“連携”に消極的な療育センターと学校...「前例がない」と断られた私のとった行動は【小学校生活での困りごと最終話】

2021/04/21 更新
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シリーズでお伝えしている【小学校生活での困りごと】最終話です。
娘の主治医が変わったことで療育センターと学校の連携に一筋の希望の光が!
しかし『はじめの一歩』のハードルは思いのほか高く…
諦めかけた私が立ち上がる力のもととなったものは…

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荒木まち子
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前回までのあらすじ

小学校5年から民間の支援機関でSST(ソーシャルスキルトレーニング)やビジョントレーニングを受け始めた娘ですが、学校でのいじめの対応については校長先生をはじめとする各先生たちと、主人、私で話し合いをすることに。
資料の引継ぎ漏れ、学校独自のルールなど問題解決には時間を要し、学校内での情報共有ができていないことを痛感しました。
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主治医が代わり支援が変わる

娘が小学5年生の時、療育センターの主治医が思春期精神科の医師(新たに外部から派遣されることになった)に代わりました。

それまで娘は療育センターで「様子を見ましょう」と言われていて、特に療育はなされておらず、心理士の定期的な面談のみをずっと続けている状態が続いていました。

新しい主治医は若い女性医師で、診察は親子同席から親子別々に変わりました。
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私が家での娘の様子や学校での困りごとを話すと、主治医の表情から笑みが消えました。そして主治医は「薬を処方することもできますが、まずは環境を整えることが大切です。療育センターのスタッフに学校訪問のオーダーを出しますね。お母さんは学校側の許可を取っておいてください。それから療育センターの心理担当者に感情コントロールのプログラムをオーダーしておきますね。お薬は本人が飲むことで安心できる程度の極少量を処方します」とテキパキと看護師さんに指示を出されました。

私はずっと「療育センターはただ相談をするところ」「話を聞いてくれるところ」だと思っていたので、この主治医のオーダーに大変驚きました。

帰宅後、療育センターのパンフレットを読み返してみると、そこには確かに“幼稚園や保育所、学校などへの訪問支援”や“「地域との交流・連携を実施」など自立生活への支援に向けたサービスを提供する”と記されていました。

私は医師のこのオーダーをとても有難く思いました。
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希望の光が見えるも、一気にどん底へ...

療育センタースタッフの学校訪問の件を伝えると、学校側の許可はすんなり下りました。
私は「これで少しは娘も落ち着くかも」と期待し、センターから訪問日の連絡が来るのを首を長くして待ちました。

でもその後、療育センターからかかってきた電話に私の希望は打ち砕かれました。

「ドクターからオーダーのあった学校訪問の件ですが、娘さんの通う学校と当センターとは交流がありません。
学校から当センターに直接連絡がないということは、学校があまり積極的でない校風と思われます。
学校から訪問依頼があったわけではないので行けるかどうかわかりません。
また、心理士による感情コントロールプログラムは心理士の手が空いているときのみの対応になります」

心理士のプログラムの実施についてはともかく、医師のオーダーがあったにも関わらず療育センタースタッフの学校訪問がなされないことに私はショックを受け、深く落ち込みました。

立ちあがる力のもとになったのは...

力になった支援者の存在
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学校に療育センターと直接やりとりをしてもらうように依頼
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療育センタースタッフの学校訪問が実現したのは、主治医のオーダーから3ヶ月後のことでした。

くじけそうになったとき、寄り添い支えてくれた支援者の存在があったからこそ私は再び立ち上がることができたのだと思います。
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療育センタースタッフの学校訪問後、変わったこと

療育センターの担当者は授業の様子などを見学し、娘に限らず発達障害のある生徒に有効な環境設定や対応方法を学校にアドバイスしてくださったそうです。
その後、私が学校を訪れたときには、教室前面の余分な掲示物は外されていました。
教室後方にはカレンダー仕様の『一ヶ月の行事予定表』が新たに貼られていて“その日の持ち物や提出物”などが記入されていました。
黒板の端には「掃除の手順」が書かれた小さなホワイトボードが置かれていました。
それらは自宅で使用しているスケジュールボードと同様、視覚優位の娘にはとても有効なものでした。
カレンダーや手順表などで可視化すると見通しが立ちやすくなり、娘はスムーズに行動ができるのです。

私は早速さまざまな対応をしてくれた担任の先生に感謝の気持ちを伝えました。
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周りの友達の変化と協力も後押しになって

環境整備したからといって、すべてがあっという間に解決するわけではありません。
娘は家では相変わらず母の何気ない言葉にキレたり、弟の生意気な態度に激高したりしていました。学校で腹痛を起こし保健室で大半を過ごす日もありました。

でも徐々に娘に声を掛け、助けてくれる友達や「実は自分も同じようにいじめられていた」と娘に告げる友達も出てきました。
コミュニケーションは苦手だけれど“人”が大好きな娘にとって、このような友達の存在はとても大きなものでした。
少しずつ少しずつ娘は落ち着きはじめ、薬の服用は10ヶ月で終了しました。
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数年後の学校~喜ばしい変化~

娘が学校を卒業した2年後に息子が同じ小学校に入学しました。
その年の最初の学校便りには『地域療育センターや子ども家庭支援課など関係機関との連携もできますので、まずはご相談を』と書かれていました。
かつて、交流がないので学校訪問は難しいといわれた療育センターとの連携が積極的に行われるようになったことを私は嬉しく思いました。

また、この年から新たに、クラス担任を持たない主幹教諭が特別支援教育コーディネーターとして配置され、全学年を通して児童・保護者・カウンセラーとの連携を専任で担うこととなりました。
“学内でキーパーソンとなる先生”の存在は、私が切望していたものでした。
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皆さんに伝えたいこと

10年前の私は娘の障害に対する知識が皆無でした。しょっちゅう泣いていたし、傍から見たら『恥ずかしい』とか『なりふり構わない』など感じられるようなこともしてきたと思います。
私は人前で話をするのが苦手ですし、すぐに落ち込む性格です。でも前例がなければ、自らが動いて最初の例をつくるしかありませんでした。

支援者や医師だけではなく、学校の先生や療育センターのスタッフさんたちが動いたからこそ状況は改善されました。
もしも今、学校や支援機関との関係などに悩んでいる方がいらしたら『味方』を増やすことをおすすめします。困難な状況を打開したいとき、自分一人ではどうにもできないことも支援者や協力者がいればなんとかなると思うのです。

共感したり愚痴を言い合える仲間がいると元気が出ますよね。ネットの繋がりや同じ立場の者同士のコミュニティーもとても大切です。同様に、リアルでも前向きで建設的な気持ちになれるような味方や仲間をぜひ増やしていってほしいと思います。

障害児の子育てをしている親御さんは皆、日々悩みとても頑張っています。
世の中きれいごとばかりではありません。どうしても分かり合えない人もいるでしょう。それは仕方のないことです。


皆さんには 

『頑張りすぎず』ときには『休みを取って』でも『諦めることなく』進んでいってほしいです。

諦めさえしなければ希望の光はきっと見えてくると思うのです。

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