LD・SLD(限局性学習症)とは?タイプ別の特徴や原因、診断基準、支援方法などを解説【保存版!発達ナビLD・SLDコラム一覧/専門家監修】
LD・SLD(限局性学習症)は、学習において困難さがみられる発達障害の一つです。学校教育が始まる就学期になって診断されることがほとんどですが、就学前の段階で言語の遅れや数えることの困難、書くことに必要である手を使った微細運動の困難などがあることでその兆候に気づかれることもあります。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
LD・SLD(限局性学習症)とは?
言葉は聞けているのに意味の理解が難しかったり、文章を1行ずつ読むことができなかったりと日常生活や学校生活で困難が生じることがあります。
学校教育が始まる就学期になって気づかれることが多いですが、就学前の段階で言語の遅れや数えることの困難、書くことに必要である手先を細かく動かす微細運動に困難があることでその兆候が表れていることもあります。
LD・SLD(限局性学習症)は困りごとの種類により、
・読むことやその内容を理解することの困難さ(読字不全)
・書くことの困難さ(書字表出不全)
・数の理解や計算をすることの困難さなど(算数不全)
の3つに分けることができます。
※『DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版)』以前ではそれぞれ「読字障害」「書字表出障害」「算数障害」と呼ばれていましたが、『DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版改訂版)』より「読字不全」「書字表出不全」「算数不全」と名称が変わりました。
LD・SLD(限局性学習症)と知的障害との違いは?
2つの違いとして、知的障害(知的発達症)はIQ(知能指数)で表される知的能力の遅れにより読み、書き、計算などの学習に遅れが生じます。対してLD・SLD(限局性学習症)では、IQとは関係なく学習に困難が生じるという違いがあります。
LD・SLD(限局性学習症)の原因は?
少なくとも保護者の育て方や愛情不足、勉強の教え方などがLD・SLD(限局性学習症)の原因ではないことは分かっています。
LD・SLD(限局性学習症)の診断基準、治療法について
以下の学習の困難が1つ以上、6か月以上続いていることが基準となっています。
・文字を読むことの困難がある
・文字が読めても意味理解に困難がある
・文字を書くことに困難がある
・数学的な概念の理解や計算に困難がある
・推論することに困難がある
実際にはさらに詳細な診断基準のもと、子どもの様子や検査結果、保護者、学校関係者からの情報などを踏まえて判断されます。
LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けるのは、小学校入学以降が多いですが、読み書きなどを習い始める年中に診断を受ける場合もあります。実際にある調査においては診断時期は6歳~9歳が多いですが、4歳、5歳で診断を受ける子どもも若干いるという結果も出ています。
現在、LD・SLD(限局性学習症)の根本的な治療法はありませんが、環境調整や一人ひとりの特性に応じた対処をすることで困りごとの軽減を図っていきます。
例えば、一行ずつ順番に文章を読めない子どもには定規や下敷きを当てながら読むという工夫をしたり、漢字の読みが苦手な子どもにはプリントにフリガナをつけるなどがあります。詳しい対処法は第4章で紹介します。
LD・SLD(限局性学習症)の特徴
・読字不全
・書字表出不全
・算数不全
読字不全
文章を正確に読むことが難しい、すらすら読むことが難しい、読むことができても内容を理解することが難しいなどの困難を抱えることがあります。
具体的には以下のような困難があります。
・文字を一つひとつ拾って読む逐次読みをする
・文字間や行間が狭いと読みづらくなる
・文末を正しく読むことができない
・文字を読んでいるとひどく疲れる など
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書字表出不全
文字をマスや行から大きくはみ出して書いたり、鏡文字になってしまうなどの特徴が見られることがあります。
ほかにも以下のような困難があります。
・字や文章を書くことに苦手意識がある
・「ね」と「ぬ」など似た文字の書き分けが難しい
・「を」と「お」など似た読みの文字の書き分けが難しい
・画数が多く複雑な漢字を書くこと難しい など
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算数不全
数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手などの症状が見られることがあります。数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合が多いと言われています。
具体的には以下のような困難があります。
・数字の概念(1の次は2など)の理解が難しい
・暗算ができない、または時間がかかる
・繰り上がり、繰り下がりなどの概念の理解が難しい
・文章題から計算方法を推論することが難しい など
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LD・SLD(限局性学習症)の併存症
ADHD(注意欠如多動症)
ASD(自閉スペクトラム症)
うつや不登校など二次障害につながることもある
LD・SLD(限局性学習症)の影響で勉強がうまく進まなかったり、叱責をうけたりすることが重なることで思い悩むことが、抑うつ状態や不登校のきっかけともなり得ると言われています。
LD・SLD(限局性学習症)のある子どもへの支援
LD・SLD(限局性学習症)のある子どもに対する支援には、
・ツールの使用
・合理的配慮
・児童発達支援/放課後等デイサービスの利用
などがありますので、それぞれ紹介していきます。
ツールの使用
具体的なツールとしては、
・パソコンやタブレット
・音声入力アプリ
・音声読み上げソフト
・下敷きや厚紙
などがあります。
読み書きに関しては手書きでなくキーボードや音声で入力できるようにしたり、自動で読み上げてくれる機能を使用したりして学習の負担を減らす方法があります。また、読みや計算をする際に、必要な箇所以外を下敷きなどで隠すという方法もあります。
合理的配慮
・プリントの文字を拡大したり、フリガナを振ったりして渡す
・特性に応じた勉強時間を別途設定する
・別室での試験実施や試験時間の延長をする
・黒板の内容をカメラで撮影する
などがあります。
また、先ほど紹介したツールの学校への持ち込みも合理的配慮の一つと言えます。合理的配慮を希望する場合には、担任の先生、スクールソーシャルワーカーなどに相談してみましょう。
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児童発達支援/放課後等デイサービス
どちらも特性や性格などに応じて身の回りのことやコミュニケーション、学習へのサポートなどを行う児童福祉法に基づくサービスです。児童発達支援は未就学児が対象で、放課後等デイサービスは就学児を対象としています。
例えば漢字の書き取りが苦手な子どもに対しては、漢字ゲームや漢字パズル、似た漢字クイズなど楽しみながら学べる方法を試して、本人にとって一番分かりやすい方法を探っていくなどがあります。
LD・SLD(限局性学習症)と診断があっても、実際の困りごとは一人ことなるため、その子の特性や性格なども踏まえたうえで、マッチする学習方法を見つけるサポートをしていきます。
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神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。