ASD(自閉スペクトラム症)と診断、精神障害者保健福祉手帳を取得

当時、娘は障害者手帳を持っていませんでした。教頭先生から「適応障害だとしても理由が弱すぎます。障害者手帳がない以上は通常学級に戻ってもらうしかないんです」と言われたため、私はもう一度児童精神科の受診を決意し、すぐに病院を探し始めました。息子の通う児童精神科は大きな病院でしたがかなり遠い上に予約が取りづらく、娘を定期的に連れていくのは厳しそうでした。そこで「自転車で通える」「思春期を迎えるし、女性の医師のほうが気持ちを話しやすいのでは」という条件で病院を探し続け、なんとか児童精神科の予約を取りました。

以前よりも障害特性が強くなっていたためか、今度は「ASD(自閉スペクトラム症)」と診断されました。精神障害者保健福祉手帳を取得するため、その病院に通院を続けることに決め、学校にも報告しました。そして、障害等級2級と判断され、娘は次年度も特別支援学級に無事に残れることになりました。

こうして現在は、特別支援学級で適切な支援を受け、先生方に見守られながら、特別支援学級のお友だちと自分のペースで過ごしています。
特別支援学級のお友だちと自分のペースで過ごしている娘
特別支援学級のお友だちと自分のペースで過ごしている娘
Upload By 花森はな
厚生労働省|障害者手帳
精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。精神障害者の自立と社会参加の促進を図るため、手帳を持っている方々には、様々な支援策が講じられています。精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断され、1級から3級まであります。申請は、市町村の担当窓口を経由して、都道府県知事又は指定都市市長に行います。
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaish...

変わりゆく特別支援教室と、子どもたちの今

息子と娘は、4歳の年齢差があります。この4年の間に、二人の在籍する特別支援学級の環境は大きく変わりました。息子が在籍していた頃は、たった一人で特別支援学級に残されることが多かったり、特別支援に詳しくない先生に適切ではない対応をされることもあり、学校に行けなくなってしまいました。しかし、娘が在籍する頃には当時の先生方は誰もおらず、代わりに特別支援学校教諭の資格を持った先生が来てくださり、特別支援学級の教員の数も増え、乱雑だった教室も綺麗に整頓されて、まるで違う学校に生まれ変わったようでした。

娘が現在学校で受けている支援は、あの頃の息子にあればよかったなというものばかりです。そのことに歯痒さや悔しさを感じることもありますが、今の娘が少しでも心穏やかに学校で過ごしてくれることで、救われている気がします。特別支援学級の先生も、時折娘のお迎えに同行してくれる息子に対して「息子くんもいつでも来てくれていいよ。ここは息子くんの場所でもあるんやで」と言ってくれます。娘の支援を通して、また私たち家族もサポートしていただいていると感じています。
執筆/花森はな
(監修:初川先生より)
娘さんの小学校生活やその中での困難、支援につながっていく経緯などについてのシェアをありがとうございます。息子くんに比べると“子どもらしい子”だった娘さんが小学校生活の中でこだわりやパニックを呈するようになったり、学校が苦手になったりという経緯を経て、特別支援学級へと移られたのですね。そして、特別支援学級の条件が途中で変わり、手帳取得を急がれたとのこと。このあたりはお住まいの自治体によってさまざまなので、気になる方はお住まいの自治体にご確認ください。

お子さんが学校を苦手に感じ、そのつらさが身体症状にも表れるほどであると、保護者としてはとてもご心配されたことと思います。また、ご自身のお仕事のことや生活のことなど気がかりなことがたくさんあられたのだろうと想像します。特別支援学級が娘さんにとって居場所となっていること、よかったと感じます。また、受診によって診断を受けたことも、支援やサポートを受けるにあたってはよかったですね。診断を受けたことで衝撃を感じたり、悲しまれたりする方もいらっしゃいますが、そのお気持ちはその通りだと思いますが、しかし、お子さんへのサポートを充実させたり福祉的なサービスを活用するという意味ではメリットがあります。お子さんにとって、困っている状況・つらい状態がある場合には受診するのは1つの手立てです。

特別支援学級に行けば絶対にうまくいく、というほどシンプルな話ではなく、お子さんにとってその環境が成長促進的であるかどうかはさまざまな要素の掛け合わせでもたらされるものだと感じます。花森さんや保護者の方がお子さんのためにさまざま奔走されたときに、よき支援者とつながっていけたこと、また、環境が整っていくことが適ったことは何よりだと感じます。
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https://h-navi.jp/column/article/35030449
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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