弟と一緒に受けたWISC検査で、発達障害があることを知って

ハルが小4になった頃、ハルの弟・次男ツトム(当時年長)が、小学校入学前にWISC検査を受けることになりました。次男ツトムは長男ハルとは異なり、こだわりがとても強く、不眠や癇癪もありました。そのため、発達障害の知識がそれほどなかった私でも、就学前に一度発達外来で診察してもらおうと考えていました。どうみても圧倒的に視野が狭く、興味のあることにのみ過集中で多弁な次男ツトムに関しては、さすがの夫でも「検査や診察なんてするな!」とは言わなかったのでした。

ちょうどその頃、私はハルの担任の先生から「ハルの会話のキャッチボールのしづらさ」を指摘されていました。「非常に穏やかで真面目なお子さんですが、こちらが言ったことやくみ取ってほしいことに対し、あまりそぐわない返事を、空気が読めずに言うのです」と。このような経緯もあり、私は「この機会に、ハルも検査を受けてみたほうが良いのでは?」と考え、次男ツトムと一緒にハルにもWISC検査を受けてもらうことにしました。そうしたキッカケがなければ、当時小4のハルが検査や診察を受けることはなかったかもしれません。

WISC検査を受けた結果、ハルには各発達指標の数値に大きな「差」が見られました。さらに、医師からASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断されたのです。
小4で、やっと発達検査を受け医師に診てもらった長男ハル
小4で、やっと発達検査を受け医師に診てもらった長男ハル
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これには私も、そして夫も、少なからずショックを受けました。ですが一方で、ハルを育てている中でずっと感じていた周囲との微妙なズレの理由が、ようやく理解できたような気持ちもありました。そのため、私はすぐに「前を向こう。この子に合った接し方や伝え方とは何だろう?」と、考え始めたのでした。
執筆/安田ふくこ
(監修:藤井先生より)
ハルさんの学校での様子を受けて、発達外来を受診されたことで、ハルさんの特性の理解ができるきっかけになったのですね。WISC検査で数値に大きな「差」があっても、発達障害に直結するものではありません。しかし、特性の理解のために補助的に検査を行うことはよくあります。知識的な言葉は持ち合わせていても、理由や説明が苦手など、検査中の行動を観察することも可能です。検査の結果は補助的ではありますが、お子さんへの接し方を振り返り、集団生活での支援を学校と共有する上で、必要になることがあります。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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