発達障害を自覚、なぜ周囲と違うのかがわかるようになった30代以降
ずっとモヤモヤしていた私にも、ついに自分がなぜ「皆と同じにできない」のかを理解できる日がきました。30歳になって発達障害を自覚したときです。
自分は発達障害というもので、その特性のひとつのコミュニケーション障害によって、私は周囲とうまくなじめなかったんだ。私のコミュニケーションの仕方は、定型発達といわれる人たちのコミュニケーションの仕方は違うんだ。
長いこと暗闇の中を進んできた自分の道が、初めて1本のライトで照らし出されたかのように、「自分は発達障害者だった」という発見は、私に自分の苦しかった人生経験を「コミュニケーション障害」という観点から把握し直す視点を与えてくれました。
あれ以来10年間、自分と定型発達の違いについて考え続けています。擬態がうまくなった面もあり、必要なときには最大限擬態しますが、そのぶん非常に強いストレスを感じ、疲労困ぱいしてしまいます。
困るのが、ASDによくある、喋り方や表情が平坦になりがちな傾向を私も持っているということです。「あれは言わない、これはこう言う」と特定のやりとりの内容をいくら訓練しても、普段から無意識に出る喋り方や表情まではコントロールできません。
私はこれを女性のASDに多い苦労ではないかと考えているのですが、ASDのある人の喋り方の平坦さや無表情は、女性にジェンダー的に求められる理想像と相反するものなので、どうしても「(女のくせに)冷淡で傲慢でけしからん」→「性格が悪い」という印象を与えてしまいがちのようです。
一般的には、ある発言について「誰が言ったか」が重要であることが多い、という法則に基づくと、たとえば、私が私である限り、何か褒められた瞬間にいくら「とんでもない!」と精一杯謙遜したとしても、「なんだかすかしていた。感じが悪い」などと受け取られる可能性があるということだと思います。
私は年々、定型発達的コミュニティに入るのが怖くなってしまっています。最近は私を理解してくれる友人も増えてきたので少し心強くはありますが、世間に無防備に出ていったときに、まずは排除される可能性のほうが高いというのはとても心細いことです。
結果、本当に不可欠な場合以外は不用意に入っていかず、少数の友人・理解者の中だけで暮らすように心がけるようになりました。
子どもの頃はなかなか所属するコミュニティを選びづらいですね。しかし、大人になるとかなり自由に選べ、周囲を自分の理解者だけで固めることもできるようになるので、それはひとつの大きな救いかなと思います。
文/宇樹義子
自分は発達障害というもので、その特性のひとつのコミュニケーション障害によって、私は周囲とうまくなじめなかったんだ。私のコミュニケーションの仕方は、定型発達といわれる人たちのコミュニケーションの仕方は違うんだ。
長いこと暗闇の中を進んできた自分の道が、初めて1本のライトで照らし出されたかのように、「自分は発達障害者だった」という発見は、私に自分の苦しかった人生経験を「コミュニケーション障害」という観点から把握し直す視点を与えてくれました。
あれ以来10年間、自分と定型発達の違いについて考え続けています。擬態がうまくなった面もあり、必要なときには最大限擬態しますが、そのぶん非常に強いストレスを感じ、疲労困ぱいしてしまいます。
困るのが、ASDによくある、喋り方や表情が平坦になりがちな傾向を私も持っているということです。「あれは言わない、これはこう言う」と特定のやりとりの内容をいくら訓練しても、普段から無意識に出る喋り方や表情まではコントロールできません。
私はこれを女性のASDに多い苦労ではないかと考えているのですが、ASDのある人の喋り方の平坦さや無表情は、女性にジェンダー的に求められる理想像と相反するものなので、どうしても「(女のくせに)冷淡で傲慢でけしからん」→「性格が悪い」という印象を与えてしまいがちのようです。
一般的には、ある発言について「誰が言ったか」が重要であることが多い、という法則に基づくと、たとえば、私が私である限り、何か褒められた瞬間にいくら「とんでもない!」と精一杯謙遜したとしても、「なんだかすかしていた。感じが悪い」などと受け取られる可能性があるということだと思います。
私は年々、定型発達的コミュニティに入るのが怖くなってしまっています。最近は私を理解してくれる友人も増えてきたので少し心強くはありますが、世間に無防備に出ていったときに、まずは排除される可能性のほうが高いというのはとても心細いことです。
結果、本当に不可欠な場合以外は不用意に入っていかず、少数の友人・理解者の中だけで暮らすように心がけるようになりました。
子どもの頃はなかなか所属するコミュニティを選びづらいですね。しかし、大人になるとかなり自由に選べ、周囲を自分の理解者だけで固めることもできるようになるので、それはひとつの大きな救いかなと思います。
文/宇樹義子
(監修・鈴木先生より)
お父様も、交友関係において宇樹さんと同じような悩みがあったのかもしれません。
「憲法違反」という言葉もやや飛躍しており、それを律儀に受け取り学級会で言ってしまった宇樹さんに、結果的に周りが引いてしまったと思われます。
IQの高い高機能ASDの人は成績がいいので診断はスルーされるケースが多く、私立中学へ進学する人も多くいらっしゃるようです。似たような人が選抜されて入学してくることもあり、初めはあまり目立たなくなります。音過敏も手伝って言わなくてもいいことをついつい口走ってしまい、周りから敬遠されることもみられます。
まだまだ世間ではASDに関して周知されていないことが多いので、自分を理解してくれる友人(または職場)とだけ付き合えばいいのではないでしょうか。いじめのターゲットにするような人たち(または職場)はあなたのことを理解しずらい人たち(または職場)なのですから。
お父様も、交友関係において宇樹さんと同じような悩みがあったのかもしれません。
「憲法違反」という言葉もやや飛躍しており、それを律儀に受け取り学級会で言ってしまった宇樹さんに、結果的に周りが引いてしまったと思われます。
IQの高い高機能ASDの人は成績がいいので診断はスルーされるケースが多く、私立中学へ進学する人も多くいらっしゃるようです。似たような人が選抜されて入学してくることもあり、初めはあまり目立たなくなります。音過敏も手伝って言わなくてもいいことをついつい口走ってしまい、周りから敬遠されることもみられます。
まだまだ世間ではASDに関して周知されていないことが多いので、自分を理解してくれる友人(または職場)とだけ付き合えばいいのではないでしょうか。いじめのターゲットにするような人たち(または職場)はあなたのことを理解しずらい人たち(または職場)なのですから。
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