完璧じゃなくていい!息子が見つけた入浴への5つの工夫

それから一年、残念ながら毎日入浴……という訳にはいきませんが、なるべく入浴できるよう本人も工夫をしています。

・とりあえず水シャワーから始めてみて、大丈夫そうなら入浴に移行する
・水シャワーをするためにエアロバイクを漕ぐ(汗で気持ち悪くなるから)
・朝シャワーは目が覚めることに気づいた
・風呂上がりに冷感Tシャツを着て、入浴の良さを実感する
・それでも入浴が難しい時は、着替えだけでもする

本人の調子次第で、自ら進んでできない時は「今日お風呂はどうしたい?」とあまり重くなく、強制的に感じられないよう、軽く聞くことにしています。「いけるいける!」「そろそろいきたいと思っててん!」と返ってくることもあれば「今日は難しいなぁ……」「無理かも」という日もありますが、それで充分。入浴完全断固拒否よりも、そうやって自分の体調を考えて選択できることが何より大事だからです。

水シャワーができなくなる冬は、入浴のハードルがまた上がってしまうのですが、それはそれ。今、この暑い夏を乗り切るために、水シャワーをうまく活用していきたいです。
息子流 入浴のための5つの工夫
息子流 入浴のための5つの工夫
Upload By 花森はな

「キャンセル」じゃない。今は休憩してるだけ

学校もお風呂も本人が「キャンセル」したくてしている訳ではないのです。どちらも、行くならばきっちりとしたい。ASD(自閉スペクトラム症)特有のこだわりもあると思います。だけどできない、そしてその後の心身の負担がものすごいので、キャンセルせざるを得ないというのが、本人の現状ではないかなと日々の様子を見ていて感じます。

高校二年生になり、自立の時を見極めて、親も支援の形を変えていかなければなりません。たかがお風呂、されどお風呂。入らなくても死なないよ!なんて言う人もいます。けれど、感染症予防、健康の観点から「自ら風呂に入る」という選択肢は、本人の中にあってほしいと思います。

水シャワーをきっかけに、入浴の楽しさや気持ち良さ、爽快さを思い出してもらいたいし、その心の芽は既に本人の中にも芽生えているように感じます。まだまだ暑い日が続きますが、そんな時は水シャワーを頭から被って、汗も熱も心のモヤモヤも一気に洗い流してほしいです!
執筆/花森はな
(監修:新美先生より)
入浴が難しくなった息子さんの対応の工夫について聞かせてくださりありがとうございます。
お子さんが不登校になって入浴が難しくなることはとてもよくあります。決して単なる「怠け」ではなく、さまざまな要因が絡みます。花森さんの体験談にもあるように、抑うつ状態、エネルギーが低下していて、気力体力が不足して入れないということも多いですし、ASD(自閉スペクトラム症)の特性の「完璧にやらなければならない」というこだわりが強まっているというのもあります。感覚過敏や変化を嫌う特性が関与することもあります。
今回ご紹介いただいた「水シャワー」という工夫は、まさにハードルを下げる柔軟な対応ですね。入浴そのものが難しい時に「部分的にでも清潔を保つ」「体温調整を助ける」ことは十分に意味があります。また、こだわりをリセットするために、少し別のパターンにしてみるというのはこだわり回避の一つの方法です。お子さん自身が「気持ちいい」と体感でき、次の行動への自信につながった点は非常に大切です。「できない」「無理」「拒否」から「だいじょうぶ」に変わる経験は、日常生活全般においても大きな支えになります。
また、保護者の方が「今日どうしたい?」と軽やかに問いかけ、無理に押し付けず本人の選択を尊重していることも、長期的な視点でみてとても重要です。思春期のお子さんにとって「自分で決められる」という感覚は、心の安定と自立に直結します。
たかがお風呂、されどお風呂。衛生面だけでなく、自分を整える習慣としても入浴は大切です。水シャワーのような工夫を入り口に、本人が「心地よさ」を再発見していけるよう支えることが、今後の生活や成長にもつながっていくと感じます。とはいえ、お子さんの状態やタイミングによっては、何をしても、全拒否ということもあるので、そういう場合は、タイミングを見計らって、しばらく待つということが必要なこともあるかもしれないこともお伝えしておきます。
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https://h-navi.jp/column/article/35030693
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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