園行事に参加できなかった自閉症グレー年長長男。「最後の発表会だけは!」と親子で猛特訓、結果は?

ライター:プクティ
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ASD(自閉スペクトラム症)の疑いがあると言われているわが家の長男。現在は特別支援学級に通う小学1年生です。今回は、長男が保育園に入園した後に参加した、最初で最後の運動会と発表会のお話です。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「TOIRO」の制作スタッフ。

練習をせず、ずっと参加できなかった運動会

ASD(自閉スペクトラム症)の疑いがあると言われているわが家の長男。現在は特別支援学級に通う小学1年生です。長男は、年少で入園した幼稚園が合わず、途中で退園し、別の保育園に転園しました。転園したのが年中の12月だったので、その年に予定されていた行事は全て終わっていました。そのため、長男は年長になってから初めて保育園の運動会に参加しました。
転園後初めてとなる保育園の運動会。年長長男の団体競技を楽しみにしていた
転園後初めてとなる保育園の運動会。年長長男の団体競技を楽しみにしていた
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幼稚園に通っていた時の運動会では、練習に参加できないからと団体競技には一切参加させてもらえませんでした。運動会の本番で、みんなに背を向けて寂しそうに座っている長男の姿を目にして、非常に残念な気持ちになったため、保育園ではそのことを説明して、ぜひ参加させてほしいとお願いをしていました。そういった経緯もあり、保育園の運動会では、きっと長男も団体競技に参加できるはず……と楽しみにしていました!
団体競技に参加させてもらえず、見学している長男の姿が……!
団体競技に参加させてもらえず、見学している長男の姿が……!
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しかし運動会当日、団体競技には参加させてもらえず、一人体育館の隅で座っている長男の姿があり本当にショックでした……。後々先生になぜ参加させてもらえなかったのか確認したら、やはり練習に参加できなかったからとの回答があり、もっと前から先生に確認していれば良かったと心から後悔しました。

保育園最後の行事は参加させてあげたい!始まった特訓

運動会の次の行事は発表会。その年に保育園で行われる行事は、卒園式を除けばそれが最後となります。運動会で一人で座っていた長男の姿が目に浮かび「今度こそ絶対に全部参加させてあげたい!」と思った私は、発表会の練習が始まる頃に先生にお願いをしに行きました。
先生に「自宅でも練習したいので演目を全て教えてほしい」と伝える
先生に「自宅でも練習したいので演目を全て教えてほしい」と伝える
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発表会で発表する予定の演目、内容、楽器を全て教えてもらい「家でも練習するので、発表会では全ての演目への参加を目指していきたい」と先生に気持ちを伝えました。
自宅での特訓をスタート!本人が自信をもてるようになるまで練習を繰り返した
自宅での特訓をスタート!本人が自信をもてるようになるまで練習を繰り返した
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それからは毎日家で特訓!楽器の練習から歌の練習、劇の練習を本人が自信をもってできるようになるまで一緒に頑張り、保育園での練習にも嫌がらず参加してほしいということを長男にたくさん言い聞かせました。

また、先生からのご厚意で特別に保育園での練習を見学させてもらったり、お迎えの時などに練習にどのように参加できているか確認したり、意識的に保育園の先生とのコミュニケーションを増やすようにしました。

そして迎えた発表会当日……

保育園最後の発表会では全て参加することができた
保育園最後の発表会では全て参加することができた
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そして迎えた発表会当日。そこには自信をもって発表会の演目全てに参加する長男の姿が!最後まで嫌がっていた演劇にも楽しそうに参加していて心から感動しました……!

本人も発表会後、全てに参加できたことが本当にうれしかったのか、何度も発表会の話をしたり、撮影したビデオを何度も観たりしていました。今まで行事にはきちんと参加できていなかった長男が初めて全て参加できたことにより、忘れられない貴重な成功体験となりました。
執筆/プクティ
(監修:新美先生より)
園での行事参加について、詳しく教えていただきありがとうございます。
園や学校の行事は、一般の多くのお子さんがそれなりに楽しんで参加されますが、自閉特性、ADHD特性、不器用さなどのあるお子さんにとっては、いつもと違って見通しが持てない、練習が大変、興味が持てない、注目されるのが苦手、人が多いのがつらい、放送や音響の音がうるさい、などなど、書ききれないほどのトラップがあってなかなか参加できないことはしばしばあります。ただ、お子さんによっては練習には参加できなくても当日ぶっつけ本番でやってのける子もいる中で、練習に参加していないから当日の集団演技に参加させてもらえないなんて、切ない対応ですよね。めげずに、最後の発表会は準備をしっかりして臨んだプクティさんの親としての思いに心を打たれました。

まだ習得していない、運動・ダンスや楽器演奏、劇のセリフなどは、集団で練習するよりも個別で練習したほうが安心して練習に専念できるので身につけやすいです。個別に練習してだいたいできるようになってから、園での集団の練習に加わるというのは、とてもよいやり方だと思います。小学校での行事でも応用できますね。身につけるのに時間がかかりそうな場合、少し早めに内容を教えてもらって、余裕をもって家で練習を始めるというのもよいかもしれませんね。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030202
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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