息子の癇癪はまるで地雷!?自閉スペクトラム症の息子が、何が原因で怒って泣いているのかが分からなくて悩んだ日々
ライター:みん
子どもが幼いうちは、どんな子どもでも多かれ少なかれ「癇癪」はあると思います。
その癇癪に対して、大人は原因を想像し、探って、子どもに共感したりなだめたりしながら対応することが多いと思いますが、自閉スペクトラム症のあるPの癇癪は、いつ何処でどんなときに起こるのかも分からず、癇癪が起きないようにいつも注意を払い、ビクビクしている自分がいました。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
わが子の癇癪のスイッチが分からなくて悩む母
自閉スペクトラム症のある息子P。こちらが良かれと思ってしたことに対して怒ってしまったり、何の前ぶれもなくパニックになったりすることもあり、私は自分が1番近くで見ている親なのにPの気持ちも、接し方も分かってあげられなくてずっと戸惑っていました。
思えばPが2〜3歳のころが1番大変な時期だったような気がします。なだめようにも言葉を理解できないのでこちらの言うことも伝わらない。そしてPは言葉を発せないのでこちらも癇癪の原因を想像しかできず本当の気持ちや理由までは理解してあげることもできない。
だから癇癪が起きたときはただただ途方に暮れることの方が多かったように思います。
思えばPが2〜3歳のころが1番大変な時期だったような気がします。なだめようにも言葉を理解できないのでこちらの言うことも伝わらない。そしてPは言葉を発せないのでこちらも癇癪の原因を想像しかできず本当の気持ちや理由までは理解してあげることもできない。
だから癇癪が起きたときはただただ途方に暮れることの方が多かったように思います。
そしてPが原因の分からない癇癪やパニックを起こす度に、私は心の中で「大丈夫!大丈夫!時間が解決してくれる!そのうちおさまる!」と思ってひたすら耐え続けていました。
「この子は自閉スペクトラム症があるから仕方ない」「この子は知的障害があるから仕方ない」と自分自身に言い聞かせ、納得させながら癇癪の対応をしていたのですが何十分、何時間とも続くか分からない癇癪にどうすることもできない日々が続き、「仕方ないとしてもこれはいつまで続くんだろう?このまま大きくなったらどうなってしまうのだろう?今でも大変なのにもっと大変になるのかな?」と未来を漠然と考えては不安になっていました。
「この子は自閉スペクトラム症があるから仕方ない」「この子は知的障害があるから仕方ない」と自分自身に言い聞かせ、納得させながら癇癪の対応をしていたのですが何十分、何時間とも続くか分からない癇癪にどうすることもできない日々が続き、「仕方ないとしてもこれはいつまで続くんだろう?このまま大きくなったらどうなってしまうのだろう?今でも大変なのにもっと大変になるのかな?」と未来を漠然と考えては不安になっていました。
癇癪が起きないように常に注意していた
私はありとあらゆる癇癪の原因を避け、排除し、癇癪が起きないように先回りするようになりました。そして癇癪が起きても落ち着けるようにと、Pのお気に入りのおやつやおもちゃなどクールダウンできそうな物を、出かけるときは常に持ち歩いていました。
そうやっていつ爆発するかも分からない爆弾のようなわが子との日々を過ごしてきました。
そうやっていつ爆発するかも分からない爆弾のようなわが子との日々を過ごしてきました。
そんなPが少し落ち着いてきたかな?と思えたのは、5歳を過ぎたあたりです。
まだ言葉は上手く出ませんが、ジェスチャーや、絵カードなどで少しずつ自分の要求を、人に伝えられるようになってきたことと、療育でも繰り返しお終いや切り替えの練習を積み重ねてきたので、自分の要求が通らない状況に納得できることも、切り替えられることも増えてきました。
また、集団の中で過ごすことにより、家とは違って自分のペースばかりでは動けない経験や、我慢する経験なども増え、本人の中でもいろいろと変化があったのかもしれません。家で母子だけで過ごしていた日々に比べると、圧倒的に指示が通りやすくなり、簡単な意思疎通もできるようになってきたので、お互いに「相手の考えや思いを理解できやすくなった」ということが、癇癪が減ってきた理由の一つではあると思います。
まだ言葉は上手く出ませんが、ジェスチャーや、絵カードなどで少しずつ自分の要求を、人に伝えられるようになってきたことと、療育でも繰り返しお終いや切り替えの練習を積み重ねてきたので、自分の要求が通らない状況に納得できることも、切り替えられることも増えてきました。
また、集団の中で過ごすことにより、家とは違って自分のペースばかりでは動けない経験や、我慢する経験なども増え、本人の中でもいろいろと変化があったのかもしれません。家で母子だけで過ごしていた日々に比べると、圧倒的に指示が通りやすくなり、簡単な意思疎通もできるようになってきたので、お互いに「相手の考えや思いを理解できやすくなった」ということが、癇癪が減ってきた理由の一つではあると思います。
癇癪を少しでも減らすために私たち親子に必要だったことは?
ずっと癇癪のスイッチが分からなくて、Pの気持ちを分かってあげられなくて悩んでいた私でしたが、それはきっとPの方も同じで、自分の願いや気持ちを伝えたくても伝わらないもどかしさや、伝える方法が分からないつらさの中で、今まではそれらを「癇癪という形でしか表現できなかった」のだと思います。まだまだ全てを分かってあげられないときもありますが、そういう場面になったとしても癇癪以外の方法に置き換えらえるように模索している途中です。
自分の気持ちが伝わり、相手に理解してもらえるというのは、一方的ではなくお互いに必要です。たとえ言葉で表現するのが難しくても、さまざまな伝達方法を探し、それを習得しながら、お互いに意思疎通ができるようになるということが、癇癪やパニックを減らせる第一歩になるのかもしれないと思っています。
自分の気持ちが伝わり、相手に理解してもらえるというのは、一方的ではなくお互いに必要です。たとえ言葉で表現するのが難しくても、さまざまな伝達方法を探し、それを習得しながら、お互いに意思疎通ができるようになるということが、癇癪やパニックを減らせる第一歩になるのかもしれないと思っています。
執筆/みん
(監修:井上先生より)
自閉スペクトラム症のある子どもの子育ての悩みで一番多いのは癇癪などの行動的な問題です。子ども自身が言葉で表現できない場合、また感覚過敏やこだわりがある場合はその理由が分からず親御さんも困惑される場合が多いと思います。
直接的な原因が発見しにくい場合も、一人でいるときに起こりやすい/起こりにくい、外出したときに起こりやすい/起こりにくい、など大まかに予測するようにすると、みんさんがされていたように事前の心構えや準備ができると思います。
特に小さいころの癇癪については、完璧に予測したり、コントロールしたりすることは難しいと思います。またこのことで親自身が不安になったり苦しくなることもあると思います。そのようなときには、身近な人や相談機関にお話をするのも良いと思います。
自閉スペクトラム症のある子どもの子育ての悩みで一番多いのは癇癪などの行動的な問題です。子ども自身が言葉で表現できない場合、また感覚過敏やこだわりがある場合はその理由が分からず親御さんも困惑される場合が多いと思います。
直接的な原因が発見しにくい場合も、一人でいるときに起こりやすい/起こりにくい、外出したときに起こりやすい/起こりにくい、など大まかに予測するようにすると、みんさんがされていたように事前の心構えや準備ができると思います。
特に小さいころの癇癪については、完璧に予測したり、コントロールしたりすることは難しいと思います。またこのことで親自身が不安になったり苦しくなることもあると思います。そのようなときには、身近な人や相談機関にお話をするのも良いと思います。
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