いよいよ席に座りフライト

座ってもタブレットやおやつはすぐに出しません。
”いつモゾモゾしだすか……いつ我慢の限界が来るか……”と思いながらも、ピンチの時にできる限りとっておきたかったのです。

思いのほか山場だったのは”シートベルト着用サイン点灯中”でした。機嫌よく席についたのに、座ってベルトをつけるよ、と声をかけるとイヤイヤモードになってしまったのです。
安全確保や周囲への大きな迷惑にもかかわる事なので、出し惜しみはできません。
安全確保や周囲への大きな迷惑にもかかわる事なので、出し惜しみはできません。
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ずっと自由に過ごせなくなると感じたのでしょうか。小分けにしたおやつやジュースでなんとか乗り切れたのですが、とにかく肝が冷えました。たくさん持っていて良かったです。

その後、ベルトサインの出ていない間はリラックスした様子で外を眺めたりしていました。最後まで気は抜けませんでしたが、まだタブレットもおやつも残っていることは心のお守りになりました。

大きく騒ぐことはないまま、残り時間は用意したタブレットや添乗員さんが渡してくださったお絵描きセットを使ったりして目的地付近へ……最後のベルトサインではまたハラハラしましたが、同じくおやつで乗り切ることができました。

さいごに

この時のフライトでは、想定以上のパニックなどは起こらずに済みました。しかし振り返ると、事前の告知や支援を全然できていなかったな、マユユの調子や運が良かっただけだな、という思いです。今のマユユになら、今回の準備に加えて以下のようなことも事前にしておくと良いかもしれないと思います。

・視覚的にスケジュールを示す
・シートベルト着用サイン点灯時の過ごし方の予習ごっこ
・入場のアナウンスなど切り替えが必要な場面の対策

今はまだあえて長時間移動の旅行を選ぶ勇気はありませんが……もし今後、遠出の機会があれば、あの頃の経験を経て、今度は各場面を想定したマユユの心の準備もしてあげられたらと思っています。
執筆/サチコ

(監修:藤井先生より)
お子さんとの長距離移動に向けて丁寧に準備を重ねられたご様子が伝わってきました。ASD(自閉スペクトラム症)の特性のあるお子さんにとって、環境の変化や長時間の移動は大きなチャレンジ。それを親御さんが先回りして考え、対応されたこと、本当におつかれさまでした。私自身も、わが子を初めて飛行機に乗せたときのことを思い出しました。何が起きるか分からずヒヤヒヤしながら、あれこれ対策を考えて準備したことは、今でも記憶に残っています。余裕を持ったスケジュールや環境づくりが、親御さんにもお子さんにも安心感をもたらしますね。これからも、ご家族での素敵な時間がたくさん訪れますよう、応援しています。
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https://h-navi.jp/column/article/35030586
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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