恩師G先生

その後、そのセミナーは障害のある若者と大学生が共に大学で学ぶための行政と大学の連携・協働を通じたインクルーシブ・プログラムであること、セミナー受講が無料であることなどが分かりました。社会人向けの生涯学習に近いものと知り、私はほっとしました。
インクルーシブ生涯学習プログラム
https://www.sagami-wu.ac.jp/longlife/inclusive/
【夢をかなえるセンター】生涯学習:「みんな集まれ!大学で学ぶ楽しみ発見セミナー」の紹介
https://www.sagami-wu.ac.jp/info/20240829_11/
「みんな集まれ!大学で学ぶ楽しみ発見セミナー」の紹介チラシ
https://www.sagami-wu.ac.jp/media/20240805_akademy_flier.pdf
娘は高等特別支援学校卒業後、就職をしましたが、「大学に進学したい」という思いがあったことは察していました。また、娘は中学2年生まで通常学級で過ごしていたこともあり、“定型発達の人たちのコミュニティへの参加”をどこかで求めていたことも私は知っていました。
そんな娘がこのプログラムに強い関心を持つのは当然でした。
娘の卒業から7年が経ちますが、その間もG先生はずっと子どもたちのことを想い、彼らが活き活きと過ごせるような居場所を創り続けてくださっていたと知り私は胸が熱くなりました。
社会人4年目の発達障害娘と同級生の現実。「就職率ほぼ100%」の高等特別支援学校卒業後、定着率は…?のタイトル画像

社会人4年目の発達障害娘と同級生の現実。「就職率ほぼ100%」の高等特別支援学校卒業後、定着率は…?

新しいインクルーシブ・プロジェクト

このような取り組みをしている自治体や大学があることを、私は全く知りませんでした。

G先生は「当事者と大学生がフラットな関係性の中で学べるようになることを願っています。インクルーシブ・プログラムは大学生にとってもかけがいのないものだと思います」とおっしゃっています。

私もこの取り組みが全国に広がってスタンダードなものになってくれたら良いな、と思います。

そして日本の従来のインクルーシブ・プログラムとは違う『障害のある当事者自身が己の意志を発信し、大学生たちも能動的・自主的に関わっていく』そんな“青年期のインクルーシブ・プロジェクト”が今後、社会にどのような変化をもたらすのか、今から楽しみでなりません。

親として思うこと

親は“子どものため”と思ってさまざまな情報収集をし、居場所を探します。親なきあとのことを心配して、就労先や住むところを探します。

でも、その行動は果たして子ども本人が望んでいることなのか、本人はそこに幸せを感じているのか。

実は一連の行動は“親自身の安心のため”なのではないか?

子どもが成長するにつれ、いろいろと考えさせられます。

高校生までは私が娘にとって必要であろう福祉や支援の情報を探してきましたが、今回のように娘自身が積極的に情報を探すようになってきたことを私はとてもうれしく思っています。それらは、親のフィルターを通さず、娘自らが望み、選んだ情報だからです。

そして、そんな場を創ってくださる方々、サポートしてくれる人々に、私は感謝の気持ちでいっぱいです。

執筆/荒木まち子
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社会福祉士って何をする人?福祉オンブズマンって何だろう?障害のある子の保護者が知っておきたい資格・支援者【荒木まち子の支援者紹介】

(監修:井上先生より)
勉強だけでなく、余暇や居場所づくりは幼児期から成人期まで継続的に必要なことです。成人期になって、自分でそういった場が選択できるようになったベースには、幼児期からの親御さんのご努力があったのだと思います。働く場所以外の交流の場は、親にとって心配な部分もありますが、信頼できる支援者の方たちのサポートがあることによって、本人も親御さんも安心して参加できる場所になっていると思います。
先輩や友人との交流によって、自分の価値観や生活スタイルに広がりがでてくるとよいですね。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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