3時間かかって5問解く…発達障害息子の宿題に毎日振り回され。夏休みは「大変だけどありがたい」存在で
ライター:丸山さとこ
夏休みに入り、中学生の息子コウが家にいる時間が長くなると「ねーお母さん」のラッシュが始まります。そんな毎日にグッタリすることも多くなる夏休み中の私ですが、「夏休み中は楽だな~!」と感じることもあります。それは、「毎日の宿題提出がなくなること」なのです。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
長期のお休みは「大変だけどありがたい」もの!?
常に宿題と明日の支度に振り回されているわが家です
息子のコウが小学生になったときから中学生の今まで、私は在宅で仕事をしています。そのため、コウは夏休みなど長期休暇の間は学童などを利用せず概ね家で過ごしています。
「ねーお母さん」「あのさー、この間さー」「〇〇食べていい?」が延々と続くため、仕事がはかどるとは言い難い状況になりますが、私はコウが長期休暇に入ると「楽だな~!」と感じます。
理由は簡単で、夏休み中は『明日の支度』と『毎日提出する宿題』がなくなるからです。
「ねーお母さん」「あのさー、この間さー」「〇〇食べていい?」が延々と続くため、仕事がはかどるとは言い難い状況になりますが、私はコウが長期休暇に入ると「楽だな~!」と感じます。
理由は簡単で、夏休み中は『明日の支度』と『毎日提出する宿題』がなくなるからです。
コンディションの揺れも持ち帰り忘れも問題にならない夏休みのありがたさ…
ASDとADHDがある息子のコウはコンディション次第で宿題にかかる時間がかなり変わります。早いときは5~10分で終わるプリントが、長いときには2~4時間かかったりします。
長くかかるときは、気が散ってずっとおしゃべりをしていたり音楽を聞いたりしているときもあれば、ただボンヤリと固まっているときもあります。プリントに一本線を引いては机に突っ伏し、消しゴムを握っては溜息をつき…なんてこともあります。
そんな彼が『毎日の宿題』を安定してこなすのはなかなか大変で、たった1枚のプリントを相手に親子で燃え尽きる日もたくさんあります。
長くかかるときは、気が散ってずっとおしゃべりをしていたり音楽を聞いたりしているときもあれば、ただボンヤリと固まっているときもあります。プリントに一本線を引いては机に突っ伏し、消しゴムを握っては溜息をつき…なんてこともあります。
そんな彼が『毎日の宿題』を安定してこなすのはなかなか大変で、たった1枚のプリントを相手に親子で燃え尽きる日もたくさんあります。
そんな風に日々宿題に振り回されがちなコウと私ですが、夏休み中はコンディションのよいときにだけ宿題を進めればよいので、「それだけでも助かるな~!」と感じます。
コンディションがよいからといって自分から夏休みの宿題をサクサク進めるということはほとんどありませんが、親が近くで様子を見たり手を貸したりすれば進むだけでかなり助かります。
コンディションがよいからといって自分から夏休みの宿題をサクサク進めるということはほとんどありませんが、親が近くで様子を見たり手を貸したりすれば進むだけでかなり助かります。
また、夏休み中は学校から宿題の一覧表が配布されるため、『宿題のためのノートやプリントを持ち帰り忘れた』場合もすぐに気づけるのもありがたいです。
コウは連絡帳の書き忘れや持ち帰り忘れが多いため、普段は宿題が出ているのかどうかすら分からない状況になりがちです。宿題の一覧表があると『宿題の範囲・提出期限』がハッキリ分かるため、親からの確認やフォローも行いやすくなります。
コウは連絡帳の書き忘れや持ち帰り忘れが多いため、普段は宿題が出ているのかどうかすら分からない状況になりがちです。宿題の一覧表があると『宿題の範囲・提出期限』がハッキリ分かるため、親からの確認やフォローも行いやすくなります。
生活リズムや宿題の大まかな計画は決めつつ、ゆるゆると…
このように、私とコウにとって夏休みなど長期休暇のいいところは『時間の融通がきくところ』なのですが、それはともすれば時間管理のルーズさという困った要素にもなりかねません。
ですので、食事時間や就寝時間などの基本的な生活リズムや『いつまでにどのくらい宿題を進めるか』などの大まかな計画は決めることを大切にして、可能な範囲でゆるゆると夏休みを過ごしていこうと思っています。
ですので、食事時間や就寝時間などの基本的な生活リズムや『いつまでにどのくらい宿題を進めるか』などの大まかな計画は決めることを大切にして、可能な範囲でゆるゆると夏休みを過ごしていこうと思っています。
執筆/丸山さとこ
(監修:井上先生より)
在宅ワークの親にとって長い夏休みは子どもといる時間が増えるため、互いにストレスがたまることもあるでしょう。一方、子どもさんにとっての長期休暇は日ごろの学校ルーティンから解放される意義ある時間です。
ただ予定がないと不安になったり、優先順位がつけられなくなってしまうので、時間的余裕が生まれるメリットを活用しつつ生活時間の中で子どもの体調に合わせたスケジュールを工夫したり、日ごろはできないお手伝いや調理などを学ぶ機会にするのはとてもよいことだと思います。
また親御さんのストレスを軽減し自立できるようにするためには、子どもさんが1人で取り組めるような活動や空間を用意することも重要でしょう。
在宅ワークの親にとって長い夏休みは子どもといる時間が増えるため、互いにストレスがたまることもあるでしょう。一方、子どもさんにとっての長期休暇は日ごろの学校ルーティンから解放される意義ある時間です。
ただ予定がないと不安になったり、優先順位がつけられなくなってしまうので、時間的余裕が生まれるメリットを活用しつつ生活時間の中で子どもの体調に合わせたスケジュールを工夫したり、日ごろはできないお手伝いや調理などを学ぶ機会にするのはとてもよいことだと思います。
また親御さんのストレスを軽減し自立できるようにするためには、子どもさんが1人で取り組めるような活動や空間を用意することも重要でしょう。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。