生まれる前にADHDを検査する方法はあるの?

生まれる前に赤ちゃんの病気や障害の有無を調べる出生前診断が発達してきています。超音波検査・NIPT・絨毛検査・NT超音波検査・母体血清マーカー・羊水検査・新出生前診断・胎児ドッグなど様々な出産前診断がありますが、現在のところADHDが出産前に分かる検査や診断はありません

ADHDの治療法はあるの?

現在の医学では、薬や手術などでADHDを完全に治療することはできません。しかし、ADHDによる困難の乗り越え方を学ぶ教育・療育や、ADHDの特徴を緩和する治療薬は存在します。また普段からの対応法を考えることによって、本人が生きやすい環境を作ることも可能です。

子どものADHDの場合

子どものADHDの特徴を緩和させるためには「教育・療育の支援」を行うことが一般的です。場合によっては「投薬」を行うこともあります。

教育・療育支援は、子どもの周りの環境を整えたり、本人がその場に適した行動などを学ぶソーシャルスキルトレーニングを学んだり、親が具体的な対処法を学んだり(ペアレント・トレーニング)することによって自分の特性を理解して、感情や行動をコントロールできるようにするものです。以下で具体的に説明します。

・環境調整
この環境は、教育現場における環境をさします。たとえば集中が難しい子の場合は、その子の机の周りに無駄な刺激物を置かないようにするなど教室の環境を調整します。

・ソーシャルスキルトレーニング
SSTとも呼ばれており、様々な特性を持つ本人が社会や生活において適切に行動できるようにロールプレイなどを行いトレーニングします。紙芝居や遊びを用いたシミュレーションなどを行います。

・ペアレントトレーニング
保護者が子どもに対して療育的な訓練を行えるようになるよう、親向けにトレーニングをすることです。注意の仕方、アドバイスの仕方、褒め方などを学びます。

このような療育は、発達障害専門の病院や公立・民間の児童発達支援事業所などで学ぶことができます。このような場所に通うことによって、本人の良い部分を磨いていくことができます。

近年、脳内の神経伝達物質の、ノルアドレナリン再取り込みを阻止する薬のストラテラ(アトモキセチン)と中枢神経を刺激するコンサータ(塩酸メチルフェニデート徐放剤)が認可され、薬物療法が行われることもありますが、人によっては副作用が出ることがあります。多用するのは避け、必ず医師とよく相談した上で適切な量を使い、最低限の利用にするようにしましょう。また、ただ薬を利用して子どもを落ち着かせるのでははく、落ち着いている時には必ずスキルトレーニングなどを行いましょう
ペアレントトレーニングとは?種類と効果、受けられる場所と費用まとめのタイトル画像

ペアレントトレーニングとは?種類と効果、受けられる場所と費用まとめ

大人のADHDの場合

心理社会的アプローチ薬物療法の2つがあります。

心理社会的アプローチは、周りの環境を整える環境調整や、暮らし、生活環境や人間関係などの見直しなどを行います。子どものADHD治療のひとつのペアレント・トレーニングの考え方を応用をすることで周りの人に気をつけて欲しいことなどを伝えることができます。

薬物療法は大人の場合でもストラテラ(アトモキセチン)とコンサータ(塩酸メチルフェニデート徐放剤)を使っていることが多いです。食欲不振などの副作用があるので、医師と相談の上、用法・用量を守って使用しましょう。(※2)

まとめ

ADHDの原因には様々な説があり、研究が進んでいますが、まだ現在ははっきりとしたことは分かっていません。しかしADHDの原因がわからなくても、ADHDによる困難さを解消することはできます。

ADHDの症状が原因で子どもが問題行動やトラブルを引き起こしてしまうことが多くあり、保護者のしつけ不足や愛情が足りていないせいだとか、育て方が悪いと言われることもあります。しかしADHDは先天性の要素が原因なので、決してしつけ不足や愛情不足、育て方が原因で起こっていることではありません。中には子どものADHDの症状をみて、自らに責任を感じてしまう保護者の方もおられるとは思いますが、育て方が原因ではないということを知っておきましょう。また周りの人々も育て方やしつけが原因ではないということを把握し、保護者・子ども本人のサポートをしましょう。

ADHDは特性のひとつです。その子にあった環境を整えたり、接し方を工夫することで、長所を伸ばし、逆にその特性を強みとして活かすことができます。その子らしく生きられるようにするために、子どもがのびのびと育つことができる環境を、周りが整えられるように心がけましょう。
参考書籍:鷲見聡/著『発達障害の謎を解く』(日本評論社,2015)
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