もう集団行動は無理だと諦めた私。でも3歳になって……

その後も子育て支援施設で絵本と音楽を合体させたショーを見たり、子ども向けの美術系のイベントに参加したり、児童館でリトミックをやってみたりといろいろ集団行動をするような場所へ行ったのですが、どれにも参加してくれず、私は走り回る息子たちを捕まえるばかり……。また親子スイミングへも通っていたのですが、準備運動を拒否し一人で即プールに入ろうとするのをいつも止めていました(コーチにはよくフォローしていただきました……)。私は(これはもう諦めよう……。集団行動が苦手なら、無理に参加する必要はない)と思うようになりました。

しかし、息子たちが3歳になった頃、変化があったのです。

息子たちが大のお気に入りの場所の一つに室内アスレチックが豊富な市営の子どもの遊び場がありました。そこではいつも決まった時間に手遊びと紙芝居が始まります。アスレチックで遊んでいる子どもたちはそれが始まるとみんな集まって、手遊びをし紙芝居を見るのですが、息子たちは決して参加せず、アスレチックで遊び続けていました(みんなが紙芝居を見ている背後で駆け回っていました)。

しかし3歳のある日、突然長男が紙芝居の真ん前にちょこんと座り、紙芝居を見だしたのです。その姿に私はびっくり!今まで声がけをしても一度も見なかったのに、いきなりどうして!?しかし、その日を境に長男はその遊び場で紙芝居が始まると必ず見るようになり、また弟もそれから1ヶ月ほど後から一緒に見るようになったのでした。
突然紙芝居を見だした息子たちに驚き!
突然紙芝居を見だした息子たちに驚き!
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「集団行動ができない」と悩んでいたけれど……

それからというもの、息子たちは紙芝居が大好きになり、大きなイベントのショーなどにもがぜん食いつくようになったのです。おそらく、それまでは手近にある遊びたいものに目を奪われていて、それ以外のもの(紙芝居など)に気づいていなかったのではないかと思っています。

その後、2人とも幼稚園に入園し、遠足や運動会といった集団活動もできるようになりました。また、入園後もリトミックにはなかなか参加できなかったのですが、年少の終わり頃から喜んで参加するようになりました。

小学校入学後は通級指導教室に通いつつ、一斉指示が入りづらい面はあるとはいえ集団活動に大きなトラブルもなく小学5年生になりました。

0歳、1歳の頃に感じた「多動かも」「発達障害かも」というのは間違っていなかったとは思います。ですが、「集団行動ができない」と悩んでいたのが嘘のように、学校が好きで、遠足を楽しみにしたり、運動会のダンスも(不器用なので上手く踊れないのですが)楽しそうにやっています。今は「苦手なものはあるけれど、この子たちの得意を伸ばせればいいのかな」と思えるようになりました。
運動会で踊る息子たちを見て「集団行動ができない」と悩んでいたのが嘘のようで感動
「集団行動ができない」と悩んでいたのが嘘のようで感動
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息子たちは人との距離感が近くハラハラする時もありますが、その分さまざまな人と仲良くなれるので、これからもたくさんの人とつながりつくって、楽しい毎日を過ごしてもらえたらと思っています。
イラスト/星河ばよ
エピソード参考/くまごろう

(監修:森先生より)
お母さんが辛抱強くサポートしたおかげで、お子さん達の興味の幅をひろげることができたのですね。さて、子育て中の方からの「集団行動が苦手」というお悩み相談は多いのですが、お子さんが小さいうちは特に個人差が大きい部分ではあります。

興味をひかれるもの、興味の芽生えるタイミングなどは、本当にお子さんによってばらばらだからです。保護者の方から見たら「集団行動ができないのかな?」と不安になってしまうかもしれませんが、「周りのみんながしていること」よりも「自分が本当に興味のあること」を大切にするタイプということもあるのです。

ダンスや紙芝居に興味が持てないとしたら、周りの人に興味がない、聴覚の過敏さがあって音楽や読み聞かせがあまり好きではない、身体を動かすのが苦手、単純にまだ面白さに気づいていない、などいろいろな理由が考えられます。ダンスや紙芝居など、今は興味が持てないとしても、身近にあればいつかは面白さに気がつくかもしれません。
もちろんお子さんの気が向かない時には、無理に集団活動に参加させる必要はありません。

児童館、子ども向けのイベントや療育機関などに積極的に参加して、その中で自由に楽しく過ごせるといいですね。「発達障害があるかないか」や「みんなが興味を持っていることに参加しているかどうか」よりも、お子さん自身の興味の向くことを深め、ひろげてあげるようにサポートをすることが重要なのです。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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