「計算機!」と言えることが大事

以前息子が学校から持ち帰った「自分の将来の希望」というプリントには、このように書いてありました。

「自分の将来の希望」
職種:事務
仕事内容:パソコン
この仕事を選んだ理由:パソコンやりたいから
はたらく時間:8時45分から17時00分
給料:5000円
給料で何を買いたいですか?:プラレール


給料の欄に5,000円とありました。プラレールはだいたいこの金額だから「給料5,000円でよい」と考えたのでしょう。
作業所に行けば工賃は月10,000円くらいなので「当たらずといえども遠からず」なのですが、生活するにはいくら必要か、金銭感覚がありません。先生が言っていたように、金銭感覚を育てるのはなかなか難しいのかもしれません。

障害のあるを子どもの自立とは、親なきあとのことを考えて、頼れる大人をたくさんつくっておくこと、そしてできないことはSOSを出し、誰かに頼ることだと思います。
お店で正しい金額を出せなかったらお店の人にSOSを出すこと、また今はお金の計算ができなくてもキャッシュレスの時代がやってきたので、カードに頼ればいいと考えています。

宿題が解けないとき、息子は「計算機!」と訴えます。これはとても大事なことだと思っています。

以上、私が思った自立のお話でした。
執筆/立石美津子

(監修:鈴木先生より)
困った時、誰かに頼ることはいいことだと思います。話を聴いてくれる人がいればいいのです。学校なら担任がその役目を担っていますが、残念ながら必ずしも誰もが聴いてくれるとは限りません。ある大学では、学校で一人でも生徒の話を真剣に聴いてくれる職員(先生に限らず用務員でも可)がいればその子は将来就職できる可能性が高くなるというデータがあります。学校を卒業したあとでもSOSが出せる環境であればいいのです。しかしながら実社会では神経発達障がいに対する理解が乏しいのが現状で、パワハラなどで苦しんでいる人が多く私の外来を受診してきます。いつでもどこでも誰でもSOSを聴いてくれるような社会になってくれればいいのです。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030355
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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