「奇跡です」発達凸凹高1次男、小3止まりだった学力が急上昇!しかし2年連続のうっかりミスで大学受験に失敗!?
ライター:ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ
わが家は10人家族です。家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。
いまは社会人5年目になる、おっとりキャラの次男ウッシーヤが高校生のときのエピソードです。
(今回のイラストは父ラクマが担当しました!)
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
中学生から積み重ねた工夫がついに花開く!?
わが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。
高校生になった次男ウッシーヤは、あいかわらずのゆったりペースで、学力は小学3年生レベルのままでした。ところが、高校1年生の2学期になって、いきなり学力がアップし、同級生たちに追いつきました。
高校生になった次男ウッシーヤは、あいかわらずのゆったりペースで、学力は小学3年生レベルのままでした。ところが、高校1年生の2学期になって、いきなり学力がアップし、同級生たちに追いつきました。
ウッシーヤのクラス担任の先生は驚きを隠せない様子でした。
「ウッシーヤくんは奇跡です。いったいなにが起きているのですか?」
私はすぐに答えられませんでした。中学1年生のときに発達の偏りが分かり、さまざまな工夫を重ねたので、どれが効果的だったのかは即答できなかったのです。
あれから10年経った今も、なぜ急に成績が伸びたのかは、よく分かりません。おそらく、ウッシーヤ本人が自分の言葉で語るときが来るのを待つのがいいと思います。
結果を急がず、日々工夫を楽しむことが大切ではないでしょうか。
「ウッシーヤくんは奇跡です。いったいなにが起きているのですか?」
私はすぐに答えられませんでした。中学1年生のときに発達の偏りが分かり、さまざまな工夫を重ねたので、どれが効果的だったのかは即答できなかったのです。
あれから10年経った今も、なぜ急に成績が伸びたのかは、よく分かりません。おそらく、ウッシーヤ本人が自分の言葉で語るときが来るのを待つのがいいと思います。
結果を急がず、日々工夫を楽しむことが大切ではないでしょうか。
保育士になりたい!やる気スイッチが入る
ウッシーヤは中学時代から始めた保育園のボランティアを高校時代も続けていました。おそらく年間50日くらいは通っていたようです。あまりの熱心さに園長先生はすっかり感心してくれたようで、
「将来、保育士の資格を取ったら採用してあげる」という励ましのことばをいただいたのです。
ウッシーヤのやる気スイッチが入りました。「高校を卒業したら保育科のある大学に進学したい」と言いました。
具体的な志望校も決まり、ますます勉強に力が入りました。成績も安定してきて、私はすっかり安心してしまいました。そのため、大学受験のために必要な高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の手続きを本人に任せてしまったのです。
「将来、保育士の資格を取ったら採用してあげる」という励ましのことばをいただいたのです。
ウッシーヤのやる気スイッチが入りました。「高校を卒業したら保育科のある大学に進学したい」と言いました。
具体的な志望校も決まり、ますます勉強に力が入りました。成績も安定してきて、私はすっかり安心してしまいました。そのため、大学受験のために必要な高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の手続きを本人に任せてしまったのです。
油断大敵、まさかの手続き失敗が連続
わが家の子どもたちは全員インターナショナル系のフリースクールに通っていたため、大学を受験するにはまず高卒認定試験に合格する必要がありました。そして、受験手続きのためには収入印紙を購入して、申請書類とともに郵送しなければなりません。ウッシーヤは手続きの説明書をしっかり読んで郵便局に向かいました。
ところが収入印紙を買うはずが、間違って切手を買って同封してしまったのです。しかも、説明書には「収入印紙と切手を間違えないように」と書いてあり、しっかりとそれに目を通したにもかかわらず、間違えたのです。
これはウッシーヤに思いこみが激しすぎるという特性があるために起こったことです。彼は、世の中に切手とよく似た「収入印紙」というものの存在を知らなかったのです。
いままで想像すらしたことのない「収入印紙」がいきなり現れたので、ウッシーヤはとても驚いたのでした。
せっかく学力が身についたのに高卒認定試験が受けられないのでは、大学も受験できません。かといって浪人したのでは、時間を持て余してしまううえに、苦労して身につけた学力が落ちるということが目に見えていました。
そこで本人や夫ラクマと相談した結果、本人が望む専門学校で学びつつ、高卒認定試験を再受験しようということに決まりました。「大学に進学して保育士の資格をとる」という目標は変わりませんでしたが、ウッシーヤは「せっかく専門学校に行くのなら、大学の学科にはない分野を学びたい」と希望したので、幼いころから大好きだったアニメの世界を知るため、声優学科がある専門学校への入学手続きを行いました。
ところが収入印紙を買うはずが、間違って切手を買って同封してしまったのです。しかも、説明書には「収入印紙と切手を間違えないように」と書いてあり、しっかりとそれに目を通したにもかかわらず、間違えたのです。
これはウッシーヤに思いこみが激しすぎるという特性があるために起こったことです。彼は、世の中に切手とよく似た「収入印紙」というものの存在を知らなかったのです。
いままで想像すらしたことのない「収入印紙」がいきなり現れたので、ウッシーヤはとても驚いたのでした。
せっかく学力が身についたのに高卒認定試験が受けられないのでは、大学も受験できません。かといって浪人したのでは、時間を持て余してしまううえに、苦労して身につけた学力が落ちるということが目に見えていました。
そこで本人や夫ラクマと相談した結果、本人が望む専門学校で学びつつ、高卒認定試験を再受験しようということに決まりました。「大学に進学して保育士の資格をとる」という目標は変わりませんでしたが、ウッシーヤは「せっかく専門学校に行くのなら、大学の学科にはない分野を学びたい」と希望したので、幼いころから大好きだったアニメの世界を知るため、声優学科がある専門学校への入学手続きを行いました。
声優クラスで演劇にハマる
ウッシーヤが小学校から高校まで通っていたインターナショナルスクールは、少人数制のクラスでした。
専門学校に入学し、初めてクラスメイトが数十人もできました。ところが本人は戸惑うことなく、キャンパスライフを楽しんでいました。
「変わったタイプの子ばっかりで、自分がちっとも浮いてないからうれしい」と言うのです。入学式では、たしかに個性的な感じのお子さんばかりだったので納得しました。
授業は歌って踊って芝居をしてという内容で、座学はまったくなかったこともよかったようです。ただ演劇の授業は指導教員がものすごく厳しく接するタイプだったので、かなり参ってしまったようです。でも演劇を学ぶことで、やりとりの間合いや距離感を体得できたように思いました。
ところが、演劇を学びつつ、高卒認定試験の手続きを進める予定だったのに、今度は手続きの締め切りを勘違いして見過ごしてしまいました。
進行をチェックする立場の私も、うっかりミスで見落としていました。親子でダブルうっかりです。2年連続の受験できない状態になってしまいました。
本人の調子がいいときほど、忘れ物に気をつけなければならないのに、またもやうっかりミスです。手続きの進行役を管理上手な夫ラクマに頼むべきだったと反省しています。
専門学校に入学し、初めてクラスメイトが数十人もできました。ところが本人は戸惑うことなく、キャンパスライフを楽しんでいました。
「変わったタイプの子ばっかりで、自分がちっとも浮いてないからうれしい」と言うのです。入学式では、たしかに個性的な感じのお子さんばかりだったので納得しました。
授業は歌って踊って芝居をしてという内容で、座学はまったくなかったこともよかったようです。ただ演劇の授業は指導教員がものすごく厳しく接するタイプだったので、かなり参ってしまったようです。でも演劇を学ぶことで、やりとりの間合いや距離感を体得できたように思いました。
ところが、演劇を学びつつ、高卒認定試験の手続きを進める予定だったのに、今度は手続きの締め切りを勘違いして見過ごしてしまいました。
進行をチェックする立場の私も、うっかりミスで見落としていました。親子でダブルうっかりです。2年連続の受験できない状態になってしまいました。
本人の調子がいいときほど、忘れ物に気をつけなければならないのに、またもやうっかりミスです。手続きの進行役を管理上手な夫ラクマに頼むべきだったと反省しています。
執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ
(監修:鈴木先生より)
発達に凸凹がある場合には、IQ検査をしてその凸凹の具体的な中身を知ったほうが今後の人生に役立ちます。うっかりミスが多い場合はADHDを想定して、かかりつけ医または近所の精神科・心療内科にまず相談するといいでしょう。後者であればIQ検査も可能です。
そこで不注意優勢に存在するADHDの診断がつけば、適切な治療をしていくことで、うっかりミスを防ぐことも可能です。学校へ行っている期間は親がチェックすることもできますが、いざ就職し働き始めると、自分でスケジュール管理をしなければなりません。仕事に支障がでてくる場合もあるため、早めの医師への相談をおすすめします。
発達に凸凹がある場合には、IQ検査をしてその凸凹の具体的な中身を知ったほうが今後の人生に役立ちます。うっかりミスが多い場合はADHDを想定して、かかりつけ医または近所の精神科・心療内科にまず相談するといいでしょう。後者であればIQ検査も可能です。
そこで不注意優勢に存在するADHDの診断がつけば、適切な治療をしていくことで、うっかりミスを防ぐことも可能です。学校へ行っている期間は親がチェックすることもできますが、いざ就職し働き始めると、自分でスケジュール管理をしなければなりません。仕事に支障がでてくる場合もあるため、早めの医師への相談をおすすめします。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。