発達障害は男女で発現率が違うの?

医学的には、実際には発達障害の発現率は、男性の方が多いといわれていますが、割合や発生理由に関しては、諸説あるとされています。近年、女性の発達障害については表れる症状や特性に男性とは違いがあり、発達障害の状態像にも性差があるからではないかとする説もあり、研究が進められています。

以下が、「ASD(自閉スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如多動症)」「LD・SLD(限局性学習症)」それぞれの男女の発現率に関して現段階で分かっていることです。
■ASD(自閉スペクトラム症)

男女比は4:1で男子に多いと考えられてきましたが、最近の研究によると、女性の脳の構造として、男性よりも多くの遺伝変異の耐性があることが発現率に影響しているのではないかともいわれています。また、男性と女性では症状にも違いがあるのではないかと考えられています。女性の場合、幼児期にはASD(自閉スペクトラム症)の特性が目立っていても、発達に伴い特性が目立たなくなるという研究結果もあります。
参考:Impact of autism genetic risk on brain connectivity: a mechanism for the female protective effect
https://academic.oup.com/brain/article-abstract/145/1/378/6288451?login=true
参考:A behavioral comparison of male and female adults with high functioning autism spectrum conditions
https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/7056/seika13.pdf
■ADHD(注意欠如多動症)

学童期にADHD(注意欠如多動症)と診断される子どもの割合は男の子のほうが女の子よりも多く3:1~5:1の比率といわれています。男の子は多動の症状が多く見られており、女の子は不注意の症状が多く見られています。この症状の差から女の子の場合、ADHD(注意欠如多動症)の症状が分かりづらいため、見逃されてしまうことも少なくありません。そのため、この男女の比率の差は、実際はもう少し小さいのではないかともいわれています。成人期でのADHD(注意欠如多動症)の男女比は1:1に近いといわれています。しかし、このような性差の理由はまだはっきりとは解明されていません。
参考:Gender differences in adult ADHD: Cognitive function assessed by the test of attentional performance
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7561166/
■LD・SLD(限局性学習症)

LD・SLD(限局性学習症)は男女どちらにも発現する可能性のある障害ですが、男性に発現する確率の方が高いことが分かっています。発表されているデータの数値は調査によってまちまちですが、その発現率は女性の約2~3倍であるというデータも発表されています。男性はその中でも読字障害が多く、その確率は女性の数倍ともいわれています。ですが、男性にLD・SLD(限局性学習症)が多い理由は分かっていません。
参考:The Prevalence and Gender Differences in Specific Learning Disorder
https://www.intechopen.com/chapters/70206

発達障害を診断する方法

現在の医学では妊娠中の羊水検査、血液検査、エコー写真などの出生前診断で発達障害が判明することはありません。また、出生後も遺伝子検査や血液検査といった生理学的な検査では分かりません。これは、発達障害の原因が完全には解明されておらず、またその原因も複雑で単一ではないと考えられるためです。また、生理学的な検査方法を確立するのはかなり難しいともいわれています。

発達障害の人の多くが幼児の頃から12歳くらいまでの間に何らかの症状をきっかけに専門機関を受診し、医師によって診断されます。診断は問診と心理検査・知能検査などのさまざまな検査を総合的に判断して行われます。そのほかには、MRIを使い脳の器質的な疾病がないかを確認する場合もあります。検査や診察は一度ではなく、何度か行われたうえで慎重に診断されます。

医療機関では、多くの場合は、精神医学的な診断基準に基づき、保護者や本人に問診に問診をしたり直接行動観察をしたりして、症状から判定します。アメリカ精神医学会の『DSM-5-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版改訂版)を用いて診断が行われます。また、必ずしも1つの障害しかないということではなく、複数の障害を併発している可能性もあります。

それぞれの障害の診断基準にとって診断されることが基本ですが、基準の解釈には医師によってばらつきが生じることもあります。ばらつきの原因として、診察では医師が子どもの様子を観察しますが、診察室は子どもにとって非日常的な空間のため、普段と様子が違うことが考えられます。
乳幼児期の診断はとても難しい場合があります。正確な診断のためには日常生活の様子などをくわしく医師に伝えることも大切です。
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発達障害とは?特徴・症状・分類や診断方法について【専門家監修】

困りごとを減らすために

発達障害のある子どもは行動やコミュニケーションなどに特性があり、日常生活や集団生活でさまざまな困りごとが生じるといわれます。

困りごとを減らすには、家庭だけで対応するのではなく専門機関への相談や支援を活用していくことが大切です。

発達障害の相談先

地域には発達障害について相談できる窓口が設置されています。

主なものとして、
●子ども家庭支援センター
●児童相談所
●市町村保健センター
●発達障害者支援センター
●児童発達センター
などがあります。また、このほかにも自治体の子育て窓口でも相談できる場合があります。自治体のホームページに掲載されていますので、確認してみるとよいでしょう。

相談窓口では発達障害における困りごと解消のためのアドバイスや、児童発達支援などの支援機関の紹介をしてもらうことができます。

発達障害の支援

発達障害のある子どものへの支援として、児童発達支援や放課後等デイサービス、特別支援教育があります。

児童発達支援と放課後等デイサービスは発達障害など障害のある子どもを対象とした通所型の支援のことで、日常生活や集団生活に適応するためのプログラム提供などのサポートをしています。未就学児が児童発達支援、就学児が放課後等デイサービスの対象となります。

それぞれ詳しくは以下の記事をご覧ください。
児童発達支援とは?サービスや費用、手続きの流れなど【専門家監修】のタイトル画像

児童発達支援とは?サービスや費用、手続きの流れなど【専門家監修】

放課後等デイサービス(放デイ)とは?利用方法、費用など【専門家監修】のタイトル画像

放課後等デイサービス(放デイ)とは?利用方法、費用など【専門家監修】

特別支援教育は学校における支援制度のことで、障害のある子どもを対象として特性に合わせた教育が行われます。特別支援学校、特別支援学級、通級による指導などの種類があり、就学相談を通して子どもに適した学び方を選んでいきます。

就学相談については以下の記事もご覧ください。
就学相談とは?通常学級・通級・特別支援学級・特別支援学校について【専門家監修】のタイトル画像

就学相談とは?通常学級・通級・特別支援学級・特別支援学校について【専門家監修】

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