アスペルガー症候群(AS)とは?症状と年齢別の特徴を詳しく解説します。

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アスペルガー症候群は発達障害のひとつで、コミュニケーション能力や社会性、想像力に障害があり、対人関係がうまくいきづらい障害のことです。アスペルガー症候群は比較的最近になって理解され始めた発達障害であり、言語障害や知的障害の症状はないので、周りからは「変わった人」と思われがちです。アスペルガー症候群には大きく分けて3つの症状があります。「コミュニケーションの問題」「対人関係の問題」「限定された物事へのこだわり・興味」。これら詳しい症状や、年齢別の症状の現れ方、診断基準や相談先について解説します。

発達障害のキホン
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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
目次 アスペルガー症候群(AS)とは? 「アスペルガー症候群」の3つの症状 アスペルガー症候群の10の特徴 年齢別に見たアスペルガー症候群の症状の現れ方 乳児(0歳〜1歳) 幼児(1歳〜小学校就学) 小学生(6歳〜12歳) 中高生(12歳〜18歳) 成人期(18歳〜) アスペルガー症候群の診断基準 アスペルガー症候群の疑いを感じたらどうすればいい? 発達障害の人はどんな支援を受けられるの? まとめ

アスペルガー症候群(AS)とは?

アスペルガー症候群(AS)は対人コミュニケーション能力や社会性、想像力に障害があり、対人関係がうまくいきづらい障害で、知的障害や言葉の発達の遅れがないものを言います。明確な原因は現在もわかっていませんが、何らかの脳機能の障害と考えられています。

文部科学省はアスペルガー症候群(AS)を以下のように定義しています。

アスペルガー症候群とは、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものである。なお、高機能自閉症やアスペルガー症候群は、広汎性発達障害に分類されるものである。

出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm
「アスペルガー症候群」は、現代になってようやく少しずつ認知度が広まってきました。今までは障害だと気が付かれずに、本人が生きづらい思いをしたり、周りも理解に苦しんだりすることも少なくありませんでした。しかし、実はアスペルガー症候群は決して珍しいものではなく、約4000人に1人の割合で発症すると言われています。本人や家族の自覚のあるなしなども含め、広い意味で診断するとその数はもっと多いと考えられます。

アスペルガー症候群の発生頻度
狭い意味でのアスペルガー症候群は約4000人に1人と言われています。しかし知的な遅れがなく言葉の流暢な非定型自閉症の人々も含めた広い意味での「アスペルガー症候群」の発生頻度は自閉症よりも多いことが知られています。
性別では男性に多いですが、女性でも診断につながらずに対人関係の悩みを抱えている人々が、これまで考えられていたよりは多いことが分かってきています。

出典:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-006.html
知的な遅れがないことから障害と認知されづらい側面もあり、周りの理解を得づらい部分があります。しかし、症状や対処方法を知っているだけで、自分も周りも心が楽になる生き方ができます。そのためにも周囲の人々が適切な知識を持ち、障害を理解することが重要となります。
アスペルガー症候群は、2013年に発行されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)においては「自閉症スペクトラム障害(ASD)」の中にまとめられています。そのため、今後この診断がつくことは少なくなることが予想されます。

ですが、現状では世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断を行う医療機関もあること、すでにICD-10や、DSM-5の前版の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版 テキスト改訂版)でアスペルガー症候群の診断を受けた人もおられることから、本記事ではアスペルガー症候群という用語を用い、その症状や特徴を具体的に説明します。

「アスペルガー症候群」の3つの症状

アスペルガー症候群には大きく分けて3つの症状があります。「コミュニケーションの問題」「対人関係の問題」「限定された物事へのこだわり・興味」の3つです。これら3つの症状の具体的な特徴を見ていきましょう。

1. コミュニケーションの障害

会話能力は表面上は問題なくできるのですが、その会話の裏側や行間を読むことが苦手です。明確な言葉がないと言葉をそのままの意味で鵜呑みにしてしまう傾向があるため、人の言葉を勘違いしやすく、傷つきやすい面があります。

具体的な特徴としては、

■あいまいなコミュニケーションが苦手
言われたことをそのままの意味として受け取ってしまう。アイコンタクトや顔の表情を読み取るのは苦手。

■不適切な表現を使用してしまう
遠回しに発言することに困難さがあるため、言い方がキツく、ストレートすぎる発言になりがち。

■名前を呼ばれないと自分だと気づかない
1対1でも自分の名前を呼ばれないと相手が誰に対して発言をしているのかわからない。

■想像して動くことが苦手
想像力が弱い傾向にあるので、指示されたこと以外に考えが向かなかったり、相手や環境の変化に気づかないことがある。

などが挙げられます。

2. 対人関係の障害

場の空気を読むことに困難さがあり、相手の気持ちを理解したりそれに寄り添った言動が苦手な傾向にあります。そのため、社会的なルールやその場の雰囲気を平気で無視をしたような言動になりがちで、対人関係を上手に築くことが難しいです。

具体的な特徴としては、

■大勢の中で浮いてしまう
場にそぐわない発言や回答をしてしまう。

■相手の気持ちを理解するのが苦手
相手が何をどう考えているのかを想像することに困難さがある。

■自己中心的に思われる言動をしてしまう
自分の言動がその後どうなるか、ほかの人にどう影響するか、想像するのが苦手で、臨機応変に動くことに困難さがある。

■相手を傷つけてしまう
何も考えずに見たまま、思ったままの発言をしてしまうため、相手を傷つけてしまうことがある。

などが挙げられます。

3. 限定された物事へのこだわり・興味

いったん興味を持つと過剰といえるほど熱中します。法則性や規則性のあるものを好み、異常なほどのこだわりを見せることがあります。その法則や規則が崩れることを極端に嫌う傾向があります。一方、この特性は逆に強みとして活かすこともできます。

具体的な特徴としては、

■マイルールがある
自分の決めた予定や手順などを変えることを嫌い、頑なになる。無理に変更すると混乱してしまうこともある。

■記憶力が高い
興味のある物事に関しては、大量の情報を記憶したり、引き出すことができる。

■集中力がある
興味のある物事に関しては、一度手を付けると熱中しすぎて周りが目に入らないこともある。

■話し続ける
興味のある物事に関しては、一度話し出すと夢中になりすぎて止まらなくなる。

などが挙げられます。

アスペルガー症候群の10の特徴

一見しただけではその人がアスペルガー症候群かどうかは気づきにくく、本人も自覚していない場合もあります。アスペルガー症候群の人によく見られる10個の特徴を紹介します。

1. 明確な指示がないと動けない
2. 場の空気を読むことができない、空気に沿った対応ができない
3. 冗談が通じず、会話の行間や間を読むことができない
4. 曖昧なことを理解できない
5. 好きなことは永遠とやり続けてしまう、話し続けてしまう
6. スケジュール管理ができない
7. 自分が興味のないことは頑なに手を出そうとしない
8. 急な変更にうまく対応できず、だまされやすい
9. 名前を呼ばれないと自分だと気が付かない
10. 相手の気持ちをおもんぱかれない、人を傷つけることを平気で言う

上記に付随した細かな症状が他にいくつもありますが、基本的には自分以外の何か(人や物事)にうまく共感できない、言い回しが不適切などのコミュニケーションにおける困難さが主な症状となりますが、一度興味を持った物事に対して、異常なほどのこだわりや集中力、記憶力を発揮する場合もあります。さらに、アスペルガー症候群だけではなく、ADHDなど、他の障害の症状を持ちあわせている場合もあります。

年齢別に見たアスペルガー症候群の症状の現れ方

アスペルガー症候群の症状や特徴を説明してきましたが、年齢別にどのように症状の現れ方が変化するのでしょうか?成長過程によって変化するアスペルガー症状の特徴について説明します。

乳児(0歳〜1歳)

アスペルガー症候群は知的な遅れがなく、見た目や行動からはわかりづらい障害のため、大人になっても気が付かない場合もあります。

特に、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、症状が分かりやすくでることはありません。ですから、すぐにアスペルガー症候群の診断がでることはありませんし、またアスペルガー症候群の症状は他の発達障害の症状と共通するものです。しかし、アスペルガー症候群と診断された人達は乳児期に特徴的な行動を共通してとることが多いです。それらを紹介します。

音に敏感に反応する

アスペルガー症候群の乳児は、大きな音や声に過敏に反応する場合もあります。大人が大声で笑ったり、くしゃみをしたりすると嫌がって泣きます。また、電車やデパートなど騒々しいところに連れて行くとずっと泣きっぱなしになってしまうなどの症状が見られます。これを聴覚過敏と言います。

興味があるものに熱中する

アスペルガー症候群の特徴の一つとして、いったん物事に興味を持つと異常なほどに熱中したり集中することがあります。これは乳児期のころからも見て取れます。例えば、気に入ったぬいぐるみで一日中遊んでいたり、よそ見をせずに何かをずっと眺めていたり、同じ本の同じページだけをずっと見ていたりなどが挙げられます。乳児期は飽きやすく興味対象が移りがちなので、何か一つのことに異常なほど興味を持っている場合は、アスペルガー症候群の可能性があるかもしれません。

目を合わせない、笑わない

親が目を合わせようとしても視線がマッチしない、笑いかけても反応しないなども特徴の一つとして挙げられます。乳児が母親の動作をまねることを「動作共鳴」と言いますが、アスペルガー症候群の乳児はこの「動作共鳴」が苦手とされています。焦点が合いづらく、目を合わせようとしないことはアスペルガー症候群の症状である可能性があります。

幼児(1歳〜小学校就学)

言葉を覚え出し、会話ができるようになる幼児期のアスペルガー症候群の症状の現れ方を見ていきましょう。この頃になると症状が見えやすくなり、アスペルガー症候群の判別がしやすくなります。

表情を読み取ることができない

例えば、母親が怒るときに見せる表情や空気を読み取ることができません。何かしようとした時に母親が怒った表情をしてその行動を止めようとしても、お構いなしに動作に移します。表情を読み取ることが苦手なので、言葉ではっきりと説明しないと理解ができません。

説明を何度もしないと理解ができない

幼児は何度か同じ行動を繰り返すことで、「やってはいけないこと」や「言われなくてもわかること」が増えてきます。しかし、アスペルガー症候群の幼児は、その都度説明しなければ理解することができません。「言わなくてもわかるでしょう」といったことが通じないので、同じことを繰り返して叱られても、なぜ叱られているのか理解できないのです。

一人遊びに熱中する

幼児期ともなれば、同じ月齢の子たちと一緒に遊ぶことを覚えます。通常であれば自然に他人との関わりを持とうとしたり、他人に興味を持とうとして輪に入ろうとするのですが、アスペルガー症候群の幼児は、公園などで同年代の子が遊んでいていも一緒に遊ぼうとしないことが多いです。もちろん恥ずかしがり屋で輪に入れない幼児はたくさんいますが、アスペルガー症候群の一つの特徴として人間関係をうまく築けないことが挙げられます。

小学生(6歳〜12歳)

本格的な集団行動が始まる小学生の頃になると、本人がその環境で過ごしにくくなってくる場面が増えてきます。周囲の理解が必要になってくる時期でもあるので、保護者や周りの大人たちは具体的な対応を考えるようにするとよいでしょう。

学習障害が現れる場合がある

聞く、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり実行することに著しい困難を示すことがあります。アスペルガー症候群には知的発達に遅れがないので気が付きにくいですが、特定の科目だけずば抜けて得意だが、いくつかの科目はとても苦手だという極端なケースが目立つようになります。

規則や法則性に忠実

朝はホームルーム、中間休みは15分、掃除は15時から、など一定の規則を守ることが得意です。すでに決められていること、法則性があることにはきちんとしたがって行動することができます。反面、イレギュラーな時間割やルーティーンが変更になると一気に慌ててしまったり、それらに従うことが難しくなることがあります。

周囲との協調が苦手

小学生にもなると、特定の友人たちと多くを過ごすことになりますが、基本的に人の気持ちを理解することが苦手だったり、マイルールにこだわってしまったり、場違いな発言をしてしまい輪を乱してしまったりすることが多々あります。周囲と協調するのが苦手な場合があるので、一人遊びに没頭してしまい集団遊びができないことも出てきます。

中高生(12歳〜18歳)

中高生にもなれば思春期と重なり、周りに理解されないことで本人が苦しむケースも珍しくありません。大人への成長段階でとても重要な時期なので、家庭や学校での理解と適切な対処が大切になってきます。

学校に行きたがらない

場の空気を読めないことで友人関係がうまくいかなくなったり、周りから浮いてしまうことで孤立してしまうケースがあります。最悪の場合はいじめに発展したり、それを原因として不登校になってしまうこともあります。不登校の要因としては、人間関係だけでなく、学習の遅れが原因となることもあるため、登校渋りなどが生じた場合は学校と連携しての早期の対応が重要になります。
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友達作りが苦手

小学生まではなんとなく集団で過ごせていたものの、中高生にもなると好みやグループもはっきり分かれてきます。自分の居場所が分からなくなったり、なかなか友人が作れないなど、コミュニケーション能力の困難さゆえに出てくる人間関係の問題が多くなります。

学校での学習が困難

小学生の頃と同様、一定の科目に対してついていけないなどの学習障害は続きますが、中高生になると苦手分野の学習について行くのがより困難になります。得意分野や興味のある科目に対してはかなりの好成績を出せるようになるなど、本人の強みが明確になってくる時期です。このころに将来の夢やビジョンを一緒に描けるように、周りの工夫や理解、指導が重要となってきます。

成人期(18歳〜)

社会生活を送っていくためには、周りのサポートや理解はもちろん、何より本人が自分自身を理解し、対処法を用意しておくことが重要です。

職場でのミスや人間関係でのトラブル

障害特性によるコミュニケーションの苦手さや、周囲の状況を判断して協調することの困難や、不注意・こだわりなどにより、仕事上のミスや、遅刻、スケジュール管理ができない、手際が悪いなどのマイナスの評価が多くなってしまうことがあります。また、職場での付き合い、上司との関係に悩んでしまうこともあります。自分自身の得意なところや苦手なところを理解し、苦手な部分の対処法を考えたり、相談できる人を増やしたりすることが大切です。

二次障害を引き起こしてしまう場合がある

周りに理解を得られないまま困難な人生を送ってきたことから、いわゆる「二次障害」を引き起こしてしまう可能性が高くなります。うつ病になったり、パニック障害を併発したり、ひきこもりや家庭内暴力などを起こしてしまう場合があります。早めに支援機関・医療機関に相談するようにしましょう。

アスペルガー症候群の診断基準

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