産後にSNSで出産報告!その後ダウン症だと分かり…「言いたくない!」「言わないのはわが子に失礼?」子どもの障害カミングアウト問題

ライター:星きのこ
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こんにちは。漫画家の星きのこです。
この春、新一年生になったばかりの6歳のダウン症のある男の子、きいちゃんの子育てをしてるワーママです。
今回は、障害のある子どもを授かったママのほとんどが抱えてしまう悩み、「カミングアウト問題」について書きたいと思います。
え?私?
そりゃもうガッツリと悩んでしまいましたよ…。永遠に悩み続けてしまい、悩みのブラックホールから抜け出せないんじゃないかと思うくらい…。

監修者鈴木直光のアイコン
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

立ちはだかる「カミングアウト問題」

ダウン症がある赤ちゃんの殆どは、その身体的な特徴(低緊張、合併症の併発など)から、産後すぐに障害がわかり、医師から告知を受けるということは以前のコラムで書きました。

赤ちゃんが生まれてすぐに告知されることが多いので、大多数のママやパパはかなり動揺されると思います。ですが、やがてそこから立ち上がり、少しずつ子どもの障害を受け入れ始めることができるママパパさんが殆どです。でもそこから、また新たな悩みが出てくることもあります。

今回のテーマの「カミングアウト問題」もその一つです。子どもの障害を、どうやって周りの人に伝えよう、と…。始めに書いたように、もちろん私もその問題で悩んだその一人です。いや、その代表と言っていいくらい(笑)悩みまくりました。
障害のカミングアウトに無限ループ
Upload By 星きのこ
そもそも私は自分が高齢出産ということもあって、妊娠したときから家族以外のほかの人に自分が妊娠したということを言うのは控えていました。何故なら私はその前年に一度流産を経験し、今回の妊娠も無事に継続でき、出産できるかわからないと思っていたからです。

しかし、妊娠中期のあるとき、妊娠していることが周囲にバレてしまいました。まだそれほどお腹が出ていなかったのに、勘の鋭い友人に、私が妊娠していることを言い当てられてしまったのです。

私は周囲に広めてほしくなかったので、このことは言わないで欲しいと友人にお願いしましたが、あっという間に噂は広まってしまい…(友人よ…汗)SNSにまでも、「妊娠おめでとう!」と祝福コメントがたくさん舞い込むことになってしまいました。
噂はどんどん広まり…
Upload By 星きのこ
そうやって自分の意志とは関係なく、妊娠が周囲にバレてしまった私。どうしたかと言うと、「出産頑張りまーす!」と笑顔で答えるしかありませんでした…。トホホ…。

そしてときは過ぎ、無事にきいちゃんを出産することができた私。出産した瞬間は、舌をベロベロ出しているきいちゃんに少し違和感を感じたものの、まさかダウン症があるとは思っておらず、無事に出産できた嬉しさの方が勝り完全に出産ハイになりました。

そして、元気に赤ちゃんが生まれたことをみんなに報告せねば!と思い、SNSで伝えました。

そう、それがのちに私の心労を生むとは知らずに…。
出産報告をSNSでする様子
Upload By 星きのこ
ところが産後1週間後、衝撃の事実がわかりました。そう、ダウン症児親の殆どが経験する医師からの「告知」があったのです。

なんの病気もなく産まれてきてくれたと思った息子が「ダウン症の可能性がある」と小児科の医師から告げられました。

驚きで「カナヅチで頭を殴られた感じ」「頭が真っ白になる」とはこのことか…と思いました。(その模様は、1回目のコラムで書いていますのでよかったら読んでみてください)

告知を受けた直後はとにかく動揺して子どもや自分自身のことを考えるのでいっぱいいっぱいでしたが、少しずつ落ち着きを取り戻していくと共に、大きな問題が私にのしかかり始めました。

そう、それがこの「カミングアウト」問題です。

周囲の人にどうやって伝えれば!?
そもそも赤ちゃんは元気だってみんなに伝えたのに、障害があることをどうやって伝えればいいの!?いっそカミングアウトなんてしたくない…!!でも、隠しておくのもよくないんじゃ…?そもそも隠しておけるものなの…!?

ちょっと待って!「隠しておく」という発想自体が、息子に失礼なのでは…。でもでも、みんなの反応が怖い…!!だからやっぱりカミングアウトなんてしたくない…!

でも、やっぱり伝えないと…でもでもでも~~~~~!!!!

…と、私の頭の中はぐるぐると堂々巡り。

それから私とこの「カミングアウト問題」の長くて暗ーい付き合いが始まったのです…。
なんであんなことを…!と後悔
Upload By 星きのこ
執筆/星きのこ
(監修:鈴木先生より)
眼鏡をかけているだけでも不思議がられる時代もありました。しかし、今では眼鏡をかけていても不思議がる人はいません。
ダウン症も、またASDやADHDについても、そうした疾患や特性があることを自然に話せるような世の中になることが理想です。

小児科医は新しい生命が生まれた喜びもつかの間で新生児期に先天性奇形や染色体異常などがみられた場合、できるだけ早く正確に親御さんへ告知しなければなりません。Drotarは先天性奇形がある子どもを産んだあとの親の心理状態が以下の順に変化することを示しています。

「ショック→否定→悲しみと怒り→適応→再起」

個人によって多少の時間差はありますが、私はこの心理的な流れを認識したうえで、親御さんに告知しています。
親の障害の認識と受容に関する考察|公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター
https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/ld/z12020/z1202001.html

このコラムを書いた人の著書

きいちゃんはダウン症(1)
星きのこ(著)
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