知的障害(知的発達症)の治療・療育の判断基準は? いつから始めるべきなの?

どのような症状があれば治療・療育を行うべきなの?

知的障害(知的発達症)の症状として、言葉を覚えるのが遅い・会話ができないなどの言語能力の遅れ、首すわりが遅い・洋服の着脱が異常に遅いなどの運動能力の遅れ、友達ができない・1人で遊ぶことが多いなどの社会性の発達の遅れなどが特徴的な要素として挙げられます。

また、出産直後に身体的異常などが見受けられ、知的障害(知的発達症)を発症するリスクが高いと診断されるケースもあり得ます。

身体的異常であれば出生時に分かることも多いですが、ほとんどの場合は保育園や幼稚園、小学校に通い始めてから知的障害(知的発達症)と気づくケースです。多くの方は言語能力の遅れに違和感を覚え、児童相談所や医療機関などへの相談・受診ののち知的障害(知的発達症)と診断されています。上記のような症状が見られる場合はまずは児童相談所などで相談してみることをおすすめします。

治療を始める年齢は何歳? 治療を終える判断基準は?

知的障害(知的発達症)はダウン症やASD(自閉スペクトラム症)などさまざまな障害の合併症状として現れる場合も少なくありません。原因によって障害が分かるタイミングもかなり差があります。

そのため、治療や療育を始める年齢や症状も、それぞれのケースで異なります。したがって、何歳からという基準はありませんが、症状や困りごとが見られた場合は専門機関に相談し、できるだけ早期に治療や療育を開始するのが望ましいと言えます。

上でも述べましたが、知的障害(知的発達症)を根本的に治す治療法はありません。そのため、治療を終える判断基準はありません。療育などについてはできる限り早い年齢で始めることで言語能力や運動能力、社会性が向上し、子どもがよりよい生活を送れる可能性が増えます。

知的障害(知的発達症)の治療法・療育法は?

知的障害(知的発達症)の療育方法

療育とは、言語能力や身体能力の発達に遅れが見られる子どもに対し、自立して生活できるよう、専門的な教育支援プログラムに則って教育やトレーニングを行うものです。

では知的障害(知的発達症)に対してはどのような療育方法が効果的なのでしょうか?

療育方法は施設や障害の程度によって異なりますが、遊びを通して他の子たちと交流し、言語や運動、社会性の発達を促すプログラムが一般的です。食事やトイレ、洋服の着脱などのトレーニングや、一人ひとりに合わせた教育も行なわれます。

また、診療所を併設している施設も多く、症状によって診療を行なったり、検査を行なうことができます。知的障害(知的発達症)に関する相談も行なっており、保護者が家庭内でどうすればいいのか学ぶペアレント・トレーニングやアドバイスを受けられる場合もあります。

軽度の知的障害(知的発達症)のある子どもの場合「他の子に比べてなぜ自分はできないのだろう」と自信を失い、精神的に不安定になる場合もあると思います。また保護者も子育てに不安を抱える方が多いです。

療育やペアレント・トレーニングを受けることによって、対処法を身につけたり、同じ悩みを抱える親と交流できたりして、療育の時間が落ち着く・楽しいといった感想を持つ方もいらっしゃいます。そのため、早期療育は子どもにとっても親にとっても心の面で大切と言えるでしょう。

知的障害(知的発達症)の薬物療法

知的障害(知的発達症)の原因はさまざまで、解明されていないことが多い状態です。今現在、知的障害(知的発達症)を根本的に治す薬はありません。

知的障害(知的発達症)の合併症や「二次障害」の治療

知的障害(知的発達症)のある人が、周囲から適切なサポートを受けられなかった場合、知的障害(知的発達症)の主症状とは異なる症状や状態を引き起こしてしまうことがあります。このような合併症状や状態を、一般的には「二次障害」と言います。

例えば、知的障害(知的発達症)のある子どもの場合、話の内容や指示を理解したり、自分で判断して行動することが苦手です。そのため、周りに馴染めず、友達ができなかったり、いじめにあってしまう場合もあります。そこからひきこもりや不登校、うつ病や不安障害(不安症)になってしまう場合があります。また、理解できないことを隠そうと反抗的な態度を取り、非行に走ってしまうケースもあります。

このような症状や状態が現れた場合には、それらに対する治療を行うことが必要となります。また、このような症状を引き起こさないためにも、知的障害(知的発達症)の早期発見と、早期からの支援が重要です。うつ病に対しては抗うつ薬などの治療方法がありますが、まずは周りの人が知的障害(知的発達症)であることを気づき、障害への理解と適切なサポートが大切です。

知的障害(知的発達症)の子どもへの接し方のポイント

伝え方を工夫する

知的障害(知的発達症)のある子どもは話や言葉を理解するのに時間がかかったり、記憶するのが苦手ですぐに忘れてしまう子どももいます。絵や文字を紙に書いて伝えることで理解しやすくなることがあります。また、ルールを書いた紙を目に付くところに貼ることで常に意識できるような状態を作ると効果的な場合があります。

まねをするのが得意な子どもも多いので、その場合、実際にやって見せるとよいでしょう。これを、「モデリング」と言います。

具体的に説明する

自分で判断して動くことも苦手な場合があるため、できるだけ曖昧な表現は避けて具体的な指示をすることも大切です。どういう手順にすると良いのか、どんなことが悪いかなど、わかりやすい言葉で簡潔にはっきりと伝えるようにしましょう。その際の伝え方は上記のように、手順を絵や文字にしたり、図表で説明します。

よいところを褒めて伸ばす

悪いことは悪いと伝えるだけでなく、よいことはよいと褒めることも大切です。知的障害(知的発達症)のある子どもはできないことが多いために叱られることも多くなってしまいます。ちょっとしたことでもよい面を見つけて褒めるようにし、子どもの長所を伸ばすよう心がけてみてください。できることをお願いして「ありがとう」とお礼を言うのもおすすめです。

得意分野を見つける

自分は何でできないんだろうと自信をなくす子どもも多くいます。自信をなくすと、うつ病や不登校などのいわゆる二次障害にも繋がってしまいます。好きなものはなにか、何が得意分野なのかを見つけたり、できることを増やすことで、子どもに自信をつけさせることも大切です。

周りに相談する

不安や心配でストレスを抱え、心に余裕がなくなる保護者の方もいらっしゃるかと思います。心に余裕がないと、子どもに接する時にもイライラしてしまって八つ当たりしてしまうこともあります。家族に協力してもらったり、周りに相談することで少しでもストレスを解消することも大切です。
次ページ「まずは「知的障害(知的発達症)」をよく理解することから始めましょう」

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