ディスレクシアの診断基準

日本では標準化された診断基準が存在せず、医学的な診断ではディスレクシアという名称は使用されません。

アメリカ精神医学会の『DSM-5-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版改訂版)では、ディスレクシアもディスグラフィア(書字表出不全)やディスカリキュリア(算数不全)などと共に「SLD(限局性学習症)」という名称で診断されます。この診断基準に多くあてはまり、特に「読字の正確さ」「読字の速度または流暢性」「読解力」に困難がある場合は、ディスレクシアとして考えることができます。

※「SLD(限局性学習症)」は以前「LD(学習障害)」という診断名でした。現在もこの診断名が使われることが多くあるため、この記事では「LD・SLD(限局性学習症)」と表記します。

ディスレクシアの診断に関する相談先

ディスレクシアかな?と疑問を持った場合、いきなり専門の医療機関に行くのは難しいので、まずは身近な専門機関の相談窓口で相談するようにしましょう。児童相談所や発達支援センターなどで知能検査や発達検査を受けられることもあります。発達障害の疑いがある場合には専門医を紹介してくれます。

子どもか大人かによって、行くべき専門機関が違うので、以下を参考にしてみてください。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所
・発達障害者支援センター など

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など

知能検査や発達検査は児童相談所などで無料で受けられる場合もありますし、障害について相談することも可能です。その他、発達障害者支援センターで障害についての相談ができます。

自宅の近くに相談機関が無い場合には、電話で相談に乗ってもらえることもあります。以下は小児神経学会が発表している、発達障害診療医師の名簿です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。
発達障害診療医師名簿|日本小児神経学会
https://service.kktcs.co.jp/smms2/c/jscn/ws/jscn/List.htm?t=https://www.childneuro.jp/themes/childneuro/relation/licenselist_dd.html

ディスレクシアの診断の流れ、必要な持ち物は?

診断の手順と内容

ディスレクシアの場合、ディスレクシアがあるかどうかを調べて診断するだけでなく、どのような特性や困りごとがあり、どのような支援を必要としているかアセスメントを行うことが重要だと言われています。

医療機関によっても異なりますが、まずは問診で現在の症状や困りごと、赤ちゃんの時から今までの生育・養育歴、既往症や家族歴などを調べていきます。脳波検査、頭部のCT、MRIなどでてんかんや脳の器質的な病気といった異常がないかを検査します。そして知能検査や認知能力検査などの心理検査を行います。

さまざまな情報を元に、総合的にLD・SLD(限局性学習症)やディスレクシアがあるかを判断するのです。また、こうした過程でASD(限局性学習症)やADHD(注意欠如多動症)などが併存していないかも確認します。

準備するべき持ち物

診断に必要な持ち物は診断する専門機関によって多少異なりますが、学習にどのような困りごとがあるか分かるように、学校や家庭で使ったプリントやノート、宿題帳、作文などを持っていくとよいでしょう。

知能検査では基本的に持参するべき持ち物はありません。病院などの場合は保険証を持っていく必要があります。また、生育歴(子どもの発育記録)を聞かれることもあるため、気になった点などをメモしていくとよいでしょう。心配な方は事前に電話して必要な持ち物を聞くこともおすすめです。
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