「言葉が出なくても焦らない」そんな気持ちを支えてくれた支援

息子はなかなか言葉が出なくて、日々とても心配していました。そんな時、支援の方から「今、息子くんはたくさんのことを吸収しています。それが積み重なった時に言葉としてあらわれますよ」と言われ、おかげで「今は吸収の時期なんだ」と自分に言い聞かせ、焦る気持ちを抑えることができました。もし支援に繋がることができなかったら、親子ともにつらい日々を過ごしていたと思います。本当に感謝しています。

結局、発語があったのは3歳0か月のとき。現在4年生の息子はおしゃべりもできるようになり、元気に成長しています。

今感じている課題はコミュニケーションです。友だちが遊びに来ているのに学校の宿題を始めたり、会話が一方的だったり……。少しずつでも人の気持ちを察することを学んでいってほしいなと思っています。

子どもたちはみなそれぞれのペースで成長していくのだなと実感しています。これからも息子のそばでその成長を見守っていきたいです。
エピソード提供/ゆきこ
イラスト/よしだ

(監修:藤井先生より)
1歳半健診で発達の遅れを指摘され、言語聴覚士さんや児童発達支援施設に通い、息子さんに必要な支援につながってきた貴重なご経験を読ませていただきありがとうございました。お子さんの言葉が出なくて心配されている方の励みになりますね。療育先に悩まれる場合があるかと思いますが、言葉だけでなく、認知面、運動面も含め包括的にみてもらえる児童発達支援施設で療育を受けることは良い選択ですね。地域によっては施設が遠方だったり、空きがなかったりすることがあります。かかりつけの小児科の先生に受給者証用の意見書ないし診断書を書いてもらい、保健センターなどで情報収集を行なって地域での療育先を探されるのが良いです。焦ってもお子さんの成長のペースは一人ひとり違うものです。成長をこれからも見守っていきたいですね。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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