支援級は高校進学に不利?自立につながる考え方のポイントとは

ライター:LITALICOライフ
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「支援級」とも呼ばれる、公立校の特別支援学級。発達障害を含め、さまざまな特性がある子どもたちが自分らしく、安心して学校生活を送れるよう、学習面などで手厚いサポートを受けられるメリットがあります。その一方で、通常学級とは評価基準が異なるため、内申点に反映されず高校受験の時に考慮されないというケースも。「特別支援学級に通ったあと、高校進学や就職にどんな影響があるのか分からない」そんな疑問に、特別支援学級卒業後の進路に関する勉強会体験ルポを通してお答えします。

小学校・中学校と特別支援学級に通ったら、高校進学にマイナスなの…?

特別支援学級は高校受験に不利?自立につながる進路の考え方
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今年6歳になった小学1年生の息子には、ASD(自閉スペクトラム症)の診断があり、知的障害もあるので療育手帳を取得しています。

普段からこだわりが強かったり、場に合った行動を取ることが難しく癇癪を起こしたりすることもあるため、小学校は少人数でみてもらえる特別支援学級に在籍しています。

「わが子の様子を担任の先生から聞く限り小学校は特別支援学級が合っていると思うけど、その場合高校や大学への進学はどうなるのだろう……?」
「中学校までは特別支援学級があるようだけど、中学卒業後は?」
「特別支援学級は内申点がつかないと聞いたことがあるけど、高校進学で不利になるのかな?」
「小学校入学時から特別支援学級に通っていることが、高校選びやその先の大学進学・就職にどんな影響を与えるのか分からない……」など漠然とした不安を感じていました。

そんな時、「支援級卒業後の進路」をテーマにしたオンライン勉強会があると知り、少しでも卒業後の生活をイメージできたらと思い参加してみることにしました。

特別支援学級卒業後の進路は特別支援学校だけじゃない!選択肢は広がっている

勉強会ではまず、一番気になっていた小・中学校で特別支援学級に通ったあとの高校の選択肢について話がありました。
全日制高校、定時制高校、通信制高校だけでなく、高等専門学校、高等専修学校、フリースクールなど、中学までとはまた違った選択肢も。

さまざまなデータや実際の学校で行われている取り組みなども踏まえて分かりやすく説明がありました。
その中でも、10年前には約70%が中学校の特別支援学級を卒業したあとは特別支援学校高等部に進学していたのに比べて、今は約57%が特別支援学校以外の高等学校に進学しているというデータもありました。

特別支援学級に在籍したからといって進路が限られることはなく、たくさんの選択肢があるからこそ、息子にとって何がいいのか、情報収集が必要だと感じました。
中学校特別支援学級卒業後の進路のグラフデータ
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文部科学省「学校基本調査 /卒業後の状況調査 義務教育学校」平成22年度版
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=dataset&toukei=00400001&kikan=00400&tstat=000001011528&cycle=0&tclass1=000001039789&tclass2=000001039790&tclass3=000001039803&tclass4=000001039804&stat_infid=000008349892&tclass5val=0
文部科学省「学校基本調査 /卒業後の状況調査 義務教育学校」令和4年度版
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E6%94%AF%E6%8F%B4%E5%AD%A6%E7%B4%9A%E3%80%80%E3%80%80%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%80%E9%80%B2%E5%AD%A6&layout=dataset&stat_infid=000032264957&metadata=1&data=1
公立の高校でも通級指導教室が実施されていたり、個人の障害・認知・学習特性などを見極めた上で個別の指導計画を作成するなど、特色ある通信制高校もあるそうです。
通信制高校に加えて「サポート校」を利用するという方法もあり、卒業や大学受験、就職など自分に合ったサポートを受けられるとのこと。

とはいえ、高校は中学校までと違って義務教育ではないため、入学の前には試験があります。

自治体や学校ごとによって試験内容や求められるレベルが違うので、高校進学の時にどんな選択でもできるというわけではありません。
かかる学費の負担もそれぞれのケースで違うため、「将来子どもににどうなってほしいか」という中長期的な視点と、「今どんな環境であれば過ごしやすいか」という「個」と「環境」を整理する両方の視点を持って、最適な進路選択をしていくとよい、ということを知ることもできました。

高校進学後も人生は続く。自立するための3つのポイントは?

勉強会では、高校卒業後の選択肢についても話がありました。
自立するための3つのポイント「仕事」「生活」「お金」に絞って、基礎的な情報と考え方に関するお話でした。

まず仕事に関しては、大きく分けて一般就労と福祉的就労の2つがあります。
一般就労の中でも一般雇用と障害者雇用がありますが、「障害者雇用だから賃金が安い」ということではなく、障害者雇用で合理的配慮を受ける中で、どうしても働ける時間や日数に制約が生まれるため、その分賃金が減ってしまう場合があるということでした。

次に生活に関しては、住まいの選択肢について話がありました。
「息子が将来グループホームを利用するかも」とは考えたことがありませんでしたが、私たち親に何かあった時にはそういう選択肢も必要になるというのは大きな気付きでした。

最後に、自立を支える上で大切なお金。お金は仕事や生活すべての基盤になります。
息子自身が自立して長く生活を営んでいくためには、私と夫が見通しを持って教育資金などを準備する必要があります。
今回のテーマである高校進学の時も、高等学校等就学支援金や私立高等学校等授業料軽減助成金事業といった学費支援制度などを利用できる場合もあると聞き、さまざまな支援があることにホッとしました。
子どもの将来の自立を想像するお母さん
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勉強会に参加する前は、春からの小学校入学ばかりに目を向けていましたが、勉強会での講師の方のお話を通して、高校進学以降も息子の生活は続いていくこと、息子の自立をサポートするためには親自身の生活のことも考えていかなければならないことにハッとさせられました。

また、希望者にはLITALICOライフの無料個別相談で、息子の特性や進路・お金などの面で、知識と経験が豊富なプロの方に相談に乗ってもらえるとのこと。
まずは今日の勉強会で学んだことを家族と話しながら、高校以降の息子の進路についても地域の学校情報を調べてみたいと思います。

特別支援学級卒業後の進路について考えてみよう

LITALICOライフでは、発達障害のあるお子さまの保護者向けの勉強会「支援級卒業後の進路」を開催中です。
子どもの将来の自立を想像するお母さん
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勉強会テーマから選びたい方は、下記ページをご覧ください。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。


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