難の原因だと思っていました。この特性がある限り、困難はずっとつきまとい、発達障害であることを憎み続けるのだと。
けれども、息子の言葉で分かったのです。困難の原因は、発達障害の特性そのものではないということ。周りが適切な支援をすれば、それは「ギフト」になり得るのだということ。
これは、息子を育てる中での根本的な部分を覆される出来事でした。そして何よりも、息子が幸せに育ってくれていることを実感して、感動しました。なんだか毎日の大変な育児が、報われる思いでした。
息子の言葉を聞いたとき、私はある言葉を思い出しました。
「障害は、人の側ではなく、『社会』の側にある。」
息子との対話によって、私はとても大切なことを教えられた気がします。「発達障害=不幸」という図式にがんじがらめになっていた自分にも気づきました。これからも、息子にとって「発達障害」が「ギフト」になるように、素敵な環境づくりに取り組んでいきたいと心から思います。
すると息子は、「みんなが僕のこと助けてくれる。あと、支援学級の先生を独り占めできる。僕、支援学級の先生大好きなの。それに、療育も放課後デイも楽しいし、先生たちも大好き。それって、僕が発達障害なおかげでしょ?何が辛いの?良いことしかない」と言い切ります。
私はただただ驚きました。そして思い知ったのです。私と息子は違う。育っている時代も、発達障害を取り巻く環境も。そしてそれ以上に、「発達障害=不幸」ではないのだと。
私は、発達障害の特性が、自分が感じてきた困難の原因だと思っていました。この特性がある限り、困難はずっとつきまとい、発達障害であることを憎み続けるのだと。
けれども、息子の言葉で分かったのです。困難の原因は、発達障害の特性そのものではないということ。周りが適切な支援をすれば、それは「ギフト」になり得るのだということ。
これは、息子を育てる中での根本的な部分を覆される出来事でした。そして何よりも、息子が幸せに育ってくれていることを実感して、感動しました。なんだか毎日の大変な育児が、報われる思いでした。
息子の言葉を聞いたとき、私はある言葉を思い出しました。
「障害は、人の側ではなく、『社会』の側にある。」
息子との対話によって、私はとても大切なことを教えられた気がします。「発達障害=不幸」という図式にがんじがらめになっていた自分にも気づきました。これからも、息子にとって「発達障害」が「ギフト」になるように、素敵な環境づくりに取り組んでいきたいと心から思います。
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