小5で通常学級から特別支援学級へ。軽度知的障害の娘、友達グループから浮かない?母は心配だったけど…

ライター:よしだ
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わが家の長女、ゆいは中学1年生。小学5年生の時に軽度知的障害、ASD、場面緘黙の診断を受けました。今回は、診断を受けた頃の長女のお友達関係についてお話しさせていただきます。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

障害の診断を受けて一番に考えたこと

長女が小学校4年生だったある日、私は担任の先生から呼び出されました。「ゆいさんを見ていると、授業の進度についていくのが少し大変そうに感じます。もしよかったら一度専門の機関で相談してみては……」と先生から薦められました。

その後長女は発達に関する検査と診察を受け、軽度の知的障害・ASD・場面緘黙と診断されました。
検査の結果を受けて小学校の先生方と話し合い、算数など苦手な教科のときは特別支援教室で授業を受けることにしました。通常学級の授業は長女にとっては進度が早く、苦手な教科はついていくのが難しいので、この取り出しタイプの指導は長女にぴったりだったと思います。(※自治体により制度は異なります)

ただ、一つ心配なことがありました。同じクラス中でほかの子どもたちと一人だけ違うことをすることで、友達から違和感を持たれることはないか、友達との関係が変わってしまうのではないかということでした。
長女は小学5年生の時に軽度の知的障害・ASD・場面緘黙の診断が下りました。
長女は小学5年生の時に軽度の知的障害・ASD・場面緘黙の診断が下りました。
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女子グループの中で浮いてしまうのでは…?

長女はおとなしいタイプなので友達と喧嘩をすることはありませんでしたが、人間関係って何がきっかけで変わってしまうか分からないから……と、私は少し不安に感じていました。「もし長女が友達とうまくいかないようなことがあったら、保護者としてはどう対応したらいいのだろうか……」など心配しながら過ごしていました。

ある日、長女が学校から帰ってきて「今日友達がうちに遊びに来るよ」と言いました。しかも「一緒に宿題をするんだ」とうれしそうに言うので私はちょっと焦ってしまいました。特別支援教室で出された長女の宿題は、通常学級の宿題とは違い、長女の学力に合わせた易しい内容のものです。一緒に宿題をするって、どうするんだろう……?
特別支援教室に通う娘と通常学級に通う友達たちがわが家に集まり宿題をすることに。「一緒に宿題をするって、どうするんだろう……?」と不安に思う母親。
特別支援教室に通う娘と通常学級に通う友達たち。一緒に宿題をするって、どうするんだろう……?
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自分の考えが恥ずかしくなった

けれども私の心配は全く無用なものでした。友達数人でわが家に集まり宿題が始まったのですが、皆が長女に勉強を教えてくれるのです。それは子どもたちにとってはとても自然で当たり前のことのようでした。

私は、自分が心配をしすぎていたことが恥ずかしくなりました。特別支援教室で授業を受けること、そんなことで友達は態度を変えたりなんてしないし、長女も何も変わりません。私だけが「この子は皆と違う」と枠をつくって囲っていました。障害の診断がついたことで変わったのは大人の私の意識だけ。しかも悪いほうに……。
通常学級に通う友達が特別支援教室に通う長女に勉強を教えている。
特別支援教室でも通常学級でも、友情は変わらない。
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長女に障害の診断がついたことで私自身は変な方向に意識を変えてしまっていたのです。この状態では、私は第三者が掛けてくれる優しい声を、逆にネガティブに受け取ってしまうかもしれません。これからは私が考えを改めないといけないなと痛感した出来事でした。そして、何も変わらない子どもたちに大切なことを教えてもらったありがたい出来事でもありました。

成長と同時に長女にはこれからも新たな悩みが出てくるかもしれません。でも、母である私自身がなんでもフラットに受け止められる状態でいられるよう努力していきたいと思っています。

(監修:藤井先生より)
特別支援教室に転籍したらいじめられるのかも、と親御さんが心配されることがあります。今回の吉田いらこさんも、友達関係が変わってしまうのかも、と心配されていたようですが、心配は無用だったようですね。

親だからこそ、子供が困らないようにと心配してしまうのは仕方がないのですが、案外平気なこともたくさんあります。今回のように、心配無用だったなということを知り、親自身、大人自身が教えられる場面もたくさんあります。子育て中は、こうなったらどうしようと心配になることもあるかもしれませんが、そうなったらそうなったときに考えれば良い、とどんと構えることも時には必要かと思います。素敵なエピソードの共有をありがとうございました。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。


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