勉強についていけなくなったASD(自閉スペクトラム症)小4のみき

発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー「発達障害の子どもと私たち」みき編第2話をお届けします。

5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けているみきは、就学相談で知的障害特別支援学級に入るか相談しましたが、IQが入級基準以上だったため通常学級と判定されました。今は通級指導教室へ通っています。小学4年生になったみきは学校の勉強にだんだんとついていけなくなり、自己肯定感は下がるばかり。頑張っているのに上手くいかない状況に追い詰められていきます。
一方母は、みきの様子を見て、集団授業についていけないなら少人数で見てもらえる特別支援学級を考えるように。

次回、第3話では学校との転籍への話し合いが始まります。第3話「「学校がつらい」娘の心が壊れそう…!特別支援学級へ転学希望も、担任は反対で…」ぜひご覧ください。

心理面の支援と通常学級の中での特性にあわせた支援【専門家解説】

小学校中学年になって学習内容も複雑になり、一部の授業での理解が困難になってしまうことに加え、そのことが大きなストレスや不安につながり、みきさんはとても苦しんでおられます。お母さんは、みきさんの自己肯定感を上げようと社会や理科は頑張れているという話をされていますが、本人はできないところに注目してしまっているようです。お母さんや通級の先生だけでなく、通常学級の担任の先生が普段の授業の中でみきさんの頑張りを認めていくことが重要になっていきます。通常学級の授業の中で、例えば「主人公の気持ちを理解する」という課題は、ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもにとって難しい課題だと思いますし、グループの話し合いに積極的に参加することはなおさらです。こうした特性を担任の先生が理解し、適切なヒントや援助を出せるかどうかが通常学級の中での本人の学びに大きく影響します。担任の先生だけで困難な場合は、特別支援教育コーディネーターや通級指導教室の先生に親や本人の間に入ってもらうことも考えられると思います。通級指導教室の先生に通常学級での授業を見学してもらったり、担任の先生と情報交換をしてもらうことも一つのアイデアです。
井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
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発達障害のあるお子さんの学習を含めたサポート方法について詳しくは以下をご覧ください。
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ぜひご覧ください。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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