自閉症息子の「癇癪スイッチ」で毎日疲弊。道順こだわりでパニック…療育の先生からのアドバイス「見せながら予告」の効果は…?

ライター:みん
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自閉症のPにはさまざまなこだわりがあります。今回は数あるこだわりの中の一つ「目的地への道順や移動」へのこだわりに、困っていた話をしたいと思います。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

自分の思う道順や場所でないと癇癪を起こすので気をつけていた日々

Pは散歩でも、車に乗っているときでも、自分の思う通りの道順で、必ずここへ寄ってこれをしないと…という強いこだわりがありました。こちらの都合で寄り道したり、もと来た道を引きかえしたりするのにも強い抵抗があります。
私はそのこだわりに付き合ったり、遠回りしてでもあえて違う道順にしたりしながら、なるべく癇癪が起きないように気をつけていました。

そんなPは、療育園の施設内での移動でも場所へのこだわりがあり、移動した先が自分の思う場所ではなかったときには混乱、癇癪を起こすこともありました。
療育園では同じ施設内に、自分のクラスの部屋、言語療法の部屋、作業療法の部屋、医務室や発達検査の為の部屋などがあり、そのときの目的に合わせて部屋の移動をします。
移動する前に言葉で「次は〇〇の部屋にいくよ」と予告していても、Pは今から何処へ行くのかをちゃんと理解しておらず、自分の行きたい場所を勝手に予測、期待してしまい、目的地が自分の思っていた場所ではなかったときにはパニックを起こしてしまうのです。
自分の思っていた場所ではないと癇癪につながっていた
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困り果てた私は、先生に相談してみることに…

例えば本当は言語療法の部屋へ行かないといけないのに、そこへ向かっている途中で作業療法のときに使っているトランポリンやブランコが目に入ってしまうと、「作業療法の部屋のほうへ行きたい!」となってしまい、施設内の移動は毎回スムーズにいかず、困り果てていました。

その困りごとをクラスの先生、担当の療法士の先生に相談し、どうすればスムーズに移動ができるようになるのか?を一緒に考えていただきました。言葉で説明するだけでは理解するのが難しいのなら、写真や絵カードを使って視覚支援をしてみましょうということになりました。
そして、全員で連携して目的の場所へ行く前に必ずその場所の写真や、担当の先生の顔写真をPに見せながら移動する場所の説明をすることにしました。
先生に相談すると…
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言葉だけではなく視覚支援をしながら予告をすることが有効

私も各部屋の写真、先生の写真を撮らせてもらって写真を印刷して携帯したり、手元に写真を持っていないときなどは、スマホで撮影した画像の画面を見せたりしながら視覚支援を続けました。
すると、最初は写真や絵カードに混乱していたPも、「次はこの写真の先生に会うのか」「この絵カードの部屋にいくのか」と徐々に理解してきたのか、移動がスムーズにできるようになってきました。
移動の前には言葉だけで予告するのではなく、写真や絵カードなどで視覚支援も合わせて予告する。そうすることで理解が進み、本人も納得してから安心して移動できることを学びました。
移動する前に視覚支援を行う
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今では、療育園内なら言葉だけの予告でも移動ができるようになりましたが、ほかの場所だとまだ視覚支援が必要な場合もあります。必要ならば撮影の許可をいただいた上でカメラでその場所の写真を撮り、出かける前には写真を見せ、行き先を予告し、Pが安心して出かけることができるように心がけています。
撮影が必要そうな場所は許可をとって撮影する
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執筆/みん
(監修:井上先生より)
自閉症スペクトラムのあるお子さんの特性として、耳から入る情報よりも、目から入る視覚的な情報の受け止めやすさがあります。耳から入る情報は一瞬で消えてしまいますが、視覚的な情報はそこに残り続けるので理解しやすいです。みんさんのように初めて行く場所や初めて会う人の場合も、あらかじめ子どもに写真や絵を見せておくとその後の流れがスムーズに行く場合があります。

場所の写真の撮り方のコツとしては、単に建物の全体像を撮るだけではなく、子どもが注目しそうな特定のアイテムを画面にいれることです。例えば、公園に行く場合、全景だけでなく、その子どもが好きな遊具などを入れ込んでおくとより理解しやすくなると思います。
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