WISC検査の結果の見方は?数値の凸凹が大きいとどうなる?検査の活用方法は?

ここではWISC検査の各主要指標の数値が高いとどのような特徴があるのか、また数値が低いとどのような困りごとが起きやすいのかご紹介します。

・言語理解指標(VCI)が高い場合
語彙力が高く、読み書きや文章の理解が得意

・言語理解指標(VCI)が低い場合
先生の口頭での指示や、プリントや黒板に書かれた文章が理解できないことがある

・ワーキングメモリ指標(WMI)が高い場合
一時的に情報を記憶する力が強く、複数の情報を処理することができる
 
・ワーキングメモリ指標(WMI)が低い場合
指示を覚えていられず、注意がそれやすい

・処理速度指標(PSI)が高い場合
タスクを効率的に素早く判断し、処理することができる

・処理速度指標(PSI)が低い場合
読み書きや会話の反応などが遅くなることも。テストなどに時間がかかる

・流動性推理指標(FRI)が高い場合
論理的に物事を捉えることが得意

・流動性推理指標(FRI)が低い場合
問題解決や新しい環境で見通しを立てることが苦手

・視空間指標(VSI)が高い場合
視覚的思考や図、地図などを理解するのが得意

・視空間指標(VSI)が低い場合
グラフの読み取りや図形問題などが苦手

数値の凸凹が大きい場合

WISC検査で算出された各指標の数値の差が大きければ大きいほど、そのギャップから子どもの生活や学習上の困りごとも大きくなる可能性もあります。WISCによる数値だけで子どものすべてを把握できるわけではありませんが、得意不得意を知ることは困りごとの把握や対策を考える上でも活用できます。また、WISCの結果を子どもが通っている学校や支援機関とも共有することで、学校生活や支援で困りごとを減らしていくことにもつながります。

検査結果に一喜一憂するのではなく、子どものためにも上手に活用していくようにしましょう。
参考:大六 一志著「知能検査の “ 正しい ” 理解─課題の自覚と効果的な努力を導くために─」発達障害研究 第43巻(2021 年)第1号P.26~32
https://doi.org/10.60260/jasdd.43.1_26
参考:岡田 智, 飯利 知恵子, 安住 ゆう子, 大谷 和大著「自閉症スペクトラム障害における日本版WISC-IVの認知プロフィール―Cattell-Horn-Carroll 理論によるサブタイプの検討―」教育心理学研究 第69巻(2021 年)第3号P.254~267
https://doi.org/10.5926/jjep.69.254
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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