こんにちは、発達支援Laboランプです。
ここでは、定期的に療育支援に関連するテーマについて、理論的な背景と合わせて発信をしています。
今回のテーマは「連続体としての発達障害と保護者の傾向という視点」です。
近年、発達障害に対する理解が大きく変化し、特に自閉症スペクトラム症(ASD)をはじめとする発達障害は、スペクトラム(連続体)として捉えられるようになっています。スペクトラムとは、発達障害が一つの線上に存在し、その特性が多様であり程度の差があるという考え方です。つまり、ASDやその他の発達障害は、はっきりとした境界線で区別されるものではなく、誰しもがある程度の発達特性を持っている可能性があるという理解が基本となっています。
この考え方は、特定の発達傾向が「あるかないか」ではなく、すべての人がスペクトラム上に位置し、その強弱や現れ方に違いがあることを意味します。発達障害は「異常」ではなく、人間の発達の多様性の一部として捉えられるべきものだという視点が広まりつつあります。
1,基本的信頼感と保護者の「傾向」
人間の発達において、Erik,Eriksonが提唱した「基本的信頼感」は、人生の初期段階で形成される重要な感覚です。子どもが乳幼児期に保護者や養育者から一貫した愛情や世話を受けることで、「世界は信頼できる」という感覚が育まれます。この基本的信頼感は、その後の人生におけるすべての対人関係の基盤となり、精神的な健康に深く影響を与えます。
療育の現場でも、子どもの基本的信頼感の形成に焦点が当てられることが多いですが、保護者の「傾向」については十分に考慮されていないように感じられます。保護者自身もまた、何らかの発達特性や感覚処理の違いを持っていることが少なくなく、それが子どもとの関わり方や家庭環境にどのように影響を与えるかは、あまり注目されていないのではないでしょうか。
たとえば、ASDの子どもの保護者が、自身も感覚過敏や社会的相互作用の難しさを抱えている場合、親子間でのコミュニケーションや信頼感の形成が複雑になることがあります。このような場合、親が自分の特性を理解し、子どもとの関係性にどのように影響を与えているかを認識することが、親子双方の信頼感を築くために重要です。
2,「傾向」という視点の重要性
保護者の「傾向」に対する理解は、療育の効果を高めるだけではなく、家庭内の安定や親子関係の質を向上させるためにも不可欠です。保護者自身が自分の特性を理解し、それが子どもにどのような影響を与えるかを認識することで、より効果的な支援を受けることができるようになります。また、親が自分の特性に気づくことで、子どもの特性への共感が深まり、より柔軟で理解のある対応が可能になるでしょう。
ASDをはじめとする発達障害が、スペクトラムとして理解される現状において、療育においても保護者の「傾向」に目を向けることの重要性を強調したいと思います。保護者もまた、何らかの発達特性を持ち、それが子どもとの関わり方や家庭環境に影響を与えていることは想像に難くないでしょう。親子の特性を総合的に理解し、サポートすることで、療育の効果はさらに高まり、より豊かな親子関係が築かれることが期待されます。柔軟で、親子ともに安心して成長できる環境を提供するために、保護者の「傾向」という視点を見逃さず、取り入れていくことが求められるのではないでしょうか。
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第27回「連続体としての発達障害と保護者の傾向という視点」
支援の背景
24/08/12 18:13