嫌な予感がした、そのわけは...

最初に集合場所に連れて行ったとき、全員が揃う間の待ち時間に子どもたちがリズムゲームをしていたのですが、タケルを送り届けて、私が帰ろうとしたら「親御さんも一緒にリズムゲームをしましょう!」と、誘われました。
 
「え?いや私は……やめておきます」
ASDの傾向があり、予定にないことをさせられるのが苦手な私は即座に断りましたが、「お子さんと思い出をつくりましょうよ!みんな待ってますよ!」などと強引に誘われ、しぶしぶ参加したのでした。
なお、ゲームは散々なものでした。わたしのところでゲームが止まる、そしてタケルのところでも止まる。周囲の子どもたちの視線が痛かったです……。
会場にタケルを送っていったときの様子になんだか嫌な予感がするわたし(母)
なんだか嫌な予感がする…
Upload By 寺島ヒロ

嫌な予感は的中…!10分でキャンプ場に到着し驚かれる。

すぐ行きますの言葉通り、10分弱で現地に到着し、硬直したタケルを車に乗せ、嵐のように撤収しました。
車の中で多少は落ち着いたのか、滝のように呪詛の言葉を吐きはじめるタケル……。それで親のほうも何が起こったのかを把握することができました。
スタッフの方々は善意と熱意でいろいろやってくださっているとは思うのですが、こちらのニーズには合っていなかったのです。

うまくいかなかった経験も大切に

子どもにとっては滅多にない機会だけに、楽しい思い出にできなかったのは残念でしたが、親子共にいい経験になりました。
これは嫌味とかではなく、「転び方」を覚えることも必要だと思うからです。
これ以降も何度か「合わないイベント」に参加しては失敗はするのですが、かばってくれたあの女の子のような誰かに助けられたり、ときには限界を超えて倒れたりしながらも乗り越えてきました。その一つひとつが、タケルにとってはかけがえのない、いい経験になっていると思います。
これからもあまり恐れることなく、いろいろなことに飛び込んで経験を積んでいってほしいなと思っています。
執筆/寺島ヒロ

(監修:初川先生)
イベント参加の失敗例についてのシェアをありがとうございます。スタッフの方々の思いも分かりますが、タケルくんには本当にきつかっただろうなぁとお察しします。初めて会う同世代集団との遊びも、タケルくんからしたら、状況がよく分からないけれどとりあえず飛び込んでみた感じのものだったと思います。そこでトラブルに巻き込まれてしまうと、文脈が取りづらい面があるがゆえに、自分に対する嫌がらせに困惑し、つらかったろうと思います。

スタッフの方々も、善意と熱意で誘って下さるのはありがたいけれど、しかし、特性のあるお子さんからすると、欲しいのは状況の説明(翻訳)であったり、お子さん自身の気持ちを聞いて下さることであったりして、緊張感の高い時間が結果として続いてしまったのかもしれないですね。

タケルくんはさまざまなイベントに参加してきて今回の経験をし、そしてその後もさまざま参加されているのですね。参加してみようという意欲が続いているのは素敵なことだと思います。お子さんによっては、一度つらい思いをすると似たようなイベントへの拒否が強くなることもあるかもしれませんね。

お子さんの成長度合いにもよりますが、イベントなどのスタッフの方の中に、「この子には発達的な特性が強くあるのかもしれない(発達障害があるのかもしれない)」と折にふれて“発達障害かも”というメガネをかけてお子さんのことを見ることができる人がいる(つまり、発達障害や発達的な課題への知識や経験がある)と、まずはお子さんの安心につながるだろうと感じます。知識の有無というよりも、イベント以前からの関係性があったり、細やかに個別対応できる人的余裕があったりすることでも、そのあたりはクリアできるかもしれません。ともあれ、お子さんが新奇性や非日常性の高いイベントに参加する場合は、まずは本人が安心しやすい設定かどうかを見るのも1つかなと思います。

失敗もまた「いい経験」、「転び方」を知る。ヒロさんの捉え方素敵ですね。失敗がお子さんにとって大きな傷にならないように、ヒロさんらは近くで待機されていたり、女の子たちのサポートに気づいてみたり(振り返ってみたり)。イベントの前後でタケルくんへのフォロー体制を取られていたがゆえに、そのように捉えることができるのだろうと感じました。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。



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