サポートブックを活用

学校の先生方は、自閉症についての知識は持っているでしょう。ですが、我が子については0歳から育ててきた親のほうががよく分かっていることも多いと思います。苦手なこと、得意なこと、パニックを起こした時の対処法などを担任に伝えておくとよいと思います。

そこで、サポートブックをつくり、連携してみるのはいかがでしょうか。
サポートブックに記載するのは下記のような内容です。

・成育歴
・子ども本人の特性(どんなことが苦手で、どんなことが得意か)
・子どもが理解しやすい指示の伝え方
・パニックを起こしたときの対処法
・絶対に食べられない給食メニュー
・絶対に避けてほしいこと(急に音楽を鳴らすのではなく事前予告し、小さな音から徐々にボリュームを上げる等)
・保育園・幼稚園からの細かい申し送り
・主治医や療育施設からのアドバイスの共有 (発達検査・心理検査の結果を渡す)
・クラスメートとの相性(どのようなタイプの友達が苦手なのか、どんなタイプの子とウマが合うか)

書籍やネットの資料をドーンと渡すことは控え、分かりやすくまとめたものを渡しましょう。

「知られたくない」と思わずに

親は順番的には先に亡くなるので、子どもの人生に伴走し続けることはできません。

ですから、子どもの障害を家族の中だけで隠すのではなく担任、ママ友、地域、クラスメートにカミングアウトし、地域や支援者とつながりをつくっておくことが大切だと思います。

スペシャルな教育

息子が小学校に入学したとき特別支援学校は“養護学校”、特別支援学級は“特殊学級”という名称でした。

息子が小2になったとき学校教育法が変わり特別支援学級・学校という名称に変わりました。特殊な子どものための教育という発想ではなく、子ども一人ひとりの状態(教育的ニーズ)に合わせて特別な支援を行うという方針をあらわした名称となったのです。

スクールバスに書かれた「○○特別支援学校」の名前を見て「特別に支援されるなんて、嬉しいな…」私はそんな感覚を持ちました。

私は成人した知的障害者の移動支援の仕事をしているのですが、特別支援学校の卒業生でもある利用者の方が「僕はスペシャルスクールに通っていたんだ」と言っていました。「なんて素敵な言い方なんだろう」と思いました。

執筆/立石美津子

井上先生より

(監修:井上雅彦先生より)保護者にとって、お子さんの就学先・進学先は子育ての中で大きな悩みになります。

一般的な学校・学級の特徴を知るとともに、お子さんが通う地域の学校を実際に見学したり、いろいろな人の意見を聞いたりすることで情報を集め、最終的にお子さんにとってより良い判断をされることが望ましいです。

また、コラムにあるように、学校・学級を決めても、お子さんの発達によって最適な教育環境を選び直すこともできます。

サポートブックについては、「~してほしい」という要求の文体より「~していただけると、~できることが多いです」という書き方が望ましいでしょう。家庭と学校でお子さんの様子が違うことがあるので、先生が実際に経験されたことをもとにサポートブックを更新していくと良いですね。

このコラムの著者親子がモデルの本

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このコラムを書いた人の著書

子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方
立石美津子
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