特別支援学級で学ぶ現在は…

現在のゆいは当時を振り返って「3段階の成績表で1がつくのは職員会議ものらしいよ。私ってヤバかったよね」と自嘲しますが、これくらい軽く言えるようになってよかったなと思います。あのまま通常学級でついていくのが難しいままだと、もっとつらい思いをさせてしまっていたかもしれません。

小学5年生のときに障害の診断が下りてから、小学校での目標は『楽しく学校に通う』に決めました。特別支援学級の力を借りて、なんとか勉強のつらさを減らすことができたのではと感じます。中学校ではどのようなことが起こるか分かりませんが、本人の負担を減らしつつも周囲とうまくやっていく方法を親子で見つけていけたらなと思っています。
(監修:新美先生より)
知的な面での困難さがあると、学校での一斉学習では大変さがでてくるかもしれません。初めのうちは、勉強を嫌がる態度で現れてくることも多いので、一見すると「なまけている」「さぼっている」「やる気がない」といったようにとらえられてしまうことも多いです。
子どもは、学校という場で、怠ける・さぼるということはほぼめったにないので、学業に手がついていない様子が見られたら、分からないのか、やり方がお子さんに合っていないのか、心のゆとりがなくなっているのか…なにか理由があるかもしれないと探してみるといいですね。
吉田さんの娘さんのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。知的障害があると分かるまでは、親子ともども困惑したり、大変な日々だったかと思います。でもその後お子さんに合った学習をされていることで、お子さんも自分の大変だった時期を冷静に振り返ってコメントができるぐらいになっているのはとても素敵です。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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