こんにちは、発達支援Laboランプです。
ここでは、定期的に療育支援に関連するテーマについて、理論的な背景と合わせて発信をしています。
今回のテーマは「子どもの優越感と「これでいい!」」です。
特別な発達傾向のある子どもたちが、しばしば自分なりのルールや方法に強くこだわることがあります。このような場合に「これでいい!」というようなセリフ(行動)が飛び出すことも多く、親や教育者にとってはどのように対応すればよいか悩ましいことがありますよね。
今回は、そうした子どもたちのこだわりについて理解を深め、母親や先生など周囲の大人が「良かれと思って」行う行動の影響や、より良い関わり方について考察していきます。
1,子どもの優越感と「これでいい!」の背景
『自己効力感と自信』
「これでいい!」という言葉には、子どもが自分の決定や方法に自信を持っているという意味が込められています。特別な発達傾向がある子どもたちは、特に自分で決めたことに強いこだわりを持ち、自己効力感を強く感じることが多いとされています。自分で決めたことがうまくいくことで、自信を深めることができるのです。
『自立心の醸成』
子どもたちが「これでいい!」と主張するのは、自分の意見や方法を認めてほしいという強い願望の現れでもあります。これは、成長過程における自立心の発達の一部であり、子どもが自分で決断し、責任を持つことを学んでいる証拠です。「選択には責任が伴う」ことを子どもが自分のペースで獲得できると良いのではないでしょうか。
『安心・安全とコントロール』
子どもがルールや方法に固執することは、子どもにとって予測可能な環境を維持し、安心感を得ることにも繋がります。発達障害の傾向がある子どもたちは特に変化に対する不安感が強いため、「これでいい!」という主張は、自分がコントロールできる範囲を確保しようとする試みでもあるのかもしれません。
2,母親や先生からの「良かれと思って…」の影響
『過干渉のリスク』
母親や先生が「良かれと思って」子どもの行動に介入しすぎると、子どもは自分で考え、決断する機会を失ってしまいます。これは、自己効力感や自立心の発達を妨げる原因となります。特に発達障害の傾向がある子どもたちは、自分の方法を試し、時に失敗し、その失敗から学ぶことも重要な成長の一部です。
『自信の喪失』
「良かれと思って」行動する大人が子どもの決定や方法を否定すると、子どもは自信を失うことがあります。自分の意見や方法が認められないと感じることで、自己効力感が低下し、挑戦する意欲も減少してしまいます。
『適度なサポートの存在』
大人が子どもの行動に対して適度なサポートを提供することは重要です。具体的には、子どもが困った時や助けを求めた場面で手を差し伸べることで、子どもは安心感を持ちながらも自分で考える力を養うことができます。
3,より良い関わり方について
『受け入れてもらえる、理解してもらえる感覚』
子どもの「これでいい!」という主張を理解し、受け入れることが大切です。子どもがなぜそのように感じるのか、その背後にある理由を探ることが肝要ではないでしょうか。発達の特性を理解することで、適切なサポートが可能になります。
『建設的なコミュニケーション』
子どもと対話を持ち、なぜその方法が良いと思うのか、どうしてそのように主張するのかを話し合いましょう。子どもの視点を尊重しながら、彼らの考えを理解することが重要です。ここでの留意すべき点は、「対話」であることかと思います。一方的に正解を教える、やや強引にでも正解に導くのではなく、子どもの目線でまさにやりとりを建設していくことが大切ではないでしょうか。
『柔軟性の促進』
子どもが自分の方法に固執しすぎる場合でも、柔軟に対応する能力を育むことが必要です。特別な発達傾向がある子どもたちは特に、少しずつ変化に慣れさせることが重要です。小さな変化を少しずつ取り入れ、子どもが新しい状況に適応できるよう支援します。たとえば、異なるアプローチを試す際に一緒に取り組み、整理しながら成功体験を積ませることで柔軟性を促すことができるかもしれません。
『信じることの重要性』
子どもが「これでいい!」と主張した際、その意見や方法を信じて見守ることも大切です。その結果、たとえ失敗があったとしても、「信じてもらえた」という記憶が子どもに残ります。これは、子どもの自己効力感を高め、次の挑戦に向けての大きな支えとなります。
『肯定的なフィードバック』
子どもが新しい方法を試したり、自分の方法を少しでも変えたりしたときには、積極的に褒めることで、自信を持たせることができます。ポジティブなフィードバックは、子どもの自己効力感を高め、さらなる挑戦を促します。
発達に特別な傾向がある子どもたちの「これでいい!」というセリフや優越感は、成長過程での自然な現象なのかもしれません。親や教育者が理解し、適切にサポートすることで、子どもは安心感を持ちながら柔軟性を身につけ、自信をもって成長していくことができます。また、母親や先生が「良かれと思って」行う行動も、過干渉にならないよう注意しつつ、適度なサポートを提供することが重要です。子どもの視点に立ち、共感と尊重をもって接することが、より良いかかわり方への第一歩かもしれません。そして失敗を成長の一環として受け入れ、子どもが「信じてもらえた」という経験を積むことが、自己効力感を高めていく鍵になるのではないでしょうか。
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第10回「子どもの優越感と「これでいい!」」
療育の深み
24/07/02 11:13