自閉症息子、一人暮らしの現実。お金、なくしもの、片付け、心配ごとばかり!?親なきあとの準備に今できることとは【マンガ専門家体験】

ライター:専門家体験談
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専門家の先生がみてきた子どもや大人のエピソードをもとに、分かりやすくマンガ化してお届けするシリーズ企画。今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害がある社会人のケースです。

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監修: 渡部伸
行政書士
親なきあと相談室主宰
社会保険労務士
慶應義塾大学法学部卒後、出版社勤務を経て、行政書士、社会保険労務士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。現在、渡部行政書士社労士事務所代表。自身も知的障害の子どもを持ち、知的障害の子どもをもつ親に向けて「親なきあと」相談室を主宰。著作、講演など幅広く活動中。

「生活費がなくなったから貸して」「保険証がない」一人暮らしをしている発達障害息子

発達障害の専門家が出会った子どもや大人、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。
今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害のある社会人のケースです。会社に勤めて一人暮らしをしているのですが、保護者の悩みは尽きなくて…。
自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害のある20代男性。一人暮らしをしているが、「生活費がなくなった」「保険証が見つからない」と親を頼り、部屋も散らかっている。
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自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害がある息子の頑張りは理解するが、親なきあとを不安に思う保護者。「親なきあと」相談室の先生を訪れて相談すると、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」について説明を受ける。
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支払いの確認を一緒にしてくれる、通帳やハンコを社会福祉協議会の貸金庫で預かってもらえる、などの説明を受ける。事前に子どもも含めて面談も行い、すり合わせを行う。今後については、民生委員など外部との接点を増やしておくことをすすめられる。
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マンガ/カタバミ

解説:支援制度の特徴を理解し利用を検討、外部との接点を増やすことも大切

今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害があり一人暮らしをしているわが子を心配する保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。

このケースのように、就労し一人暮らしをしている場合、「自立してくれてうれしいけれど、何かあるたびに親を頼るのでこれからのことを考えると心配」という保護者の方もいらっしゃるかもしれません。特に、お金の管理や手続き関係、重要物の紛失などはサポートが必要な場面もあるでしょう。

ここでは3つの支援を簡単にご紹介します。

1.社会福祉協議会の日常生活自立支援事業
今回のマンガでご紹介した制度です。社会福祉協議会に連絡し、相談・打ち合わせ、支援計画の作成などを行い、契約・サービス開始となります。日常的なお金の出し入れ、契約手続き、通帳やハンコの預かりなどの支援を受けられます。

2.自立生活援助
自立生活援助は、2018年4月より新たに創設されました。障害のある人が一人暮らしを始めたときに、定期的な巡回訪問などを受けながら生活や健康、必要な手続きなどについて助言や支援を受けられるサービスです。まずは市町村の福祉窓口に相談します。標準利用期間は1年間ですが、さらにサービスが必要な場合は、市町村審査会の個別審査を経て、複数回の更新が認められます。

3.成年後見制度
障害者や高齢者など判断能力の乏しい人の法律行為や契約をサポートする制度です。すでに判断能力が不十分な場合の法定後見と、判断能力が不十分な状態になったときに備える任意後見があります。

どのような制度があるのかあらかじめ知っておくことが大切です。また、地域とのつながりを増やすために、余暇活動に参加する、民生委員に早めに相談する、など外部との接点を増やしておくことをおすすめします。
厚生労働省|日常生活自立支援事業
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/chiiki-fukusi-yougo/index.html
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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