3歳息子の多動が心配で発達相談を決意。健診はスムーズ?医師の見立ては…

ライター:よいこ
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ASD(自閉スペクトラム症)と診断されている、わが家の長男あー。 3歳半健診を迎えた頃はまだ診断前でしたが、すでに幼稚園へ通っており、あーの集団の中での在り方……というか在れてない様子(涙)を大体は分かっているつもりでいました。
3歳半健診で発達相談をすると固く心に決めていた私でしたが……。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

思いがけない難所にぶち当たる

いよいよ3歳半健診を迎えた長男あー。関門は健診当日を迎える前にすでに用意されていた……それは視力検査と聴力検査!

わが自治体では、時間短縮のためか当日の緊張による検査拒否回避のためか、「視力検査と聴力検査は自宅で済ませてきてください」というルールがあります。

聴力検査は、一定の距離からささやき声で話しかける声が聞こえているか。視力検査は、あらかじめ配布されていた紙を見てこれまた一定の距離を空けて質問に答えられるか……というもの。

まず聴力検査。多分聴こえてる……んだろうけど答えてくれない! どっか行っちゃう! 待って! 行かないで……(涙)!

そんで視力検査、これまたどっか行っちゃう! ようやく引きつけても……聞かれている意味が分からない? のか答えてくれない……(白目)。

というわけで戦う前からボロボロとなり、白紙で提出したのでした……(でもどうにかなった)。
聴力検査に視力検査……3歳児健診の関門は始まる前にありました!
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3歳半健診会場で、同年齢の子どもたちの落ち着きっぷりに衝撃

3歳半健診の会場に行って驚いたのは、なんと言ってもほかの子どもたちの落ち着きです。

幼稚園でも同年齢の子どもを見ているけれど、幼稚園は彼らにとっていわばホーム。思い思いのびのび過ごしているので、わんぱくだったり時に大人の言うことを聞かなかったり、そんなことはよくある光景……。 ということもあって、当時の幼稚園で、あーはそこまで目立っていなかったんですね。

それがいつもと異なる空間に放り出されたら……。ほかの子どもはいつもと違うことに少し緊張しているし、社会性が芽生え始めている頃なのでかしこまりがちなんです。おとなしく、親御さんの隣で座って待っている。絵本なんか読んだりしてね。

一方のあーは……いつもと違うところ、というのはあーにとってはパニックのトリガー。テンションマックスになりその辺を走り回る……。絵本やお絵かきでごまかそうとしても全然収まってくれない! やっと座ってくれたと思ったら、だらーんと椅子から崩れ落ち(体幹が弱い)、だらしなく見える……。

もう……お母さん穴があったらダイブしたい……(号泣)
健診会場では、ほかの子どもたちとわが子の違いに落ち込む
健診会場では、ほかの子どもたちとわが子の違いに落ち込む
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健診はスムーズに進み、いよいよ小児科の先生の診察へ……

そんなあーですが、意外と健診自体はこなせるタイプです。要は待つ、とかそういう「何もない時間」が耐えきれないわけで、3歳半健診で聞かれる「この色は何色ですか」みたいな問診には落ち着いて答えられるんですよね。内科系の診察も全部パスしていました……(注射など痛いことがなければ大丈夫なのです)。
健診自体はスムーズにこなすことができ、複雑な思いの母
健診自体はスムーズにこなすことができ、複雑な思いの母
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複雑な思いと全身疲労を抱え、最後に迎えた小児科の先生の診察。私は思い切って先生に言いました。

「発達に不安があるんです」

すると先生は、
「なるほど。電車の名前とかいっぱい言ったりする?」
とたずねてきました。

電車……の名前は言わない……言わないぞ! 言わない! これは……この子は違うのでは!?

私の中にほんの一瞬、ほそーい光が差した次の瞬間のことでした。

あーが壁に貼ってある大好きなアニメキャラクターのカレンダーに張り付いて、そこにいるキャラクターの名前をはじから全部言い出したのです(キャラクター多すぎアニメで、ぎっしりキャラクターが描かれているデザインだった……)!


そんなあーを見て、先生はニコッと笑って「発達相談に回すね」とおっしゃったのでした。

……そうですよね、知ってた!!!

もろくも崩れ去った母の小さな希望はさておき……いよいよ、3歳児健診で絶対すると決めていた、発達相談に臨むことになったのでした。
大好きなアニメキャラクターがぎっしり書かれたポスターに一目散! 名前をはじからすべて言い出した
大好きなアニメキャラクターがぎっしり書かれたポスターに一目散! 名前をはじからすべて言い出した
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執筆/よいこ
(監修:鈴木先生より)
どの親御さんにとっても、ご自身のお子さんの障がい受容は難しいものです。「障がい者」というレッテルを貼られたくない気持ちがあります。私はASDを障がいではなく「特性」だと日頃から保護者の方にはお伝えしています。将来的に、その特性を生かした仕事ができればいいので今日から一緒に向き合っていきましょう、とお話しします。不安を持った親御さんにも、そしてお子さんにも寄り添って診察していくことが重要なのです。困っていることを一つひとつ解決へ導き、ストレスのない生活が親子で送れることを願っています。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。


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