保育園での虐待報道からーー学校や福祉事業所での「その声かけ、大丈夫?」自閉症の息子の母として願うこと
ライター:立石美津子
保育園での虐待事件がニュースになっています。
「そんなことしていると赤ちゃん組にいってもらいますよ」
「そんなことするのはひよこ組(※0歳児クラス)だよ」
という声かけも虐待にあたると、ニュースで解説されていました。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
保育園での虐待が問題に
最近、保育園での虐待事件がニュースになっています。
「そんなことしていると赤ちゃん組にいってもらいますよ」
「そんなことするのはひよこ組(←0歳児クラスのこと)だよ」
という声かけも虐待にあたると、ニュースで解説されていました。
赤ちゃんクラスやひよこ組の子どもに失礼じゃないか…と私は思ってしまいます。
私は以前、保育園で働いていました。こういった声かけは、良く聞きました。
「そんなことしていると赤ちゃん組にいってもらいますよ」
「そんなことするのはひよこ組(←0歳児クラスのこと)だよ」
という声かけも虐待にあたると、ニュースで解説されていました。
赤ちゃんクラスやひよこ組の子どもに失礼じゃないか…と私は思ってしまいます。
私は以前、保育園で働いていました。こういった声かけは、良く聞きました。
私自身も、学習塾を経営していたころ、「そんなことしていると小学生になれないよ」と年長児に言ったことがあります。なかなか言うことを聞いてくれなかったときに、つい感情的になってしまったのです。
でも、子どもの方が上手で「義務教育だから自動的に小学生になれる」と言い返されてしまいました。
でも、子どもの方が上手で「義務教育だから自動的に小学生になれる」と言い返されてしまいました。
給食の完食報告、しかし…
保育園でよく見かけた光景として、こんなこともありました。白飯やみそ汁に、残したおかずを混ぜたりして食べさせるという行為です。
これも虐待のように感じるのは私だけでしょうか。好きな白飯やみそ汁に、嫌いで残しているおかずを混ぜられたら嫌ではないでしょうか。
ですが、これで残さず食べられたとなれば、連絡帳に「今日も給食を完食しました」と報告されるわけです。親御さんには見えていない部分です。
これも虐待のように感じるのは私だけでしょうか。好きな白飯やみそ汁に、嫌いで残しているおかずを混ぜられたら嫌ではないでしょうか。
ですが、これで残さず食べられたとなれば、連絡帳に「今日も給食を完食しました」と報告されるわけです。親御さんには見えていない部分です。
特別支援学級や福祉事業所でも、不適切な声かけがあると聞いた
ある人が言っていました。
特別支援学級の先生から「そんな体調悪いだとか言ってると、特別支援学校に行けと言われますよ?」と言われたと。
特別支援学級の先生から「そんな体調悪いだとか言ってると、特別支援学校に行けと言われますよ?」と言われたと。
大人の障害者の場合、福祉事業所でこのように声をかけられたという話も聞きます。
「そんなことでは、一般就労は無理ですよ」
「B型の事業所に逆戻りになりますよ」
前者は追い詰めたり焦らせたりすることにも繋がるでしょう。
後者はB型事業所を侮辱しているように聞こえます。
親は事業所内で交わされる言葉を聞くことはできませんし、利用者であるわが子には障害があり「こんなこと言われた」と家族に報告できない場合も多々あります。
今回の事件をきっかけに、保育園では指針が示されつつあるようですが、障害福祉の領域でも見直してほしいと、障害がある子どもの親として強く感じました。
執筆/立石美津子
(監修 鈴木先生より)
最近は心理的な虐待やパワハラ、セクハラなど、(暴力での虐待のみでなく)見えづらいハラスメントにおいても、さまざまな問題が取り上げられるようになってきました。時代の流れもあり、以前は見過ごされてきたようなちょっとした一言も、虐待ととらえられるようになってきたと感じています。
年末の伝統的な行事である秋田県の「なまはげ」などは、包丁を持った鬼が家に入ってきて言うことを聞かない子どもを連れ去ってしまうのですから、虐待ととらえられかねませんよね。
そうした面から配慮され、もし地方のさまざまな文化や行事が伝承されていかなくなってしまうのであれば、それはとても寂しいことだと思います。
子どもに関わる大人たちが、しっかりと子どもたちの様子や環境を見極め、「真の虐待」を見逃さないことが重要だと考えます。
「そんなことでは、一般就労は無理ですよ」
「B型の事業所に逆戻りになりますよ」
前者は追い詰めたり焦らせたりすることにも繋がるでしょう。
後者はB型事業所を侮辱しているように聞こえます。
親は事業所内で交わされる言葉を聞くことはできませんし、利用者であるわが子には障害があり「こんなこと言われた」と家族に報告できない場合も多々あります。
今回の事件をきっかけに、保育園では指針が示されつつあるようですが、障害福祉の領域でも見直してほしいと、障害がある子どもの親として強く感じました。
執筆/立石美津子
(監修 鈴木先生より)
最近は心理的な虐待やパワハラ、セクハラなど、(暴力での虐待のみでなく)見えづらいハラスメントにおいても、さまざまな問題が取り上げられるようになってきました。時代の流れもあり、以前は見過ごされてきたようなちょっとした一言も、虐待ととらえられるようになってきたと感じています。
年末の伝統的な行事である秋田県の「なまはげ」などは、包丁を持った鬼が家に入ってきて言うことを聞かない子どもを連れ去ってしまうのですから、虐待ととらえられかねませんよね。
そうした面から配慮され、もし地方のさまざまな文化や行事が伝承されていかなくなってしまうのであれば、それはとても寂しいことだと思います。
子どもに関わる大人たちが、しっかりと子どもたちの様子や環境を見極め、「真の虐待」を見逃さないことが重要だと考えます。
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