療育で過ごした日々は、小学生になった現在へと繋がっている

療育に通っていた3年間でほぼ毎回取り入れられていた事があります。
それは「先生に伝える」という事です。遊びの中で何かを選び「先生これをください」と言ったり、工作でわざと材料が足りないように用意してあり「先生これがありません」と言ったり。
「この子たちは困り事が無くなる事はありません。小学校で困った事や分からない事があった時にそのままにせず、伝える練習をしています。」と説明されました。

小学生になったスバルは、特別支援学級に通っています。
練習の成果が出ているのか堂々たる伝えっぷり。
発達性協調運動障害(発達性協調運動症)があり、とても不器用であらゆる教科で困り事に直面するのですが、
「交流級での図工で彫刻刀が不安なのでついてきてもらっていいですか?」と言って補助の先生に同行してもらったり、
「この道具は使えそうにないので、これを代わりに使っていいですか?」と自ら代替案を出したりしているそうです。

療育に通っていた当時、私はピンと来ていませんでしたが、時を超えて今、繋がりがりました。
あの時ふてくされていてごめんなさい。
執筆/星あかり

(監修:初川先生より)
療育に通い始めた頃のあかりさんの気持ち、逡巡する思いについてのシェアをありがとうございます。
療育に通うということは、トレーニングしたら伸びるのでは・追いつくのではという気持ちを持っておられたり、同世代の子らとの違いに焦り不安を感じてすがる思いで通われたりというのが最初は多くあるのかと想像します。

“魔法のような”トレーニングが行われるのではと期待したくなりますね。ただ、実際の療育は、簡単なことを構造化された環境の中で一つひとつ丁寧に行い、都度褒められ……といった形式のものが多いと思います。
焦る気持ち、はやる気持ちからするとじれったく感じるかもしれません。ただ、あかりさんが途中で気づかれたように、お子さんの現状に合ったレベルで、スモールステップで進むこと、そのことがまずは幼稚園などの大きめの集団の中ではなかなか提供できないことであったりします。基礎をしっかり固めること、そしてそれがお子さん本人の意欲と興味を引き出すような仕掛けを伴って提供されること。療育の醍醐味だなと感じます。

療育はその担い手によって大事にすることややり方は違いますが、「先生に伝える」を大事にされたところに通われていたのですね。伝える、ヘルプを出すといったことは年齢が上がっても(大人になっても)必要なことの一つです。そのあたりを通底して身につくように働きかけられた経験が小学生になっても役立っているのは何よりです。
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https://h-navi.jp/column/article/35029684
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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