抱っこ紐でギャン泣きする息子…原因は?医師に相談したところ

ライター:鈴木希望
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育児は“予想外”の連続です。便利なお世話グッズの利用だって、こちらの思いどおりにことが運ぶはずがなく…。私の場合、ベビースリングを使いこなせず惨敗の様相となりました。しかし、同時に“予想外”の嬉しい気持ちを味わうこともできたのです…。

使いたくて仕方なかったベビースリング

子どもが生まれたら使ってみたいと思っていた赤ちゃんグッズには、何がありますか?

私はベビースリングでした。

現在小学1年生の息子がまだお腹にいたころ、出産のための里帰り直前まで仕事を続けていた私。

それもあって母親学級には行かず、健診先の産科でもらったパンフレットを見ながら必要なものを購入、欲しい情報についてはインターネットで検索していました。

そんな過程で知ったのがベビースリングという抱っこ紐の存在。

詳しく調べてみたら、赤ちゃんは子宮の中にいるのと同じように背中を丸めて膝を曲げ、股関節を外側に向けた体勢でいると安心できる。それに最適なのがスリングであるとのことでした。

お母さんのお腹の中にいるような安心感で、ぐっすりすやすや眠る赤ちゃんの姿を想像し、たいそうときめいたものです。

生後2週間から2,3歳まで使えて持ち運びも便利!とても魅力的なものに感じられ、私はすぐに購入。

使えるその日を楽しみにしていたのですが…。

どうしてスリングが使えないの?

生後2週間を過ぎ、息子を連れて産科へ行く日が訪れました。

いよいよスリングが使えるチャンスです。

前日に練習をしようと、購入したお店からもらったガイドに従い、息子を優しく抱き抱えスリングの中に入れたところ…

息子、まさかのギャン泣き。

「こんなところに俺を入れるな」とばかりに手足を伸ばし、顔を真っ赤にして怒るのです。

様子を見ていた私の母は、「この子は単にこれ(スリング)が嫌いなんじゃない?」と声をかけてくれたのですが、「赤ちゃんはスリングの中で安心できる」とインプットされてしまったアスペルガーの私には、そんな言葉をにわかに受け止められるわけがありません。

「スリング 嫌がる なぜ」といった語句で検索すると、「股関節の異常」「母親のイライラが伝わっている」「コミュニケーション、スキンシップ不足」などなど、出るわ出るわネガティブな情報が!!!

産後で気力も体力も低下していた私はこれらの情報で不安を煽られ、一気に落ち込みモード。

「どっちみち明日病院に行くんだし、心配なら相談すればいいじゃないか」と両親になだめられながらも、めそめそと泣きながらその日を過ごし、翌日は別のベビーキャリーを使って息子を連れて行くことにしたのでした。

不安はスリングのことだけじゃなかった…!

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「うーん、どこも悪くないと思うよ。息子さん、足腰しっかりしてるし」

スリングを嫌がる件について相談した私に向かって、産科の先生はニッコリと微笑んでそう言いました。

「でも、スリングって初めてだと難しいかもしれない。ちょっと試しに息子さんを入れるの見せてもらってもいい?」

先生に促されて前日同様スリングに入れると、やはり息子は手足を伸ばしてギャン泣き。

「先生、私のやり方、おかしいですか…?」

オロオロしながら問うと、「ううん、ちっとも」と再びニッコリ。

「ノゾミさんのお母さんがおっしゃるとおり、息子さんは単にスリングが嫌いなのかもね。だって、正しい入れ方をしているし、股関節だって異常がない。もしインターネットの情報通り、イライラが伝わっているとしたら、スリングを使わなくても泣いてるんじゃない?」

言われてみれば、確かに先生のお言葉どおり。

「30代の女性がみんなノゾミさんと同じかといったら、そんなことは全くないでしょ?赤ちゃんだってそう。スリングが好きな子がいれば、どうしたって嫌いな子もいるんだよ」

納得できると感じつつ、まだ不安が払拭できずにいる私を見て、先生はこう続けました。

「あとね、“お母さんのイライラが伝わる”っていうの、確かにあるかもしれない。でもね、だからって大騒ぎするほど赤ちゃんはヤワじゃないよ。お母さんと一緒に頑張って、命懸けで生まれてきたんだから。

息子さんの強さを信じてあげて!心配なことがあれば、私たちに相談してくれてもいいし、ご両親に聞いてもらってもいい。ただ、息子さんの強さだけは信じてあげて欲しいの」

その言葉で私は気づきました。スリングのことだけじゃなく、たくさんの不安を抱えていたことに。

初めての育児はわからないことだらけで、怖くて怖くてたまらなかったことに。

こわばっていた何かが一気にほどけたような感覚がこみ上げ、私は無言で頷いたあと、ボロボロ落涙したことを今でもよく覚えています。
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息子のおかげで力づけられた

その後スリングを使うことなく息子は成長、数年が経過して自閉症スペクトラムの可能性を指摘されました。

発達障害に関して無知に等しかった私が情報収集していると、「自閉症スペクトラムの赤ちゃんは、抱っこを嫌がることがある」という記述に出くわし、ハッとしました。

乳児だった息子がスリングを嫌がったのは、自閉症スペクトラムと併発する感覚過敏があったからなのかもしれません。

とはいえ、「今更わかったところでなんなのよ」という話で…。

当時を振り返ると不安だらけで落ち込むことも多かった乳児期ですが、スリングの一件で気付けたこともあったのです。

それは、「息子さんの強さを信じてあげて!」という産科の先生の言葉に力づけられ、迷ったり悩んだりもしつつ「息子の強さを信じよう!」と私が思えたこと。

これは息子がスリングを嫌がったからこそ。

つまり、育児の不安で頭がいっぱいだった私を先生が力づけてくれたのは、息子のおかげでもあるのです。

「そう考えると、やっぱりうちの息子は強いんだなあ」

と妙なことに感心しながら、「でかした、アスペ息子」と思わずつぶやくアスペ母こと私なのでした。
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