3歳から睡眠障害に悩む自閉症娘、「規則正しい生活を」なんて無理!課題に追われ、高校生で見つけた時間管理術とは?

ライター:寺島ヒロ
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わが家の凸凹兄妹の妹いっちゃんはASDと非24時間睡眠覚醒症候群があり、一日を約25時間で過ごしています。毎日寝る時間が1~2時間ずつ後ろにずれていくのです。そのため月の半分ぐらいは昼夜が逆転した状態となってしまいます。睡眠障害で困り果てた幼稚園のころや小中学校時代を経て、高校生になった今、娘がどうやって日々の時間管理をしているのかについて、今回はお話ししていきます。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

規則正しく25時間生活。非24時間睡眠覚醒症候群のASD娘

うちの娘、いっちゃんはASD。非24時間睡眠覚醒症候群もあり、毎日寝る時間が1~2時間ずつ後ろにずれていきます。
 
16歳になった今でこそ「大体規則正しく25時間周期」と分かっていますが、3~4歳のころはただ夜になかなか眠れず、朝もなかなか目を覚まさない子、やっと起きても何だかぼんやりして元気のない子という印象でした。
何とか起こしてみても…体の動きもぎこちなく大変機嫌の悪い自閉スペクトラム症がある娘
何とか起こしてみても、まるで召喚された魔王のごとく…!
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「規則正しい生活をさせてください」と言われても...

当時通っていた幼稚園や小児科では、「規則正しい生活をさせてください」と言われました。が、実のところ「なにか生活リズムが崩れるようなことがあって」崩れているのではないのです。
 
朝起こして、日の光にあて、食事も時間通りに用意して、追い立てるように運動させても、就寝時間はきっかり1〜2時間ずつズレていきます。
実際、いっちゃんが小さいころから中学生になるぐらいまで、何度も「朝型の生活に固定してみよう」と、朝起こして、日にあてて、運動させて…とやってみてはいたのですが、3日も経つと、へとへとに疲れているのに夜眠ることだけはできず「つらい…つらい…」と5~6時間も布団の中でうめき続けることになります。
 
親としてはとても冷静に見ていられません。そして、その次の日は気絶したように眠り続け、起きてくるのは昼過ぎになり、元の木阿弥となります。
眠たいのに眠れないと訴える睡眠障害がある娘、これが明け方まで続く…
眠たいのに眠れない…。これが明け方まで続く…。
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高校は通信制を選択

高校進学を前に、病院での指導のもと服薬治療をしたこともありますが、これも決定打にはなりませんでした。結局、朝から定時に学校に通うことは難しいと判断し、高校も通信制を選びました。
当時の治療と高校選びの顛末を書いたコラムはこちら
https://h-navi.jp/column/article/35028499
実は私自身にも同じような睡眠障害があります。ただ私の場合は睡眠時間自体は長くなく、だいたい6時間程度なので、いっちゃんが10歳になるころまでは睡眠薬を使って、朝と夕方は起きていられるよう活動時間を合わせていました。
そういった経緯もあり、娘の睡眠が安定しないと感じてすぐ「この子も私と同じように睡眠周期が大多数の人と違うのでは?」と思い、3歳ごろから睡眠日記をつけ始めました。その結果8歳ごろには「概ね26時間周期、睡眠時間は10時間のロングスリーパー」だと分かりました。

ちなみに、16歳の今は睡眠時間が9時間に短縮され25時間周期になっています。
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一日の始まりの時間が毎日違う

そんな娘ですが、高校進学してからは完全に自分のペースで起床就寝をするようになりました。睡眠不足にならないのはいいのですが、一日の始まりの時間が毎日違うので「何時から何時まで勉強をする」という習慣はどうしてもつきにくいようです。
また、いっちゃんには絵を描いたり音楽を作ったりSNSの管理をしたりと、ほかにもやりたいこと、やらなければいけないことが多すぎて、どうしても決まった時間を勉強に充てることができないでいました。

授業の時間割はどうでもいい!まずは終わらせること

学校のレポート提出の締め切り前になると慌ててやるのですが、その日はずっとフワフワオロオロしてほかのことが一切できません。食事もしようとしなくなるので、1年をようやっと乗り切ったとき、「これはダメだ、定期的な時間割をつくるのは無理でも、何かルールがあったほうが良い」と母子共に思うようになりました。
娘の場合、毎日同じ時間に勉強するのは無理です。なので、時間割ではなく、本人にタスクをつくってもらうことにしました。中学時代には私がカードでつくっていたこともありましたが、今回は紙に書き出すだけです。
娘が中学生のころつくっていたタスクカードについてのコラムはこちら
https://h-navi.jp/column/article/35028313
とにかく「起きてから寝るまで」に、やらなければいけないことを書き出しておいて、余裕を持って期日までに終わらせるようにと伝えました。

「一日単位」より「一週間単位」だった

最初はただタスクを紙に書いていただけでしたが、数日たってふと見ると、一週間分のタスクを書き出し、四角で囲んで順番に並べて矢印で繋いでいました。
工夫してスケジュール表をつくった娘「売れる?」と得意そう...
自閉症の娘が工夫して、自らつくったスケジュール表!新発明と思いきや、これは「ガントチャート」ですね。
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娘には、一日単位で同じことを繰り返すのは無理だったのです。でも一週間単位であれば大体きれいに予定が収められることに気がついたのですね。これは私にとっては意外な盲点でした。今日一日のような短い時間の方が、娘には管理しやすいと思い込んでいたのです。反省です。
膨大なタスクをやりくりするのは大人でも容易なことではありませんが、自分で工夫して進捗状況を可視化することで、少しづつ慌てないようにはできてきているようです。新発明ではありませんでしたが、自力でたどり着いたことを褒めてあげたいと思います。
執筆/寺島ヒロ

(監修:初川先生より)

睡眠のリズムをめぐるいっちゃんとヒロさんの歴史と現在の工夫のシェアをありがとうございます。
睡眠時間が日ごとにずれていくお子さん、いらっしゃいますね。そして、コラムの中にも出てきたように「生活リズムを正して」という助言がなされる場合が大半だと思います。

これまで、生活リズムを整えるべく、朝起きて朝日を浴びて運動して…そうした工夫もやってみたけれどうまくいかなかった。疲れているのに眠れないいっちゃんの様子に、そばで支えるヒロさんがつらくなるほどであったこと。このあたりも、共感される読者の方もいらっしゃることと思います。
そして、睡眠記録をつけてみたら、いっちゃんの睡眠リズムに一定の法則があることが見えてきた。ここもとても大事で、睡眠記録をつけて客観的に見てみることで、本人の内的なリズムによるものか、あるいは、外的な要因によるものか(例えば、曜日によって、あるいは行事や季節によって変化のあるお子さんもいることと思います)そのあたりが整理されますね。

現在高校生のいっちゃん。自分のやることを時間とひもづけて考えるのではなく、タスクとして管理する。そして、それが日ごとよりも、週単位で管理した方がやりやすいことに気づき、ガントチャートをつくって目で見て確認できるようにしている。
これまでのひろさんの工夫を受け継ぎ、そして自分に合ったものへとブラッシュアップして活用できていること、とても素晴らしいですね。

今、お子さんがまだ幼い方も、保護者による手立てや工夫がこのように将来お子さんが自分自身で活用することができるかもしれないというとても素敵な例だと思います。参考になる経験談いっぱいで勉強になりました。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。


ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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