自閉症中1娘と1歳次男のきょうだい児関係。姉がお世話をするのは当たり前?「面倒見てもらえるでしょ?」の言葉に母はモヤモヤ
ライター:SAKURA
広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。
2人の弟(長男・小学1年生、次男・1歳9ヶ月)がいます。
まだしゃべることのできない1歳の次男は長女にとっては苦手要素の塊。
どう接していいか分からないようで…。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
自閉スペクトラム症のある中1娘、1歳の次男にどう接していいか分からない…!?小児科に行ったときに…
広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。2人の弟(長男・小学1年生、次男・1歳9ヶ月)がいます。
娘はコミュニケーションが苦手という特性があり
・話すこと
・察すること
が得意ではありません。1歳の次男のことは大好きなのに、しゃべることのできない次男は長女にとっては苦手要素の塊。どう接していいか分からないようで…。
娘はコミュニケーションが苦手という特性があり
・話すこと
・察すること
が得意ではありません。1歳の次男のことは大好きなのに、しゃべることのできない次男は長女にとっては苦手要素の塊。どう接していいか分からないようで…。
中1自閉症娘は「察せない」。1歳次男のお世話は見てる「だけ」!?話せない弟は苦手要素の塊で…年の離れたきょうだい児の関係性
ある日、娘と次男を連れて小児科を受診すると・・・
よその家族が、上の子が下の子を抱っこして、お母さんがゆっくり看護師さんと話している横で、わが家は、私が次男の相手をし、娘は優雅に本を読むという状況。薬局での処方説明のときも…。
暴れる次男を抱っこしながら、私が必死に話を聞き、娘はぼーっとしています。
何も知らない人からどう思われてるのか気になってしまい
もしかしたら…何も知らない周りの人は「あの大きなお姉ちゃんは、弟の面倒を見ないのだろうか…」と思うかもしれません。
しかし、この状況で、もし娘に次男の相手を頼むと…
しかし、この状況で、もし娘に次男の相手を頼むと…
抱っこが苦手な娘が、暴れる(重すぎる)次男を抱えきれなかったり…
イヤイヤする次男に、娘がイライラして、肌をかきむしったり…
外に出ようとする次男を娘が止めなかったり…結局、私が代わることになってしまいます。
まだまだ親のフォローが必要な娘。「一般的な当たり前」について考える
こんな感じで、自分の言葉が通じない、言葉をちゃんと話すことができない、小さい子どもの面倒が苦手な娘。
コミュニケーション以外にもいろいろな苦手があるので、親のフォローがまだまだ必要です。
私は今まで「上の子が中学生なら、下の子の面倒を見てもらえるでしょ」と言われたら、「そうですね」と答えていました。
実際にはいろいろありますが、知り合い程度の人だと、そこら辺の事情を話して、(娘に発達障害があると知り)相手がリアクションに困ったりすると、申し訳ないと思っていたからです。
コミュニケーション以外にもいろいろな苦手があるので、親のフォローがまだまだ必要です。
私は今まで「上の子が中学生なら、下の子の面倒を見てもらえるでしょ」と言われたら、「そうですね」と答えていました。
実際にはいろいろありますが、知り合い程度の人だと、そこら辺の事情を話して、(娘に発達障害があると知り)相手がリアクションに困ったりすると、申し訳ないと思っていたからです。
話を合わせたあとは、少しだけ違和感がありました。これは発達障害がある娘を責めているわけではありません。
誰にだって、得意不得意があります。発達障害がなくても、小さい子の世話が苦手な子だっています。しかし、一般的な当たり前が、どこにでも当てはめられると思われ、できて当たり前だと思われるのが、嫌でした。
そんなふうに思いながらも、私は、娘に次男の世話を頼み続けていました。娘に対して、下の子の面倒をよく見るお姉ちゃんを、ついつい求め、一般的なことをあてはめようとしていたのかもしれません。
次男の遊び相手やお世話を頼んだとき、娘はいつも、どうしていいか分からないといった顔で、次男のそばに立ち、楽しそうではありませんでした。
誰にだって、得意不得意があります。発達障害がなくても、小さい子の世話が苦手な子だっています。しかし、一般的な当たり前が、どこにでも当てはめられると思われ、できて当たり前だと思われるのが、嫌でした。
そんなふうに思いながらも、私は、娘に次男の世話を頼み続けていました。娘に対して、下の子の面倒をよく見るお姉ちゃんを、ついつい求め、一般的なことをあてはめようとしていたのかもしれません。
次男の遊び相手やお世話を頼んだとき、娘はいつも、どうしていいか分からないといった顔で、次男のそばに立ち、楽しそうではありませんでした。
そんな娘ですが、何もできない訳ではありません。実は家ではかなりの戦力になっており、大活躍な一面もあり…!? 弟の世話だけが姉の役割じゃない。娘の特性を活かしたわが家の役割分担はまた別のコラムで書いていければと思います。
執筆/SAKURA
(監修:初川先生より)
娘さんは次男くんが大好きだけれど、お世話を頼まれると困ってしまうのですね。次男くんは1歳とのこと。1歳児を相手にする場合、年長者の側が察して・先んじて、さらには次男くんを楽しませてといった気遣いや配慮をすることまでもを含んでの「お世話」になります。なかなかの難度です。ASD特性をお持ちの娘さんだとなおのこと難しい面はありますね。
そして、1歳児の育児をする保護者は、平常時からしてなかなか大変だからこそ、兄姉に助けてほしい面もあるでしょうし、中学生だったらできてほしいという思いも自然なものだと思います。しかしながら、実際に娘さんに頼んだ経験から手間やひやひやする思いが増えたこともあり、娘さんには(小児科や薬局で)頼まず、おひとりで見ることにしたけれど、しかしもやもやする面が多少あるのですね。そんな中、SAKURAさんは、娘さんの家庭内での大活躍もしっかりと気づいていらっしゃるのですね。次回のコラムも楽しみにしています。
執筆/SAKURA
(監修:初川先生より)
娘さんは次男くんが大好きだけれど、お世話を頼まれると困ってしまうのですね。次男くんは1歳とのこと。1歳児を相手にする場合、年長者の側が察して・先んじて、さらには次男くんを楽しませてといった気遣いや配慮をすることまでもを含んでの「お世話」になります。なかなかの難度です。ASD特性をお持ちの娘さんだとなおのこと難しい面はありますね。
そして、1歳児の育児をする保護者は、平常時からしてなかなか大変だからこそ、兄姉に助けてほしい面もあるでしょうし、中学生だったらできてほしいという思いも自然なものだと思います。しかしながら、実際に娘さんに頼んだ経験から手間やひやひやする思いが増えたこともあり、娘さんには(小児科や薬局で)頼まず、おひとりで見ることにしたけれど、しかしもやもやする面が多少あるのですね。そんな中、SAKURAさんは、娘さんの家庭内での大活躍もしっかりと気づいていらっしゃるのですね。次回のコラムも楽しみにしています。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。