療育センターで受けられるサービスって?

医療型児童発達支援にあてはまる療育センターの場合

◇診療
診療部門では、小児科、児童精神科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、小児科などの外来診療を受けることができます。さらに医師による診察後、個別あるいは集団での療育が行われます。

個別療育では、言語療法、作業療法、理学療法、心理指導などが行われます。医師の判断に基づき、子どもの発達評価がされ、一人ひとりにあった支援につなげます。一方で、集団の場合は親子遊びなども行われます。

さらに個別療育指導の一環として、子どもの発達状態や療育方針などに関する相談活動や、保護者向けの療育講座などがあります。

◇通園
通園の場合は主にグループでの療育活動が行われます。子どもだけ通園する場合と親子通園があり、親子通園は親が参観する場合や親子で活動する場合などさまざまです。

・子どもだけのグループ活動
「ごっこ遊び」や「粘土遊び」といったテーマ遊び、「リズム運動」などのプログラムがあります。集団ならではのお互いの刺激や喜びを体験しながら、一人ひとりの発達を促すことが狙いです。

・親子グループの活動
「親子遊び」「親子体操」などがプログラムにあります。集団での活動を通して発達を促す他に、保護者が子どもの発達を促す関わり方を学ぶことができます。

ダウン症など、障害が早くに分かっている場合には、早期からの日常的な発達促進の働きかけが有効であることから、親子グループの中で、発達を促す遊びや訓練を行います。さらに家庭生活の中でも、それを活用し継続して行い、発達を促していきます。

・保護者のグループ活動
親子通園において、子どもが療育の場やスタッフに慣れてきた段階で、並行して保護者のグループ活動も行われます。また子どものみの通園の場合でも、定期的に保護者のグループ活動を催すことがあります。

集団活動での取り組みや個々の子ども発達確認、療育方針の確認などを療育スタッフから保護者に伝えるのみならず、保護者間のコミュニケーションを促し、共感しながら学び合うという役割があります。

医療型障害児入所施設にあてはまる療育センターの場合

◇診療
小児科、神経科、リハビリテーション科、外科、歯科など各専門の医師が、入所している子どもの診療や外来診療を行っています。また入所する際には、リハビリテーションセンターや小児科の受診、ソーシャルワーカーとの面談などを必須としているところもあるようです。

◇入所
一人ひとりの身体機能の改善を目的に、理学療法や作業療法、言語療法など、お子さんの状態に応じたリハビリテーションを受けることができます。さらに、血液・心電図・脳波などの検査が受けられる、人工呼吸器などの医療機器が備わっている施設もあります。

施設での生活はリハビリの時間のほか、発達のレベルに合わせたクラスでの活動、散歩の時間なども設けられています。日ごろの活動以外に、季節ごとに行事がある施設もあるようです。規則正しい集団生活と子ども同士の関わりによって、社会性を身につけることができます。

さらに医療型障害児入所施設には、親子入所、社会的入所などの入所タイプが設けられている場合があります。それぞれ入所期間や目的が異なります。

・親子入所
短期間、保護者と子どもが一緒に入所します。対象児童は、障害児入所施設への入所対象である児童のうち、低年齢(おおむね2歳~6歳)であり、かつ、親とともに短期間入所させることにより療育効果が得られると認められる児童です。

リハビリなど必要な療育を行い、あわせて、家庭に復帰した後においてもスムーズな療育ができるように、保護者に対して指導をしてくれます。

・社会的入所
家庭の事情により長期的な在宅生活が困難な場合や、家族の病気や出産などによって一定期間在宅が困難な場合に入所することを言います。

◇地域療育支援
重度の障害があるお子さんを持つご家庭に対し、必要な医療や訓練、指導といった療育相談をはじめとして経済問題や家族問題など、相談支援を行っています。また施設によっては、訪問による健康診断を行っている場合もあります。

子育てやお子さんの発達に関する相談

療育センターの相談窓口では、生活、家庭、教育など総合的な援助を提供してくれるソーシャルワーカーに相談できます。就園・就学や福祉サービスについて、子育ての悩み、家庭環境のことなど幅広く相談できます。

さらに療育センターの利用を検討している際でも、相談窓口を利用できます。療育センターの利用についてや療育方針などについて、聞いてみるとよいでしょう。日常における子どもの関わり方、障害の捉え方や対応の仕方、保育・教育の場の選択など、あらゆる相談に対応する場となっているのです。

また療育センターにおいて、児童発達支援や放課後等デイサービスを利用する場合は、以下の関連記事を参考にしてみてください。
児童発達支援とは?サービスや費用、手続きの流れなど【専門家監修】のタイトル画像

児童発達支援とは?サービスや費用、手続きの流れなど【専門家監修】

放課後等デイサービス(放デイ)とは?利用方法、費用など【専門家監修】のタイトル画像

放課後等デイサービス(放デイ)とは?利用方法、費用など【専門家監修】

療育センターを利用する流れ

療育センターの利用決定までの流れ

乳幼児検診などに心身の障害あるいはその可能性が見つかった場合、保健センターにおいて、発達の見極めのための療育相談や経過観察が行われます。その後、障害や発達の遅れなどが明らかになったときに、専門病院の受診や療育センターの利用へと繋がっていきます。

また、通常の保育所・幼稚園に通っている際に、障害や発達の遅れがだんだんと明らかになってくる場合もあります。このケースは、保育所や幼稚園の巡回心理・発達相談や、保健センター・保健所の療育相談などの利用後、専門医療機関や療育センターを利用するという流れになります。

療育センターを利用する際の手続きは、児童福祉法における障害児通所支援と障害児入所支援で異なります。例えば、児童発達支援・医療型児童発達支援・放課後等デイサービスを利用する場合は障害児通所支援、医療型障害児入所施設を利用する場合は障害児通所支援の手続きになります。

◇利用相談
療育センターを利用する際は、はじめに利用相談をしましょう。療育センターでどのようなサービスを受けるかによって、相談窓口が異なります。

・障害児通所支援
障害児通所支援の相談窓口はお住まいの市区町村の福祉相談窓口・障害児相談支援事業所等となります。

・障害児入所支援
障害児入所支援の相談窓口はお住まいの地域の児童相談所となります。しかし障害児入所施設の利用に迷う場合は、まずはお住まいの市区町村の福祉相談窓口・障害児相談支援事業所などに相談するのがよいでしょう。

◇施設見学・相談
実際に利用したい療育センターに足を運び、施設利用について相談してみましょう。施設によっては障害児施設利用計画案を作成してくれる場合があります。

◇申請書等の提出
療育センターを利用するためには、受給者証が必要です。受給者証には、児童発達支援や放課後等デイサービスといった通所支援を受けるために必要な通所受給者証と、施設に入所して支援を受ける入所支援を受けるための入所受給者証の2種類があります。

受給者証取得のため、障害児通所・入所給付費支給の申請を行いましょう。必要な書類は、市区町村によって異なるため、事前に確認することが必要です。

・障害児通所支援
市区町村の福祉担当窓口にて、障害児通所給付費支給の申請を行います。

・障害児入所支援
お住まいの地域の児童相談所にて 障害児入所給付費支給の申請を行います。

◇調査・審査
支給の有無やサービス内容の決定のために聞き取り調査(ヒアリング)を受けましょう。障害の種類や程度をもとに、要件を満たしているかどうか、また子どもに必要だと考えられる適切なサービスの量や内容について検討されます。

・障害児通所支援…市区町村の支給担当窓口によって検討されます。

・障害児入所支援…児童相談所の担当者によって検討されます。

◇受給者証の交付
支給が決定したら、「通所受給者証」・「入所受給者証」が交付されます。

・障害児通所支援
「通所受給者証」が発行されます。

・障害児入所支援
福祉型と医療型は交付される受給者証が異なります。
福祉型:「入所受給者証」
医療型:「障害児施設医療受給者証」「入所受給者証」

受給者証の取得方法や障害児施設給付制度などについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
受給者証とは?子どもが支援を受けるまでの流れ、体験談【専門家監修】のタイトル画像

受給者証とは?子どもが支援を受けるまでの流れ、体験談【専門家監修】

個別の療育プラン検討の流れ

各施設によって、療育プラン検討の流れは少しずつ異なります。ここでは療育を受けるまでの流れの例をご紹介します。

1.ソーシャルワーカーとの面談
日常生活で困っていることがあれば、具体的に伝えるようにしましょう。

2.医師による診察
診断名を知りたいときは、ここで聞きましょう。総合病院の診療を紹介してもらうケースもあります。

3.発達検査・知能検査
実際の行動やコミュニケーションも観察して、発達の特性を見ます。お子さんの特性に基づいた関わり方の相談をすることもできます。

4.療育方針の検討
ソーシャルワーカーが幼稚園や保育園を巡回訪問し、日ごろのお子さんの様子を見てくれます。これまでの流れをもとに、療育プランが検討されます。

療育センターの施設利用にかかる費用と減免措置

受給者証を取得することで国と自治体から利用料の9割が給付され、1割の自己負担でサービスが受けられます。

障害児施設給付制度は、児童福祉法に基づき、障害児通所給付費あるいは障害児入所給付費として国と自治体から利用料の9割が給付されることにより、自己負担1割でサービスを受けることができる制度です。負担額は世帯の所得によって変わり、サービスが受けられる日数もこの受給者証に上限が記載されています。

月ごとの利用者負担額には上限があり、その上限額を超えて自己負担をすることはありません。その上限額は前年度の所得によって4つの区分があります。

・生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯: 0円
・市町村民税課税世帯(前年度の年間所得がおおむね890万円以下の世帯): 通所施設、ホームヘルプ利用の場合4,600円、入所施設利用の場合9,300円
・上記以外(前年度の年間所得がおおむね890万円を超える世帯): 37,200円
出典:障害児の利用者負担|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/hutan2.html

さまざまな減免措置

・多子軽減措置
児童通所事業利用児童の未就学の兄・姉が、幼稚園等に通っている、もしくは児童通所支援を利用している場合、保護者が支払う利用者負担額が軽減されます。

・その他の減免措置
医療型入所施設を利用する場合は医療型や食費の減免があり、通所施設を利用する場合は食費の負担が軽減されます。

さらに、自治体によっては独自の助成金がある場合もありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。
参考:多子軽減制度の対象範囲の拡大について|中野区
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/243000/d020497_d/fil/tasikeigen.pdf
次ページ「まとめ」

追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。