レット症候群に対する医療費の補助制度

レット症候群は、原因がわからず、治療法も確立されていないという点から難病に指定されています。国は充実した難病対策を行うため、医療費の助成制度を準備しています。ここではレット症候群の患者が受けることができる3つの医療費の補助制度をご紹介します。

難病法による医療費の助成

医療費助成の対象になると、自己負担割合が下がり、自己負担上限月額があるので、それを超える負担はなくなります。高額な治療を長期にわたって行う必要があれば、負担はさらに軽くなります。

難病法では、患者の医療費の負担金は2割が上限です。例えば、難病に関する医療費が10万円だった場合、窓口で払うのは2割の2万円です。

難病法では、「重症度」をポイントにしており、一定の症状がある人が助成の対象となります。指定難病の患者であっても、症状が軽いと助成は受けられません。しかし、症状が軽くても、高額な医療費がかかる治療が継続して必要な人は「軽症者の特例」として助成が受けられますので、都道府県の担当窓口(保健所など)に問い合わせてみましょう。

1.臨床調査個人票(診断表)の書類をもって、難病指定医を受診する
2.受診後、難病指定医に書類に記入をしてもらう
3.必要な書類とともに都道府県に提出する
4.受給の認定がおりる
5.医療受給者証が交付され、自宅に届く

医療費受給がおりることが確定しても、自宅に医療受給者証が届くまでに時間がかかります。受給者証が手元に届くまでにかかった医療費は、支給申請を行えば自己負担額上限を超えた額があとから戻ってきます。指定医療機関の療養証明書や指定医療機関の領収証などはとっておくようにしましょう。
申請から医療費受給者証交付の流れ|難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460#nagare

小児慢性特定疾病の医療補助制度

レット症候群は小児慢性特定疾病に指定されており、医療費の自己負担分の一部の助成を受けることができます。この制度は児童福祉法に基づいており、児童の健全育成のために患者家族の医療費の負担軽減を図る目的があります。

医療費の助成を受けることができるのは、18歳以下の患者です。また、以下の4つ全てを満たす程度の疾病であることが条件となります。
・慢性に経過する疾病であること
・生命を長期に脅かす疾病であること
・症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
・長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること

医療費助成を受ける場合には、行政機関への申請が必要となります。申請は以下の流れとなります。
1.指定医療機関(※)を受診し、医師から小児慢性特定疾病の意見書を書いてもらう。
2.お住まいの都道府県、指定都市の窓口へ意見書と申請書を提出する。
3.小児慢性特定審査会にて審査が行われる。
4.医療助成の対象の通知が自宅に届く。

※指定医療機関は、都道府県・指定都市の定める特定の医療機関であり、自治体ごとに定められています。お近くの指定医療機関を折理になりたい場合はお住まいの自治体のHPをご覧ください。
小児慢性特定疾病の医療費助成について|小児慢性特定疾病情報センター
https://www.shouman.jp/assist/

医療費が高額になった場合の補助制度

◇高額療養費補助制度
この制度は入院など、高額の医療費を支払った時に払い戻しを受けることができる健康保険制度です。月の支払いのうち、負担の上限金額を超えた支払いをした場合には、その超過分が支給されます。

高額療養費の支給は、診療の月から3ヶ月以上の時間がかかります。その間の家計の負担が考えられますので、以下の2つの制度を利用することで入院の間の負担を減らすことが可能です。

70歳未満の方で、入院費が高額となることが事前にわかっている場合には、限度額適用認定証を病院に提示することで、負担額に限度を設けることができます。所得により異なりますが、支払額の上限の目安は平均44,000~140,100円/月です。この場合には高額療育費を申請する必要がなくなります。
健康保険 限度額適用認定|全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3020/r151/
◇高額医療費貸付制度
家計の負担を軽減させるために、一時的に治療費を借りることもできます。この制度では、高額療育費で支給される見込みの約8割の料金を無利子で貸し付けを行っています。

すべての申請は郵送で行うことができます。申請者の方が窓口に足を運ぶ必要がなく簡単に申請することができますので、ぜひご活用ください。詳しく知りたい方は以下の全国保険協会のHPをご覧ください。
高額医療費貸付制度|全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/osaka/cat080/kashitsuke/kasitukekouryou/

まとめ

レット症候群は現在、病態や根本治療を解明するための研究が日々行われています。レット症候群の症状に対して、根本的な治療を行う方法はなく、それぞれの症状に対してひとつずつケアを行っていくのがレット症候群の患者に対する現状です。

このように、合併症を含むさまざまな症状に対してひとつひとつケアを行っていくことが地道ととらえられるかもしれません。しかしレット症候群には「Care Today, Cure Tomorrow」というスローガンがあります。

これは国際レット症候群協会の会長のKathy Hunterさんの言葉です。現在はできる限りのベストの治療を行って、来たる根本的な治療方法の開発の日々を待とうという前向きな意味がこめられています。

レット症候群の原因遺伝子が発見されてから10年の月日がたち、基礎研究は着実に進んでいます。基礎研究の進歩によって、レット症候群に対する治療法が確立される日も来るかもしれません。
参考:レット症候群研究報告書一覧
https://www.npo-rett.jp/rett_kenkyu.html
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