ADHDとASDはどう違う?【公認心理師・井上雅彦先生にきく】
ライター:発達障害のキホン
「ADHDとASDの違いが知りたい」「同じような特性でも診断名が違うことなどある?」──そんなことを知りたいとき、専門の先生の解説があると心強いですね。ここでは「ADHDとASDの違い」について、鳥取大学 大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生が分かりやすく教えてくれます。(取材/LITALICO発達ナビ編集部)
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
Q:ADHDとASDの違いが知りたいです。同じような特性でも診断名が違うことなどあるのでしょうか
A:ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもたちに対してADHD(注意欠如・多動症)の併存率が高いといわれています。併存としての特性があるかもしれないと考えて配慮することが必要です。
ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いといわれていますが、症状の表れ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。
ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意、多動性、衝動性などの特性があり、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。特性の表れ方によって多動・衝動性の傾向が強いタイプ、不注意の傾向が強いタイプ、多動・衝動性と不注意が混在しているタイプなど主に3つに分けられ、これらの症状が12歳になる前に出現します。特性の多くは幼い子どもに見られる特徴と重なり、それらと区別することが難しいため、幼児期にADHD(注意欠如・多動症)であると診断することは難しく、就学期以降に診断されることが多いといわれています。また、個人差はありますが、年齢と共に多動性が弱まるなど、特性の表れ方が成長に伴って変化することもあります。
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもたちに対してADHD(注意欠如・多動症)やDCD(発達性協調運動症)や知的障害(知的発達症)が併存することが多いといわれています。特にADHD(注意欠如・多動症)の併存率が高いとされています。
DSM-ⅣまではASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の診断があると、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を優先するとされていましたが、DSM-5以降からASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)のどちらもあるという診断が可能になっています。最近ではASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の重複が多いとされているので、併存としての特性があるかもしれないと考えて配慮することは必要だと思います。
ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意、多動性、衝動性などの特性があり、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。特性の表れ方によって多動・衝動性の傾向が強いタイプ、不注意の傾向が強いタイプ、多動・衝動性と不注意が混在しているタイプなど主に3つに分けられ、これらの症状が12歳になる前に出現します。特性の多くは幼い子どもに見られる特徴と重なり、それらと区別することが難しいため、幼児期にADHD(注意欠如・多動症)であると診断することは難しく、就学期以降に診断されることが多いといわれています。また、個人差はありますが、年齢と共に多動性が弱まるなど、特性の表れ方が成長に伴って変化することもあります。
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもたちに対してADHD(注意欠如・多動症)やDCD(発達性協調運動症)や知的障害(知的発達症)が併存することが多いといわれています。特にADHD(注意欠如・多動症)の併存率が高いとされています。
DSM-ⅣまではASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の診断があると、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を優先するとされていましたが、DSM-5以降からASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)のどちらもあるという診断が可能になっています。最近ではASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の重複が多いとされているので、併存としての特性があるかもしれないと考えて配慮することは必要だと思います。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。