わがままとみなすか、こだわりと共存するか

感覚過敏によって偏食がある場合、無理強いされることは、もしかしたら「芋虫を小さく切ってあげるから一かけらだけでもいいから食べなさい」と言われているような状況にあるのかもしれません。熱心な無理解者はとかく「自分だけの基準」で考えてしまい、子ども本人の苦しみ、辛さまで思い至らないのかもしれません…。

とはいえ、わがままかこだわりか見分けるのが難しいこともあります。しかし、「その子が何にこだわっているか」をよく観察していると、その子にも譲れない部分があるということが見えてきます。

例えば靴、同じデザインのものでないと絶対に拒否するという段階の子どもがいます。違うものを無理に履かせようとすれば自傷しパニックになることでしょう。でも、「〇〇を買って欲しい」などのわがままな要求のときは、自傷や他害よりも、その場で泣くだけといった様子が見られることがあります。

安全基地の確保

自閉症息子の激しすぎるこだわりは、禁止では解決しないから――大人になった今、たどり着いた答えとはのタイトル画像

自閉症息子の激しすぎるこだわりは、禁止では解決しないから――大人になった今、たどり着いた答えとは

障害がある子どもにとって、社会にはさまざまな怖いもの、苦手なこと、わからないことがたくさんある世界のように見えるかもしれません。叱責されてばかり、無理強いされてばかりだと、自ら一歩を踏み出すことすら怖くなってしまうかもしれません。「安全基地(Secure Base)」としての大人の存在が不可欠です。

「この世は怖くない、安心、安全なんだ」
「先生や親は自分を脅かす存在ではない」
「大人は自分を守ってくれる人間である」

ということを幼いうちに十分に経験させることが大切だと思います。

障害があっても、経験を積んでいけばやがて「人生には思い通りにならないこともある」ことをその子なりに体験します。大海原に出ても戻ることができる心地よい「港」のような存在がいれば航海の勇気も出ます。安心安全な居場所=安全基地さえ確保していれば、時期がきたら本人から苦手なことにも挑戦する勇気も出てきます。
自閉症の息子、こだわりの靴を「もう履けない」。自分から卒業できた理由とは…のタイトル画像

自閉症の息子、こだわりの靴を「もう履けない」。自分から卒業できた理由とは…

こだわりからの卒業、最初の一歩は「とことん付き合う」ことのタイトル画像

こだわりからの卒業、最初の一歩は「とことん付き合う」こと

人生をスタートさせたばかりの時期は、特に大人との愛着形成をする大切な時期です。保護者も支援者も先生もそのことを忘れてはならないと思います。

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