「障害のある子は育てられない」暗黒期にいた自分に伝えたい!3/21「世界ダウン症の日」に7年前を振り返って
ライター:星きのこ
こんにちは。漫画家の星きのこです。
7歳になるダウン症のある男の子、きいちゃんを育児中です。
さて、きたる3月21日は、「世界ダウン症の日」です。
みなさまご存知でしたか…?
恥ずかしながら、私は自分がダウン症のある子どもを産んで初めて知りました。
この日は、ダウン症のある人たちがその人らしく、安心して暮らしていけるよう、日本中・世界中で啓発イベントが行われます。
なんと国連が定めた国際デーでもあるんですよ。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
3月21日は「世界ダウン症の日」!
さて、なぜ3月21日が「世界ダウン症の日」かというと…。
ダウン症のあるお子さんをお持ちの親御さんや関係者の方はすでにご存知だと思うのですが、それはダウン症という疾患が、「21番目」の染色体が1本多く「3本」あるためだからです。
ダウン症のあるお子さんをお持ちの親御さんや関係者の方はすでにご存知だと思うのですが、それはダウン症という疾患が、「21番目」の染色体が1本多く「3本」あるためだからです。
日本でもJDS(公益財団法人 日本ダウン症協会)が中心になって各地で啓蒙イベントを開催していたり、ほかにも楽しいイベントが全国で行われるので是非ご興味ある方はチェックしてみて下さいね!
ダウン症のある子どもを授かった当時の心境
さて、わたくしのことになりますが、きいちゃんを産んでから約7年、ダウン症のある子ども(人)と関わって生きたのも約7年ということになります。
思い返せばビックリ仰天、きいちゃんの「ダウン症の可能性の告知」から始まり、その後の染色体検査、確定診断、数々の合併症の発覚、病院や療育通い、(自分の)長~い暗黒期、きいちゃんの度重なる入退院、保活就活などなどなど…今思い返せばキリがないくらいいろいろなことを乗り越えてきたなあと思います。
告知を受けてからの暗黒期には、自分には障害のある子ども、ましてや知的障害のある子どもなんて絶対に育てられないし、そんな子どもを授けた神さまを恨んだものです…。
よく「乗り越えられない壁は神さまは作らない」と言いますが、「こんなん乗り越えられるわけなかろーーーー!!!!」と、本気で思っていました。
思い返せばビックリ仰天、きいちゃんの「ダウン症の可能性の告知」から始まり、その後の染色体検査、確定診断、数々の合併症の発覚、病院や療育通い、(自分の)長~い暗黒期、きいちゃんの度重なる入退院、保活就活などなどなど…今思い返せばキリがないくらいいろいろなことを乗り越えてきたなあと思います。
告知を受けてからの暗黒期には、自分には障害のある子ども、ましてや知的障害のある子どもなんて絶対に育てられないし、そんな子どもを授けた神さまを恨んだものです…。
よく「乗り越えられない壁は神さまは作らない」と言いますが、「こんなん乗り越えられるわけなかろーーーー!!!!」と、本気で思っていました。
定型発達のお子さんを持つお母さんを見ると、なんであなたではなく私なの…?と、暗い気持ちになり、合併症がなく、きいちゃんより発達の順調なダウン症のあるお子さんを見ると、いいよね、合併症のない子は…とうじうじとひがんでいました。
怖い……!!!私、怖い……!!!!(笑)
怖い……!!!私、怖い……!!!!(笑)
絶望していた私が前を向けた理由
でも、それだけ自分にとって「障害のある子ども」を授かったことがショックだったのです。それまで自分が生きてきた「障害のない世界」から一転、急に違う暗い世界に放り込まれたような気持ちにもなりました。周りに障害のある子どもを産んだお母さんもいなかったので、きいちゃんと私だけになったような気持ちにもなりました。
何もかも分からないことだらけで、孤独でつらくて、ただただ絶望していた私が少しずつ前を向いて、変わってきたのは周りの人にたくさん助けていただいたからです。
産後、何の情報もなかったときに、自分で泣きながらネットを検索して飛び込んだ、地域のダウン症のある子どもの親の会。そこで先輩ママたちに気持ちを吐き出させてもらえて、いろいろ親身になって相談にも乗っていただきました。
理解ある医師や看護師さんにもたくさん助けていただきました。
そして、少しずつ、同じダウン症のある子どもを持つママ友達と交流が増え、こんな気持ちになったのは私だけじゃないんだ、私だけがつらかったわけじゃないんだ、と悩みを共有でき、支え合うこともできたのも大きかったです。
そして何より…
きいちゃん自身が、悲しいときは悲しいと泣くし、面白いときはケタケタと笑うし、嫌なことがあれば、ぷんっ!と怒るーー……私たちと同じように感情を持ち、表現をする。全く変わらない存在なのだ…ということを教えてくれたのです。ただ単に「障害」という個性を持って生まれてきただけでーー…。
暗い世界に放り出されたと思っていたのは私だけで、ただ単にかつての私が「障害」というものをよく分かっていなかったから、色眼鏡で見ていただけなんだと知りました。
何もかも分からないことだらけで、孤独でつらくて、ただただ絶望していた私が少しずつ前を向いて、変わってきたのは周りの人にたくさん助けていただいたからです。
産後、何の情報もなかったときに、自分で泣きながらネットを検索して飛び込んだ、地域のダウン症のある子どもの親の会。そこで先輩ママたちに気持ちを吐き出させてもらえて、いろいろ親身になって相談にも乗っていただきました。
理解ある医師や看護師さんにもたくさん助けていただきました。
そして、少しずつ、同じダウン症のある子どもを持つママ友達と交流が増え、こんな気持ちになったのは私だけじゃないんだ、私だけがつらかったわけじゃないんだ、と悩みを共有でき、支え合うこともできたのも大きかったです。
そして何より…
きいちゃん自身が、悲しいときは悲しいと泣くし、面白いときはケタケタと笑うし、嫌なことがあれば、ぷんっ!と怒るーー……私たちと同じように感情を持ち、表現をする。全く変わらない存在なのだ…ということを教えてくれたのです。ただ単に「障害」という個性を持って生まれてきただけでーー…。
暗い世界に放り出されたと思っていたのは私だけで、ただ単にかつての私が「障害」というものをよく分かっていなかったから、色眼鏡で見ていただけなんだと知りました。
考えてみれば当たり前のことなんですが、きいちゃんを産んだばかりのころの私は、そんな当たり前なことも分からなかったのです。
ダウン症のある人は愛嬌があり、純粋で人懐こく、天使のようと表現されることもあります。
「天使じゃなくて普通の子どもでよかったのに…」とその言葉をネガティブに受け取っていた私ですが、愛くるしく成長をしているきいちゃんを見て、「私、本当に天使を産んでしまったのかもしれない…!!!」と、立派な親バカに成長してしまいました…。
でも、本当に可愛いんですよぉおおおぅ…!!!
ダウン症のある人は愛嬌があり、純粋で人懐こく、天使のようと表現されることもあります。
「天使じゃなくて普通の子どもでよかったのに…」とその言葉をネガティブに受け取っていた私ですが、愛くるしく成長をしているきいちゃんを見て、「私、本当に天使を産んでしまったのかもしれない…!!!」と、立派な親バカに成長してしまいました…。
でも、本当に可愛いんですよぉおおおぅ…!!!
暗黒期の私は、突然「障害のある世界」に放り込まれてしまったと思い、つらく感じていたのですが、実はそれが間違いで、「障害のない世界」も「障害のある世界」もないのです。世界は一つで、私たちはいろいろな人達がまぜこぜに共存しているのです。
みんなと違ってて何が悪いの?むしろ違いがあるのが当たり前。
だからこそ面白いーー…。
そんないろいろな人が共存している社会を誰もが当たり前に認識していたら、私たち一人ひとりも生きるのがとっても楽になるハズ。
ほかの人の違いを受け入れることができると、自分はここがほかの人とちょっと違うな、私って変わってるかな?と思うことも受け入れられるようになり、自分にもちょっぴり優しくなれるかもしれません。
そのためにも「世界ダウン症の日」があります(他にも4月2日の「世界自閉症啓発デー」や、10月11日の国際カミングアウトデーなどあります)。
さあ、3月21日、この日をきっかけに、世界や人を色眼鏡で見るのをやめて、少しだけ周りの人にも自分にも優しくなってみませんか…?
執筆/星きのこ
みんなと違ってて何が悪いの?むしろ違いがあるのが当たり前。
だからこそ面白いーー…。
そんないろいろな人が共存している社会を誰もが当たり前に認識していたら、私たち一人ひとりも生きるのがとっても楽になるハズ。
ほかの人の違いを受け入れることができると、自分はここがほかの人とちょっと違うな、私って変わってるかな?と思うことも受け入れられるようになり、自分にもちょっぴり優しくなれるかもしれません。
そのためにも「世界ダウン症の日」があります(他にも4月2日の「世界自閉症啓発デー」や、10月11日の国際カミングアウトデーなどあります)。
さあ、3月21日、この日をきっかけに、世界や人を色眼鏡で見るのをやめて、少しだけ周りの人にも自分にも優しくなってみませんか…?
執筆/星きのこ
(監修:鈴木先生より)
世間では「世界ダウン症の日」とか「世界自閉症啓発デー」などがありますが、本当は毎日がダウン症の日であり、自閉症啓発の日でなければならないと日頃から思っています。ですから、その日だけでなく日頃から色眼鏡で見ずに、障がいを持った人にやさしく接することのできる世の中が理想なのです。そのためには学校での障がいに対する最新の正しい教育が重要になってきます。それらを実現するには、福祉や教育の予算を増やす(デンマークは消費税が25%で福祉が充実している)ことが先決なのです。
世間では「世界ダウン症の日」とか「世界自閉症啓発デー」などがありますが、本当は毎日がダウン症の日であり、自閉症啓発の日でなければならないと日頃から思っています。ですから、その日だけでなく日頃から色眼鏡で見ずに、障がいを持った人にやさしく接することのできる世の中が理想なのです。そのためには学校での障がいに対する最新の正しい教育が重要になってきます。それらを実現するには、福祉や教育の予算を増やす(デンマークは消費税が25%で福祉が充実している)ことが先決なのです。
このコラムを書いた人の著書
きいちゃんはダウン症(1)
小学館
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ダウン症のある友人のために立ち上がったある高校生の話ーー3月19日「バディウォーク東京」開催を前に
発達障害の診断・検査方法は?診断・検査は受けるべき?発症年齢や検査・診断の方法を紹介します【専門家監修】
モデル・金子エミさん取材!ダウン症の息子・カイトさんが世界ダウン症水泳選手権 で3つのアジア記録を更新!ポジティブな声かけで培かわれた自信が「強さ」の背景に
ダウン症のある人の平均寿命・平均余命は?最高齢は何歳?成人期の医療における課題も【医師監修】
ダウン症は老化が早い?40代から認知症も?ダウン症の寿命が伸びる中分かってきた、早期退行・早老症との関係も解説【医師監修】
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。