「あぁ、やっぱり」

これが当時の私の正直な気持でした。
この時、娘はグループホームに入居していたので、相談は私よりも先に支援者にしていました。でも娘は体調不調の一番の原因がインターネットでのトラブルであるということを支援者には言っていませんでした。

私は娘に言いました。
「あなたは幼稚園の頃から常に“気になる人”がいて、注意しに行っては自爆していたよね? ほら幼稚園の○○君、小学校の××君、中学校の□□さん、昨年のネットトラブルの△△さん。覚えてるでしょ?」

学校や会社の避けられない人間関係は仕方ないけど、ネットは明らかに自分から見に行ってるよね。それがあなたの特性で仕方がないのかもしれないけど、今回が初めてじゃないでしょ? 自らトラブルに巻き込まれるようなところに突っ込んでいくのはもうやめようよ。幼稚園や学校では先生、会社ではジョブコーチが相談にのったり指導をしてくれるよね。でもネット上のトラブルには誰も介入できないし助けることはできないよ。もうそろそろ学ぼうよ」

娘は「それがなかなか難しい」と言います。
このようなトラブルは娘が元気(元気すぎてハイになっている?)時に起こることが多いように感じます。

まとめ

障害のある子どもの子育ては本当に一筋縄ではいきません。かれらは何度も何度も同じようなことを繰り返します。やけに記憶力が良くて過去のことを鮮明に思いだしてフラッシュバックを起こしたりする一方で、過去の出来事が全くなかったかのような振る舞いをしたりもします。近くで接する親はそのたびに大きなダメージを受けます。

私はこれまでも何度も言ってきたことを再び娘に言います。
「世の中にはいろいろな人がいることは分かってるよね。『自分が正しいと思うこと』と『相手が正しい思うこと』が違うこともあるんだよ。あなたの物差しでジャッジして相手を変えようとすることで、自分のメンタルを崩しちゃうのってもったいと思わない? まぁこういう私の考えも、あなたに“押しつけること”はできないんだけどね」

本人の意思を尊重しつつ、本人が自分の特性とのつき合い方や折り合いを身につけるまで、私たち親は根気よくつき合っていくしかないのだとつくづく思います。

それでもグループホームに入居している今は、支援者の方々も娘の日々の生活について一緒に考えてくれるので、娘が自宅にいた頃に比べ親の精神的な負担は格段に減ったと感じています。
娘の強すぎる正義感。その正義感は誰のため!?
娘の強すぎる正義感。その正義感は誰のため!? 
Upload By 荒木まち子
(監修:井上先生より)
発達障害のある人たちの特性やこだわりのなかで他人のルール違反が許せないという方は少なくないと思います。頭のなかで「あの人はルールに反している」と考えるだけならよいのですが、実際にその人に対して直接行動を起こすとトラブルの原因になることがあります。

ルール違反を見ないようにしても目についてしまった場合、直接相手に行動を起こすのではなく、上司や管理者に対して報告する、親御さんを含め支援者やカウンセラーに相談するなどの対処法を取れるよう本人も練習していく必要性があるかもしれません。報告や相談をしても相手の行動は変化しない場合もあるかもしれませんが、「自分は対処した」という納得が得られるように援助していくという方法です。

もう1つの方法として、頭のなかに「あの人はルール違反をしている」という考えが浮かびやすい自分の特性を理解したうえで、この考えを否定せず頭のすみにおいたままにするという練習もあります。マインドフルネスなどの活用も考えられます。ご参考になれば幸いです。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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