【ADHD(注意欠如・多動性障害)】0歳から成人期まで、年齢別の特徴や症状の現れ方を解説します

2019/11/29 更新
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ADHDは不注意、多動性、衝動性の3つの症状がみられる発達障害のひとつです。子どもの20人に1人、成人の40人に1人にADHDが生じるといわれますが、周りに理解されづらく、仕事や学業、日常のコミュニケーションに支障をきたすことがあります。この記事では年齢別に見たADHDの症状の現れ方について解説します。

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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
専門行動療法士
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
公認心理師
目次

ADHDとは?

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。

人によって症状の現れ方の傾向は異なり、大きく3つのタイプに分けることができます。

1.多動性-衝動性優勢型:多動と衝動の症状が強く出ているタイプです。
2.不注意優勢型:不注意の症状が強く出ているタイプです。
3.混合型:多動と衝動、不注意の症状が混ざり合って強く出ているタイプです。

子どもの20人に1人、成人の40人に1人にADHDが生じることが示されています。以前は男性(男の子)に多いといわれていましたが、現在ではADHDの男女比は同程度に近づいていると報告されています。

年齢別に見たADHDの症状の現れ方

乳児(0歳〜1歳)

■生後すぐから診断ができるの?

ADHDは発達障害のひとつですが、発達障害は、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、症状が分かりやすく出ることはありません。ですから、生後すぐにADHDの診断が出ることはありません。また、ADHDの症状は他の発達障害の症状と共通するものもあるので、判断には注意が必要です。

ADHDと診断された人たちの中には、乳児期を振り返ってみると、「なかなか寝付かない、寝返りをうつことが多く落ち着きがない、抱っこされることを嫌がる」といった傾向がみられる場合もあるようですが、このような行動は定型の成長過程でもあり、一概にADHDと結びつけることはできません。気になる場合には児童センターといった身近な相談機関や小児科などで相談してみましょう。

幼児(1歳〜小学校就学)

■トラブルの原因となる行動をとることが多い

ADHDのある子は、成長するに従い、以下のような行動をとる場面が目立つようになります。ただ、前述の通り、ADHDの症状は他の発達障害の症状と共通するものもあります。必ずしもADHDとはかぎらないので、特徴はあくまで参考程度にしましょう。

・他の子をたたいたり、乱暴をすることがある
・落ち着きがなくじっとしていることができない
・我慢ができないので癇癪(かんしゃく)をおこすことが多くみられる
・物を壊すなど乱暴・破壊的な遊びを好むことがある
いくら言葉だけで注意しても、これらの同じ行動を繰り返してしまいます。

■言葉の遅れがみられることも

ADHDのある幼児は、他の発達障害との合併症状として、言葉の遅れなどの特徴がみられることもあります。

■しつけの問題なの?

幼児期になると、落ち着きがなかったり癇癪を起こしやすかったりといった様子から、ADHDに気づくことが多いようです。また、保育園や幼稚園でも他の子どもとトラブルを起こしがちになってしまいます。そのような行動が原因で誤解され、しつけがされていないなどと言われることもありますが、ADHDは先天的な脳の機能障害によるもので、しつけや育て方の問題ではありません。

小学生(6歳〜12歳)

■症状が顕著に現れてくる

ADHDの子どもが小学校に入学すると、着席しての学習や集団行動が求められるようになることもあいまって、以下のような症状が目立ってきます。

・授業中でもじっと座っていることができず、歩き回ったりする
・注意力が散漫になって、興味の対象も次々と変化する
・物を忘れたり、なくしたりすることが多い
・突然話しかけて他の人の邪魔をしたり、他の人に話しかけられてもぼーっとしてうわの空に見られる
・突発的な行動をおこすことがあり、自分の怒りの感情をコントロールできない
・友達と仲良くできずトラブルを引き起こしてしまうことが多い

■結果的に周りから問題視される

何度も同じことを繰り返し注意されたり、授業態度などから周りに問題視されたり、怠けていると思われたりすることがあります。しかし、本人からすれば悪気があってしていることでもなければ、怠けているわけでもありません。

■ADHDの診断がはっきりと下される時期

小学校に上がるころになると、ADHDの症状が顕著に現れるため診断される場合が多くなります。文部科学省の定義では7歳前、DSM-5によるとADHDは12歳前に症状が現れるとされていますが、必ずしもこの年齢でというわけではなく、この年齢以前から症状がはっきり分かる場合には診断が下されます。

中高生(12歳〜18歳)

■思春期のADHDは、合併症状にも注意

思春期なると、立ち歩いたり突然周りの人に話しかけたりといった、幼児期や小学生時代に目立っていたADHDの特性による行動は落ち着いてくることが多いようです。

しかし、
・親・教師への強い反抗
・友人とうまく付き合えず、トラブルになることが多い
・ルールに従うことができない
などの行動がみられることがあります。

また、学習障害(LD)などの発達障害との合併症状が目立ってくることがあります。対人関係がうまく築けない場合、自閉症との合併症状がある疑いもあります。ADHDの症状がみられる人は他の発達障害を合併している可能性もありますので、よくチェックして疑いがある場合には診断を受けてみましょう。

■他人と自分を比較する

思春期になると、他人と自分を比べて悩みやすくなります。ADHDのある子どもも例外ではなく、他人と自分をよく比べるようになります。完璧主義の傾向が強いと“できないこと”に過敏になることもあります。そして、他人にはできて自分ができないことにコンプレックスを感じてしまいがちです。

コンプレックスから次の行動につながる場合があります。

・勉強への意欲の低下、学力の低下が著しくなる
・やる気がなく投げやりな態度
・自分の世界に引きこもりがちになる場合もある

知的機能に問題がない場合でも、不注意の特性が強いと、集団での学習に集中できず、学力の低下に結びつくこともあります。この結果、不登校やひきこもりなどの状態になることもあります。

■薬の服用を嫌がる

自分の障害を受け止めることができず、薬の服用を避けたり量を自己判断で変えて服用したりすることがあります。思春期の不安定な気持ちに寄り添いながら、家族が上手にサポートしましょう。

成人期(18歳〜)

■大人になるとADHDはどうなるの?

子どものころにADHDと診断された人の中には、成長につれて症状が目立たなくなったり、軽くなったりする人もいます。自分の特性を理解し、苦手な場面にもどのように対処するかを学ぶことで、日常生活の困難を乗り越えている人もいると考えられます。

ですが、ADHDのある大人は、子どものころより困難が多いと感じることも多いようです。

・親や教師のフォローがなくなる
・やることが多くなる
・大人としての行動や責任を求められる

など、周囲の環境の変化が大きいことがその理由と考えられます。
そのため、大人になって日常生活を送るのが難しくなった、と感じるADHDの人が多くいます。

また、大人になってからADHDと診断を受ける人、診断を受けていなくとも同じ症状で困っている人も多くおり、大人の発達障害のなかではADHDの割合がもっとも高いといわれています。

■大人のADHDに現れる症状

大人の場合、ADHDによる特徴にはどのようなものが多くみられるでしょうか。

・計画を立てたり、順序立てて仕事や作業を行ったりすることが苦手
・細かいことにまで注意が及ばないので、仕事や家庭でケアレスミスが多い
・約束などを忘れたり、時間に遅れたり、締め切りなどに間に合わない
・片づけが苦手で乱雑になってしまう
・同時に多くの情報を取り入れるのが苦手なので、一度に多くの指示や長い説明をされると混乱する
・手間がかかったり、時間がかかったりして、集中が必要なものは後回しにしがち
・何かに「はまる」と、ほどほどで止めることができず、なかなか抜け出せない(読書やネットサービス、ゲームなど)
・長時間座っていることが苦手で、手足がむずむずしてくる

ADHDをもっと知るためのリンク集

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まとめ

ADHDは特徴の現れ方によって、大きく3つのタイプに分けられるほか、年齢や性別などによっても目立つ症状は異なってきます。

早期にその特性に気づき、適切なサポートを受けることによって、少しずつ困りごとを改善してゆくことができます。他の発達障害との合併や二次障害に気を配りながら、慎重に見守りサポートしていきましょう。
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